2024年05月07日

アセットオーナーとしての企業年金

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今夏を目途に様々なアセットオーナーの共通の原則として、アセットオーナー・プリンシプルが策定される予定である。3月から開始された作業部会では急ピッチに議論を進められているが、対象と想定される投資家が、“公的年金、共済組合、企業年金、保険会社、大学ファンドなど”と幅広いため、あまり細かい原則とはならず、かつ、緩やかな内容になることが予想される。
 
公的年金や保険会社と並べて語られると、企業年金も従業員の老後のための資金を運用する機関投資家であり、当然のこととして受託者責任が強く意識される。様々なアセットオーナーと共通の原則として求められる可能性のある論点としては、最善義務、透明性の向上、人材の強化もしくは外部リソースの活用、ガバナンスの確保など多くが考えられるものの、投資家である以上、運用利回りの確実な実現についても十分に意識されるべきである。
 
しかし、高いリスクの下で闇雲に利回りを引き上げることは決して企業や従業員のためにならない。市場環境や積立比率などリスク許容度、運用担当者の経験、利害関係者の理解度などによって、目標として適正な水準の利回りは自ずと定まって来る。他団体の水準を上回る利回りといった競争意識は要らない。運用の高度化にしても、内容がブラックボックスであってはならないだろう。


 
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(2024年05月07日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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