2024年12月10日

次期年金改革に向けた議論の状況(2024年12月3日時点)~年金改革ウォッチ2024年12月号

保険研究部 主席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査部長 兼任 中嶋 邦夫

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1 ―― 先月の動き

年金部会は、11月に3回開催され、多様な世帯モデルでの年金額の示し方、被用者保険の適用拡大や第3号被保険者への対応、基礎年金に対する給付調整の早期終了、在職老齢年金、標準報酬の上限など、多くの論点について議論した。企業年金・個人年金部会は、iDeCoの充実案や確定給付企業年金(DB)の定年延長時の減額判定について議論した。資金運用部会は、ESG投資などについて議論した。
 
○社会保障審議会 年金部会
11月5日(第19回) 多様なライフコースに応じた年金の給付水準の示し方、その他
 URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241105.html (資料)
 
11月15日(第20回) 被用者保険の適用拡大、第3号被保険者を念頭に置いた「年収の壁」対応、など
 URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241115.html (資料)
 
11月25日(第21回) 基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了(マクロ経済スライド
                の調整期間の一致)、在職老齢年金制度、標準報酬月額の上限
 URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241125.html (資料)
 
○社会保障審議会 企業年金・個人年金部会
11月8日(第37回) iDeCoの加入可能年齢・受給可能年齢・拠出、DBの給付減額の判定・手続き
 URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45168.html (資料)
 
○社会保障審議会 資金運用部会
11月25日(第23回) スチュワードシップ活動、ESG投資、インパクト投資、オルタナティブ投資
 URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_shikinshiryo23.html (資料)

2 ―― ポイント解説

2 ―― ポイント解説:次期年金改革に向けた議論の状況(2024年12月3日時点)

年金部会は、10月に開催されず議論の遅れが懸念されたが、11月に3回、12月上旬も3日と10日に開催され、2024年末のとりまとめに向けて議論が進んでいる。12月3日までの議論を整理して主なものを挙げると(図表1の太字部分)、概ね合意されているのは、厚生年金の適用拡大のうちパート労働者に関する企業規模要件の廃止と個人事業所に関する業種要件の廃止、在職老齢年金の廃止か縮小、子がいない配偶者への遺族厚生年金の男女共通化と給付の有期化(女性は段階実施)である。パート労働者については、賃金要件の廃止にも賛成が多い。他方で、パート労働者の労働時間要件や個人事業所の規模要件は、改正の見送りに賛成が多い。基礎年金に対する給付調整の早期終了(調整期間の一致)の導入は、11月25日の議論では賛成が多めだったが、12月10日に改めて議論される予定になっている。
図表1 次期年金改革に向けた社会保障審議会(年金部会)での議論の状況(2024年12月3日時点)

(2024年12月10日「保険・年金フォーカス」)

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保険研究部   主席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査部長 兼任

中嶋 邦夫 (なかしま くにお)

研究・専門分野
公的年金財政、年金制度全般、家計貯蓄行動

経歴
  • 【職歴】
     1995年 日本生命保険相互会社入社
     2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
     2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
    (2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)

    【社外委員等】
     ・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
     ・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
     ・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
     ・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
     ・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)

    【加入団体等】
     ・生活経済学会、日本財政学会、ほか
     ・博士(経済学)

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