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2023年07月20日
インドの保険監督規制を巡る動向2023-IRDAIによる規制改革等の状況(その1)-
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1―はじめに
インドの保険監督当局であるIRDAI(Insurance Regulatory and Development Authority of Indiaインド保険規制開発局)による各種の規制改革を巡る状況については、2022年から2023年初頭における動きについて、保険年金フォーカス「インドの保険監督規制を巡る動向―IRDAIによる一連の改革の状況(その1)―」(2022.11.9)、「インドの保険監督規制を巡る動向―IRDAIによる一連の改革の状況(その2)―」(2022.11.15)及び「インドの保険監督規制を巡る動向-IRDAIによる一連の改革の状況(その3)-」(2023.2.3)で報告した。
今回は、2023年に入ってからのその後のIRDAIの規制改革等の最近の動きについて、いくつかを抜粋して報告する。以下の内容は、それぞれIRDAIが公表したプレスリリース資料等に基づいている1。
1 プレスリリース資料の翻訳とそれに基づく内容の説明は、筆者の解釈と判断に基づいている。
今回は、2023年に入ってからのその後のIRDAIの規制改革等の最近の動きについて、いくつかを抜粋して報告する。以下の内容は、それぞれIRDAIが公表したプレスリリース資料等に基づいている1。
1 プレスリリース資料の翻訳とそれに基づく内容の説明は、筆者の解釈と判断に基づいている。
2―保険会社の取締役及び主要な経営幹部の報酬に関するガイドラインの発出
IRDAIは、2023年6月30日に、保険会社の取締役及びKMPs(Key Managerial Persons:主要な経営幹部)の報酬に関するガイドラインを発出2している。これは2016年8月15日付で公表された、「保険会社の非業務執行取締役及び常務取締役・最高経営責任者・常勤取締役の報酬に関するガイドライン」に取って代わるものである。
具体的には、以下の通りとなっている。
具体的には、以下の通りとなっている。
1|背景と目的
現行のガイドラインについては、2016年10月1日から施行されており、金融安定理事会 (FSB) 、保険監督者国際機構(IAIS)、G20、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)が示した一連の原則に基づいている。
今回の改訂は、このガイドラインの6年以上の施行を経て、保険会社によるガイドラインの実施と遵守の経験に基づいて行われている。
今回のガイドラインを発出する主な目的は、以下の通りとなっている。
i.報酬ガバナンスの実効性確保
ii.慎重なリスクテイクと報酬の整合性の確保
iii.効果的な監督・監視とステークホルダーの関与の確保
iv.保険契約者その他の利害関係者の利益の安全性の確保
現行のガイドラインについては、2016年10月1日から施行されており、金融安定理事会 (FSB) 、保険監督者国際機構(IAIS)、G20、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)が示した一連の原則に基づいている。
今回の改訂は、このガイドラインの6年以上の施行を経て、保険会社によるガイドラインの実施と遵守の経験に基づいて行われている。
今回のガイドラインを発出する主な目的は、以下の通りとなっている。
i.報酬ガバナンスの実効性確保
ii.慎重なリスクテイクと報酬の整合性の確保
iii.効果的な監督・監視とステークホルダーの関与の確保
iv.保険契約者その他の利害関係者の利益の安全性の確保
2|今回のガイドラインの概要
1999年IRDA法第14条に基づく権限の行使として、今回以下の2つのガイドラインが発出された。
(1) IRDAI(保険会社の非業務執行取締役の報酬)ガイドライン2023 (付属書A)
(2) IRDAI(保険会社のKMPsの報酬)ガイドライン2023 (付属書B)
これらのガイドラインは、IRDAIによる説明によれば、「個々の報酬の特定の形態や水準を規定することによって、保険会社が熟練した人材を引き付け、維持する能力を不当に制限したり、低下させたりすることを意図したものではなく、むしろ、過度のリスクテイクを回避するために、保険会社の長期的利益と報酬方針の整合性を促進し、それによって保険会社の健全なガバナンスと顧客の公正な処遇を促進すること」を目的としている。
