2024年09月04日

企業年金のインフレ対応

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連合が公表した最終回答集計によれば、定昇相当込み賃上げ率は、全体平均で5.10%と33年ぶりの高水準となった。基本給の上昇につながるベースアップでも、集計可能な組合全体の平均で3.56%、中小組合の平均でも3.16%となり、ベースアップの集計を開始した2015年以降で初めて、最終集計で3%超えを達成。
 
こうした中、毎月勤労統計調査では、基本給に相当する所定内給与の前年同月比は昨年末以降、上昇基調が鮮明化しつつある。輸入物価の上昇によってディスインフレが緩慢となっている影響もあり、実質賃金は2年以上にわたって前年同月比マイナスが続いているが、前年同月比のプラス転換は視野に入りつつある。
 
果たして、賃金と物価の好循環は回り始めるのか。その見極めには時間を要することになるが、持続的に物価が上がるインフレ経済へと移行するのであれば、長らくデフレ経済のもとで運営されてきた企業年金では、制度や運営のあり方の見直しを迫られよう。
 
インフレに対応した給付水準の確保に向けて、拠出限度額の見直しはもちろんのこと、DBやDCの実施企業は必要な措置の検討が求められることになるだろう。容易なことではないが、公的年金を補完する役割が十分に果たされるような対応が期待される。
 

(2024年09月04日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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