2000年02月25日

ニューヨークから見た日本の生保破綻

  大久保 亮

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■目次

はじめに
1.米国では公的資金を実質的に投入
2.欧州における支払保証制度
3.支払保証制度よりも破綻の未然防止
4.画期的な韓国の支払保証制度改革
おわりに

■introduction

「傍目八目」という言葉があるように、その渦中にいる当事者には見えにくいものが外からはよく見えるということがある。
ニューヨークに居住する筆者には、日本の生保破綻で求められている業界負担の巨額さと、それにもかかわらず負担の更なる上積みの可能性が払拭されないことが、
不思議に思えてならない。
日産生命(破綻時資産規模約2 兆円)、東邦生命(同約3 兆円)の破綻は、紛れもなく世界史上最大規模の生保破綻である。91 年に破綻した米国のミューチュアルベ
ネフィット、エグゼグティブライフの資産規模は、両社とも日本円に換算して1 兆円台であった。
日産・東邦の二社の破綻により、日本の生保業界は、支払保証制度を通じて5,900億円もの負担を強いられた。米国の支払保証制度の賦課金累計額45.6 億ドル(97年末)を既に超えたことになる(かつ後述するように、米国には賦課金の州税との相殺の制度があり、実質的な負担はこれよりはるかに小さい)。
さらに、東邦生命の破綻処理をうけ、現在の支払保証制度である生命保険契約者保護機構の累計負担上限額は、昨年12 月に5,600 億円に引上げられた。公表された
東邦生命への資金援助額3,600 億円を拠出した後に、新たに破綻が生じれば、さらに2,000 億円の業界負担が求められるわけである。
これとほぼ同時に公表された金融審議会第二部会報告で、債務超過前処理の原則や会社更生法の適用、生保契約先取特権の導入など破綻処理の枠組が整備されたことは評価できるが、今後の破綻処理費用が2,000 億円を超えた場合の公的資金投入の不確実性や、健全生保の更なる負担増の可能性も懸念されている。

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