保険会社の取締役会は、過度又は不適切なリスクテイクを誘発することなく、保険会社の企業文化、目的、戦略、特定されたリスク選好及び長期的利益に合致し、保険契約者その他の利害関係者の利益を適切に考慮した書面による報酬方針を採用し、その効果的な実施を監視することが求められる。
さらに、管理機能に関与する職員の完全性と客観性を損なう可能性のある利益相反の可能性も管理されるべきとしている。
具体的には、以下の内容が決定されている。
a.CEO以外のKMPs(主要な経営幹部)の報酬もガイドラインの範囲内とする。
b.取締役及びKMPsの報酬総額、変動報酬繰延、マルス及びクローバック規定3、会計処理、開示等について、変動報酬の範囲をより明確にする。
c.保険会社の取締役及び経営幹部の報酬に関するガイドラインを改訂する。
3 顕在化したリスク等に基づいて、繰り延べている報酬の減額を図るのが「マルス(malus)」であり、既に支払った報酬を返還させるのが「クローバック(clawbacks)」となる。
1999年IRDA法第14条に基づく権限の行使として、今回以下の2つのガイドラインが発出された。
(1) IRDAI(保険会社の非業務執行取締役の報酬)ガイドライン2023 (付属書A)
(2) IRDAI(保険会社のKMPsの報酬)ガイドライン2023 (付属書B)
これらのガイドラインは、IRDAIによる説明によれば、「個々の報酬の特定の形態や水準を規定することによって、保険会社が熟練した人材を引き付け、維持する能力を不当に制限したり、低下させたりすることを意図したものではなく、むしろ、過度のリスクテイクを回避するために、保険会社の長期的利益と報酬方針の整合性を促進し、それによって保険会社の健全なガバナンスと顧客の公正な処遇を促進すること」を目的としている。
保険会社の取締役会は、過度又は不適切なリスクテイクを誘発することなく、保険会社の企業文化、目的、戦略、特定されたリスク選好及び長期的利益に合致し、保険契約者その他の利害関係者の利益を適切に考慮した書面による報酬方針を採用し、その効果的な実施を監視することが求められる。
さらに、管理機能に関与する職員の完全性と客観性を損なう可能性のある利益相反の可能性も管理されるべきとしている。
具体的には、以下の内容が決定されている。
a.CEO以外のKMPs(主要な経営幹部)の報酬もガイドラインの範囲内とする。
b.取締役及びKMPsの報酬総額、変動報酬繰延、マルス及びクローバック規定3、会計処理、開示等について、変動報酬の範囲をより明確にする。
c.保険会社の取締役及び経営幹部の報酬に関するガイドラインを改訂する。
3 顕在化したリスク等に基づいて、繰り延べている報酬の減額を図るのが「マルス(malus)」であり、既に支払った報酬を返還させるのが「クローバック(clawbacks)」となる。
3|その他
新しいガイドラインは、2023年度(2024年3月31日に終了する年度)から適用される。なお、この新しいガイドラインは、インドで営業するFRBs(Foreign Reinsurance Branches:外国の再保険支店)には適用されない。
新しいガイドラインは、2023年度(2024年3月31日に終了する年度)から適用される。なお、この新しいガイドラインは、インドで営業するFRBs(Foreign Reinsurance Branches:外国の再保険支店)には適用されない。
3―オルタナティブ投資ファンドへの投資に関する監視強化
IRDAIは、2023年6月28日に、AIF(オルタナティブ投資ファンド)に投資する保険会社に対して、そのような投資の監視を強化するための新しいガイドラインを発出4した。
これによると、保険会社はAIFへの投資に関して、以下の要件を遵守することが勧告される。
1.AIFsのNAVs(純資産価値)は四半期毎に公表されるべきである。
2.AIFsへの投資のロールオーバーは、取締役会/投資委員会によって承認されるべきである。
3.保険会社は、各四半期末から15日以内に、規定された書式に従って、AIFsへの投資に関する四半期ごとの申告書を提出しなければならない。
これによると、保険会社はAIFへの投資に関して、以下の要件を遵守することが勧告される。
1.AIFsのNAVs(純資産価値)は四半期毎に公表されるべきである。
2.AIFsへの投資のロールオーバーは、取締役会/投資委員会によって承認されるべきである。
3.保険会社は、各四半期末から15日以内に、規定された書式に従って、AIFsへの投資に関する四半期ごとの申告書を提出しなければならない。
4―RBS(リスクベースの監督)の枠組みのパイロットの第一段階の開始の公表
