2024年03月01日

NAIC(米国)やACPR(フランス)が2024年の監督・規制上の優先事項を公表

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破綻処理カレッジは、以下の3つの優先事項を特定して、採択している。

1.単一破綻処理委員会(CRU)の 2028 年戦略の一翼を担うACPRはCRUの2024年優先課題に貢献する。

2.保険破綻処理の専門性の強化
保険破綻処理の任務の一環として、ACPRは2022年末から2023年初めにかけて採択された最初の予防的破綻処理計画を更新する。

ACPRは、公益テストや破綻処理戦略のエントリー・ポイントの選択の問題をより詳細に検討することにより、破綻処理ツールの実施方法の開発を継続する。

この作業の延長として、ACPRは、保険グループに伝達可能なベスト・プラクティスを特定するため、保険グループから提出された予防的破綻処理計画について、重要な機能、その分離可能性、様々な相互関連性に関連する部分について水平的な分析を行う。
3.影響力戦略の追求
なお、2023年においては、以下の監督上の優先事項が挙げられていた。
 

1.国際的な経済・地政学的状況、特にエネルギー価格の上昇と成長見通しの悪化に関連するリスクの監視
2.ウクライナ戦争の結果によって増幅される金利上昇、インフレ、不動産・金融資産の評価のリスクのモニタリング
3.構造的なサイバー・気候リスクのモニタリング
4.顧客保護及びLCB-FTの分野における行動の継続

その中で、特に保険に関するテーマとしては、以下が挙げられていた。

・保険セクターの監督は、ソルベンシーIIの発効以来初めてとなる前例のない利上げを背景に行われており、保険事業への様々な影響を考慮した警戒が求められている。

・建設保険や信用保険のような経済状況に非常に敏感な活動が、監視の強化の対象となる。

・2021年のパイロット演習に続き、2023年には2 回目の気候変動ストレステストを実施する。

・保険商品のマーケティングのガバナンスに引き続き焦点を当て、生命保険のコストに関する作業を継続する。

・保険セクターのソルベンシーIIの改訂に関する欧州における交渉に焦点を当てた作業を行う。

・保険会社向けに 2022 年に作成された最初の破綻処理計画の継続と、保険の破綻処理に関する欧州文書草案に関連する作業への参加に焦点を当てる。

したがって、2024年においては、破綻処理カレッジに関する優先事項の特定に加えて、環境変化等を踏まえた上での変更を行った上で、基本的には2023年における監督上の優先事項が引き続き採用されている。さらには、新たに「ACPRの近代化と効率化の継続及びフランス銀行の戦略的計画への貢献」が項目に挙げられている。

保険においては、金利の上昇とインフレの進行を背景に、「金利リスクと資産・負債のデュレーションギャップの管理を引き続き注意深く監視する。」としている。また、2023年に実施された2 回目の気候変動ストレステストの結果とこのガバナンスに関する作業が公表される予定となっている。

さらに、破綻処理カレッジの優先事項に「保険破綻処理の専門性の強化」が挙げられ、保険破綻処理の任務の一環として、ACPRは2022年末から2023年初めにかけて採択された最初の予防的破綻処理計画を更新し、破綻処理ツールの実施方法の開発を継続し、この作業の延長として、保険グループに伝達可能なベスト・プラクティスを特定するため、保険グループから提出された予防的破綻処理計画について、重要な機能、その分離可能性、様々な相互関連性に関連する部分について水平的な分析を行う、としている。

4―まとめ

4―まとめ

以上、今回のレポートでは、米国のNAICやフランスのACPRの2024年における監督・規制上の優先事項について、報告してきた。

以前の保険年金フォーカスで報告したEIOPA(欧州保険年金監督局)の2024年の監督上のコンバージェンス計画英国のPRA(健全性規制機構)やオーストラリアのAPRA(オーストラリア健全性機構)の監督上の優先事項に加えて、今回のNAICやACPRが掲げている課題のいくつかは、基本的には世界各国の保険業界に共通する課題であり、そのためグローバルレベルでのIAIS(保険監督者国際機構)においても、同様のトピックに関する検討が行われてきている。

これらの課題は、日本の保険会社にとっても極めて重要な課題であることから、これらの検討を巡る動向等については、今後も引き続き注視していくこととしたい。
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中村 亮一

研究・専門分野

(2024年03月01日「保険・年金フォーカス」)

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レポート紹介

【NAIC(米国)やACPR(フランス)が2024年の監督・規制上の優先事項を公表】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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