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中国経済の見通し-2024年は同+4.6%、25年は同+4.4%と段階的に減速
基礎研REPORT(冊子版)2月号[vol.323]
三尾 幸吉郎
経済研究部 主任研究員 三浦 祐介
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投資について、固定資産投資の前年比伸び率の推移を見ると、製造業の設備投資は堅調に推移した一方、不動産開発投資は前年比で減少を続けており、不動産不況長期化の影響が顕著に表れている。景気下支えの役割を担うインフラ投資は、夏場以降勢いが弱まっている。
輸出に関しては、7月を底に持ち直しつつあるが、通年では前年比減となった。なお、輸入についても、輸出と同様、7月に底打ちしたが、通年では前年比減となっている。
3―産業の動向
鉱工業については、年初来緩やかに回復基調にある[図表4]。在庫調整が進んでおり、設備稼働率が4-6月期以降上向きつつあるほか、企業業績も最悪期は脱している。ただし、総じて需要不足が根強いことから、PMIが10月以降、改善と悪化の境目である50を下回り続けるなど、景況感は依然停滞している。
サービス業については、昨年の反動で年初から5月にかけて高い伸びをみせた後、その影響がはく落した6月には伸びが低下したが、再び持ち直しつつある。もっとも、上述の小売売上高と同様、10月以降については昨年のゼロコロナ規制の影響を割り引くと、改善の動きは一進一退の状況だ。PMIは、11月から12月にかけて50を下回っている。
4―経済政策
25年に入ると、不動産販売が前年比増に転じる可能性があるが、デベロッパーの在庫処理圧力が依然残存していることが予想され、不動産開発投資は引き続き抑制されるとみている。また、24年に国債増発の効果で加速したインフラ投資が減速するだろう。加えて、デレバレッジの取り組みの軸足が、足元の不動産デベロッパーから地方政府債務へと移っていく可能性がある。これに伴い、地方政府融資平台向けの不良債権処理圧力が強まり、経済を下押しすることも考えられる。
6―注目点
リスクとしては、不動産市場や地方財政の悪化、中小金融機関の経営悪化等の国内金融リスクのほか、地政学リスクも挙げられる。
国内の金融リスクに関しては、中央経済工作会議で「システミックリスクの回避というボトムラインを断固として守る」とされ、金融リスク発生に対する危機感と、その回避に向けた意志が強調された。とくに目下最大の懸案である不動産市場について、安定化に向けて従来よりも踏み込んだ対応がとられるか否かが注目される。
地政学リスクに関しては、2024年、世界各国・地域で重要な選挙が行われる予定となっている。米国におけるトランプ氏再選による対中規制の急激な強化など、外的リスクが立ち現れる可能性がある。また、先進国のデリスキングは、選挙結果にかかわらず強まるとみられるが、新たにどのような規制が設けられるのか等、先行きは不透明であり、今後の動向には引き続き注視が必要だろう。
(2024年02月07日「基礎研マンスリー」)
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