IRDAIは、2023年6月27日に、RBS(リスクベースの監督)の枠組みのパイロットの第一段階が開始されると公表5した。
IRDAIは、これまで「原則に基づく規制制度」を推進し、ビジネスの容易性を促進し、積極的なリスクの特定と管理を奨励する目的で、インドの保険セクターにおけるRBS(リスクベースの監督)の枠組みの開発と実施に取り組んできた。この目的のために、IRDAIは非営利組織であるM/sトロントセンター(TC)と協力し、金融の安定性、危機への備え、消費者保護を強化するために強力な監督を促進することを使命として活動してきている。
RBSの強固な開発と円滑な実施を確保するために、IRDAIは過去数ヶ月にわたって様々なステークホルダーと関与してきたが、TCとの最近の協議の後、RBSのパイロットの第一段階は2023年7月から開始される予定であると述べた。
IRDAIは、これまで「原則に基づく規制制度」を推進し、ビジネスの容易性を促進し、積極的なリスクの特定と管理を奨励する目的で、インドの保険セクターにおけるRBS(リスクベースの監督)の枠組みの開発と実施に取り組んできた。この目的のために、IRDAIは非営利組織であるM/sトロントセンター(TC)と協力し、金融の安定性、危機への備え、消費者保護を強化するために強力な監督を促進することを使命として活動してきている。
RBSの強固な開発と円滑な実施を確保するために、IRDAIは過去数ヶ月にわたって様々なステークホルダーと関与してきたが、TCとの最近の協議の後、RBSのパイロットの第一段階は2023年7月から開始される予定であると述べた。
5―生命保険商品の承認等についての緩和
IRDAIは、2023年6月23日に、生命保険商品の承認等に関する規制を緩和することを公表6,7した。
これによれば、グループユニットリンク保険商品、新規ファンドで提供される個別ユニットリンク保険商品及び生命保険会社が主導するコンビ商品(組み合わせ商品)に対して、「Use and File」手続きを拡大している。
今回の緩和により、生命保険会社は事前の承認なしにこれらの商品を発売できるようになり、ビジネスのしやすさが向上し、市場ニーズへの迅速な対応が促進されることになる。また、商品のイノベーションが促進され、顧客にとってより良い選択ができるようになることが期待されている。
今回の緩和は、2022年10月に、全ての定期保険商品、既存ファンドとの個別ユニットリンク商品、非リンクグループ保険商品に対して、「Use and File」手続きが拡大されたことに続くものである。なお、IRDAIは、2022年に、生命保険会社、損害保険会社、健康保険会社が事前の承認を得ることなく生命保険商品や健康保険商品と特約を発売することを許可している。
6 https://irdai.gov.in/web/guest/document-detail?documentId=3540909
7 https://irdai.gov.in/web/guest/document-detail?documentId=3524812
これによれば、グループユニットリンク保険商品、新規ファンドで提供される個別ユニットリンク保険商品及び生命保険会社が主導するコンビ商品(組み合わせ商品)に対して、「Use and File」手続きを拡大している。
今回の緩和により、生命保険会社は事前の承認なしにこれらの商品を発売できるようになり、ビジネスのしやすさが向上し、市場ニーズへの迅速な対応が促進されることになる。また、商品のイノベーションが促進され、顧客にとってより良い選択ができるようになることが期待されている。
今回の緩和は、2022年10月に、全ての定期保険商品、既存ファンドとの個別ユニットリンク商品、非リンクグループ保険商品に対して、「Use and File」手続きが拡大されたことに続くものである。なお、IRDAIは、2022年に、生命保険会社、損害保険会社、健康保険会社が事前の承認を得ることなく生命保険商品や健康保険商品と特約を発売することを許可している。
6 https://irdai.gov.in/web/guest/document-detail?documentId=3540909
7 https://irdai.gov.in/web/guest/document-detail?documentId=3524812
6―保証債券の基準緩和
IRDAIは、2023年5月16日に、保証債券(Surety Bond)の利用可能性を高めることで保証保険市場を成長させることを目的として、保証債券の基準を緩和する「IRDAI(保証保険契約)ガイドライン」の改訂を公表8した。
