- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- ドイツにおける民間社会福祉事業 -世界最古の民営福祉施設「フッゲライ」を訪ねて-
■見出し
1.はじめに
2.広く薄いドイツの公的社会保障制度
3.地域に根ざしたドイツの民間福祉事業
4.世界最古の民営福祉施設「フッゲライ」
5.おわりにかえて(フッゲライ訪問記)
■introduction
「人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し、且つ保護することは全ての国家権力の義務である。」――ドイツ連邦共和国基本法(憲法)第1条の条文である。事実、ドイツはビスマルク(1880年代)以来、社会保障制度を整備してきた「社会保障先進国」であり、最近では世界初の公的介護保険制度の導入が決まり、このことは日本でも大きく報道されている。我々日本人が一般にイメージするドイツとは、このような近代的な社会保障制度により全ての国民に豊かな生活を保障している国であろう。
しかし、ドイツのような社会保障先進国でも、全ての社会的弱者を公的資金だけで救うことはできていない。残念ながら、この現実は高齢化社会の進展、政府の財政問題の深刻化を背景に、今後も大きくは改善が期待できない。
だが、ドイツにおける弱者、例えば老人の生活は我々日本人の目からみると比較的ゆとりがあるように見える。これはドイツでは、昔から、そして今も、教会・社会福祉団体・ボランティアなど地域に根ざした民間レベルのカが活躍しているためである。
民間レベルの社会福祉活動を語る際に、度々引き合いに出されるのが、南ドイツの都市アウグスブルグにある世界最古の民営福祉施設「フッゲライ」である。「フッゲライ」は、16世紀初頭に中世きっての大富豪として知られたフッガ一家が敬虔な信仰を持つ貧民を救済するために建設した低家賃住宅で、驚くべきことに、今も当時と変わらぬ家賃で大勢の高齢者に利用されている。
本稿では、ドイツにおける民間事業の社会福祉活動の現状について述べるとともに、民間社会福祉事業の好事例である「フッゲライ」にスポットをあて、その歴史や現在の運営方法を紹介したい。
このレポートの関連カテゴリ
山本 実樹也
研究・専門分野
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月30日
鉱工業生産24年3月-1-3月期は大幅減産だが、明るい材料も見られる -
2024年04月30日
公取委によるGoogleの確約計画認定-検索連動型広告市場の独占 -
2024年04月30日
米個人所得・消費支出(24年3月)-個人消費(前月比)は堅調を維持、市場予想を上回る -
2024年04月30日
雇用関連統計24年3月-有効求人倍率は1年4ヵ月ぶりに改善したが、求人数は減少が続く -
2024年04月30日
今週のレポート・コラムまとめ【4/23-4/26発行分】
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【ドイツにおける民間社会福祉事業 -世界最古の民営福祉施設「フッゲライ」を訪ねて-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
ドイツにおける民間社会福祉事業 -世界最古の民営福祉施設「フッゲライ」を訪ねて-のレポート Topへ