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2025年06月30日
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1.5月の生産は市場予想、予測指数を大きく下回る
経済産業省が6月30日に公表した鉱工業指数によると、25年5月の鉱工業生産指数は前月比0.5%(4月:同▲1.1%)と2ヵ月ぶりに上昇したが、事前の市場予想(QUICK集計:前月比3.5%、当社予想は同2.6%)、先月時点の予測指数の伸び(前月比9.0%)を大きく下回る結果となった。出荷指数は前月比2.2%と2ヵ月連続の上昇、在庫指数は前月比▲1.9%と2ヵ月連続の低下となった。

25年1-3月期のGDP統計の設備投資は前期比1.1%と4四半期連続で増加し、24年10-12月期の同0.6%から伸びを高めた。高水準の企業収益を背景に設備投資は回復が続いているが、米国の関税政策を巡る不確実性の高まりから、企業の投資行動は今後慎重化することが見込まれる。
消費財出荷指数は25年1-3月期の前期比3.8%の後、4月が前月比▲2.0%、5月が同5.0%となった。5月は耐久消費財が前月比2.3%(4月:同2.8%)、非耐久消費財が前月比1.2%(5月:同▲4.0%)となった。25年4、5月平均の消費財出荷指数は1-3月期比で0.1%とほぼ横ばいとなっている。
GDP統計の民間消費は、24年10-12月期、25年1-3月期ともに前期比0.1%の低い伸びにとどまった。物価高による下押し圧力が高い状態が続く中、個人消費は横ばい圏の動きが続いている。
2.4-6月期は2四半期減産の可能性が高まる
25年5月の生産指数を6月の予測指数で先延ばしすると、25年4-6月期は前期比0.2%となるが、実際の生産の伸びが計画を下回る傾向があることを踏まえると、4-6月期の生産は1-3月期(前期比▲0.3%)に続き前期比マイナスとなる公算が大きい。
減産幅は小さいが、米国の関税引き上げに対して、自動車メーカーを中心に価格の引き下げによって輸出数量の落ち込みが緩和されていることが影響していると考えられる。数量ベースの生産の落ち込みは小さいものの、大幅な値下げによって国内企業の収益が大きく悪化している可能性が高いことには注意が必要だろう。
減産幅は小さいが、米国の関税引き上げに対して、自動車メーカーを中心に価格の引き下げによって輸出数量の落ち込みが緩和されていることが影響していると考えられる。数量ベースの生産の落ち込みは小さいものの、大幅な値下げによって国内企業の収益が大きく悪化している可能性が高いことには注意が必要だろう。
(2025年06月30日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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