2024年02月05日

政策アセットミックスという名称への違和感

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年金運用においては、負債等に基づいて目標運用利回りを設定し、制度の状況や加入者の意向等に基づくリスク許容度を定め、投資対象や様々な制約条件を考慮して、運用の基本方針などと呼ばれる運用の基本的な原則が確定する。その後、投資対象の期待運用利回りとリスク、資産間の相関関係を勘案し効率的フロンティアに基づいた最適化の手法などで基本ポートフォリオが導出される。
 
基本ポートフォリオとほぼ同様の意味で政策アセットミックスと表現されることもあるが、どうも政策アセットミックスという訳語が耳に馴染まない。古い文献を見ると、運用の基本方針(英語のInvestment Policy)を「投資政策」と直訳したことに由来するようだが、現在では、投資政策という表現はまず使われていない。
 
同様に、Efficient Frontierを効率的フロンティアと訳すか、有効フロンティアと訳すかも、使用に際しての決定的なルールはない。リスクとリターンの効率を考えるという意味からは、効率的フロンティアの方がしっくり来るように思うが、いかがだろうか。
 
ちなみに、政府の策定する「政策」は、世論の反発ですぐに撤回されたり、公表後に修正されることも珍しくない。そのような「政策」という表現に違和感があるのは、もっともなのかもしれない。
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(2024年02月05日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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