2024年12月24日

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5―IAISの声明

FSBの公表に対して、IAIS(保険監督者国際機構)は、同じく2024年12月5日に、「IAISは、FSB主要特性と一致する破綻処理計画基準の対象となる保険会社の最初のリストのFSBによる発表を歓迎する。」との声明を公表12している。

IAISは、この声明の中で、以下のように述べている。

・このリストは、報告された保険会社と関係当局が、もし必要になった場合には保険会社が破綻処理に入る準備ができているように取り組んでいることについて、市場、保険契約者、一般大衆に透明性を提供する。保険会社は、報告された保険会社のリストに含まれているという理由で、システム上重要であるとみなされることはない。

・IAIS は、破綻処理可能性に関して FSB と緊密に連携し、IAIS の継続的な実施評価活動と年次の集団討議の結果に基づいて、FSB の破綻処理可能性監視プロセスに情報を提供する。

・IAISはまた、年次総会において、再建および破綻処理に関する改訂された保険基準を承認した。この基準は、FSB主要特性とさらに整合したものとなっている。

さらに、今回の報告保険会社のリストの目的や意味合いについて、G-SIIsのリストとの関係等について、FSBと同様な説明を行っている。

また、IAISとFSBは、FSBの破綻処理可能性の監視と保険セクターに関する年次報告について緊密に連携しており、今後も引き続き連携していく予定である、と述べている。

6―次のステップ

6―次のステップ

先のIAISの声明資料に基づくと、次のステップについては、以下の通りとなっている。

FSBメンバーが保険会社の破綻処理の枠組みに影響を与える新しい法律や規制を改正し、実施するにつれて、FSB主要特性に準拠した破綻処理計画基準の対象となる保険会社の公開リストは時間の経過とともに拡大する可能性がある。

2025年に、FSBは保険会社に対する破綻処理計画基準の適用において、FSBメンバー間の一貫性を高めるための作業に着手する。この作業は、改訂されたIAIS基準を反映するために、破綻処理権限と計画に関する適用文書と再建計画に関する適用文書をそれぞれ更新するIAISの作業と調整されていくことになる。

7―まとめ

7―まとめ

以上、今回のレポートでは、破綻処理制度に関連してのFSBによる公表の概要及びそれに対するIAISの声明について報告してきた。

今回のFSBによる破綻処理計画基準の対象となる保険会社のリストには、日本の保険会社は含まれていない。ただし、「FSB メンバーが保険会社の破綻処理の枠組みに影響を与える新しい法律や規制を改正し、実施するにつれて、FSB主要特性に準拠した破綻処理計画基準の対象となる保険会社の公開リストは時間の経過とともに拡大する可能性がある。」としていることから、今後、日本の保険会社もリストに含まれてくる可能性はある。

その意味で、FSBによる破綻処理計画基準の対象となる保険会社のリストの動向については、IAISによる破綻処理権限と計画に関する適用文書と再建計画に関する適用文書の更新の動向等と併せて、関係者の関心の高い事項であることから、今後ともその動向を引き続き注視していくこととしたい。

(2024年12月24日「保険・年金フォーカス」)

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【FSBが破綻処理計画基準の対象となる保険会社13社を指定】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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