2025年04月22日

プレコンセプションケア 性と健康の相談事業とは?-令和5年4月時点で全国574か所で展開、最も多い相談内容は「妊娠・避妊に関する相談」-

生活研究部 研究員・ジェロントロジー推進室・ヘルスケアリサーチセンター 兼任 乾 愛

文字サイズ

■要旨

日本では、成育基本方針(改訂)や経済財政運営と改革の基本方針2024においてプレコンセプションケアの推進が明記され、子ども家庭庁の有識者会議では、プレコンセプションケア推進5か年計画(案)が示された。

本稿では、プレコンセプションケアを推進していく上での要となる「性と健康の相談センター事業」について概要をご紹介する。

当事業は、令和5年4月1日時点で全国574か所で展開されており、配置されている専門職は「保健師」が最も多く、ピアカウンセラーを配置するなどの工夫も見受けられる。対応可能な内容は、「身体的・精神的な悩み」が最も多い一方で、DVや性被害などに関する相談対応に関しては心理職の配置が適正と考えられる。実際の相談内容をみると、「妊娠・避妊に関する相談」が最も多く、教育機関における従来の思春期教育では取り扱われていなかった妊娠するための基礎知識や、避妊具・緊急避妊薬に関する相談需要の高まりが背景にあるものと推察される。

まずは、当該事業の自治体における5年後の取組み率100%に向けて、専門職の適正配置や認知度の向上を図る取組みを進める必要があろう。

■目次

1――はじめに
2――性と健康の相談センター事業の実績
  1|全国の展開状況
  2|対応可能な内容と実際の相談内容

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年04月22日「基礎研レター」)

Xでシェアする Facebookでシェアする

生活研究部   研究員・ジェロントロジー推進室・ヘルスケアリサーチセンター 兼任

乾 愛 (いぬい めぐみ)

研究・専門分野
母子保健・不妊治療・月経随伴症状・プレコンセプションケア等

経歴
  • 【職歴】
    2012年 東大阪市入庁(保健師)
    2018年 大阪市立大学大学院 看護学研究科 公衆衛生看護学専攻 前期博士課程修了(看護学修士)
    2019年 ニッセイ基礎研究所 入社

    ・大阪市立大学(現:大阪公立大学)研究員(2019年~)
    ・東京医科歯科大学(現:東京科学大学)非常勤講師(2023年~)
    ・文京区子ども子育て会議委員(2024年~)

    【資格】
    看護師・保健師・養護教諭一種・第一種衛生管理者

    【加入団体等】
    日本公衆衛生学会・日本公衆衛生看護学会・日本疫学会

週間アクセスランキング

ピックアップ

レポート紹介

【プレコンセプションケア 性と健康の相談事業とは?-令和5年4月時点で全国574か所で展開、最も多い相談内容は「妊娠・避妊に関する相談」-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

プレコンセプションケア 性と健康の相談事業とは?-令和5年4月時点で全国574か所で展開、最も多い相談内容は「妊娠・避妊に関する相談」-のレポート Topへ