保証債券は、取引又は契約に関与する当事者を、契約違反又はその他の種類の不履行による潜在的な金銭的損失から保護する保険契約の一種である。保証債券は、完全性、品質、契約条件の遵守を維持するためのリスク軽減ツールとして機能し、最終的には、特にインフラ部門のプロジェクトの円滑な機能に貢献し、健全なビジネス環境を促進する。
IRDAIは、保証債券の重要性を認識して、2022年1月に「IRDAI(保証保険契約)ガイドライン」 を発出した。今回、受領した様々なケースの評価に基づいて、当該商品に適用されるソルベンシー要件が、従来規定されていた1.875倍から1.5倍の管理水準に引き下げられた。また、保険会社が引き受ける契約ごとに適用される一般的な30%のエクスポージャー制限も撤廃された。
これらの改正は、保証保険業のみを取引するモノライン保険会社が会計年度に引き受けることができる保険料の上限を撤廃した以前の通知に続くものである。
なお、この「IRDAI(保証保険契約)ガイドライン」の改訂は、IRDAIが発行したこのテーマに関する通達の日付である2023年5月15日に発効している。
8 https://irdai.gov.in/web/guest/document-detail?documentId=3406598
https://irdai.gov.in/web/guest/document-detail?documentId=3406900
保証債券は、取引又は契約に関与する当事者を、契約違反又はその他の種類の不履行による潜在的な金銭的損失から保護する保険契約の一種である。保証債券は、完全性、品質、契約条件の遵守を維持するためのリスク軽減ツールとして機能し、最終的には、特にインフラ部門のプロジェクトの円滑な機能に貢献し、健全なビジネス環境を促進する。
IRDAIは、保証債券の重要性を認識して、2022年1月に「IRDAI(保証保険契約)ガイドライン」 を発出した。今回、受領した様々なケースの評価に基づいて、当該商品に適用されるソルベンシー要件が、従来規定されていた1.875倍から1.5倍の管理水準に引き下げられた。また、保険会社が引き受ける契約ごとに適用される一般的な30%のエクスポージャー制限も撤廃された。
これらの改正は、保証保険業のみを取引するモノライン保険会社が会計年度に引き受けることができる保険料の上限を撤廃した以前の通知に続くものである。
なお、この「IRDAI(保証保険契約)ガイドライン」の改訂は、IRDAIが発行したこのテーマに関する通達の日付である2023年5月15日に発効している。
8 https://irdai.gov.in/web/guest/document-detail?documentId=3406598
https://irdai.gov.in/web/guest/document-detail?documentId=3406900
7―情報とサイバーセキュリティに関するガイドラインの改訂
IRDAIは、2017年4月に保険会社のための情報とサイバーセキュリティに関するガイドラインを発行したが、その後、2022年にこれを全ての保険仲介業者に拡大した。
IRDAIは、2023年4月24日に、デジタル技術の広範な普及とそれに伴うサイバーセキュリティインシデントの増加を考慮して、保険業界がこのような新たなサイバー脅威に対処するための防御と関連するガバナンスメカニズムを強化できるように、改訂されたガイドラインを公表9した。
この中では、「ソーシャルメディアの許容される使用法」に関するセクションが含まれており、会社目的と個人目的に区分して、従業員による使用において求められるべき内容が記載されている。
なお、FRBsを含む全ての保険会社、ブローカーを対象とする保険仲介業者、コーポレートエージェント、ウェブアグリゲーター、TPAs(Third-Party Administrators)、IMFs(Insurance Marketing Firms)、保険リポジトリ、ISNP(Insurance Self-Network Platform)、企業サーベイヤー、MISPs(Motor Insurance Service Provide)、CSCs(Common Service Centres)及びインド保険情報局 (IIB)が、このガイドラインの対象となる。
IRDAIは、2023年4月24日に、デジタル技術の広範な普及とそれに伴うサイバーセキュリティインシデントの増加を考慮して、保険業界がこのような新たなサイバー脅威に対処するための防御と関連するガバナンスメカニズムを強化できるように、改訂されたガイドラインを公表9した。
この中では、「ソーシャルメディアの許容される使用法」に関するセクションが含まれており、会社目的と個人目的に区分して、従業員による使用において求められるべき内容が記載されている。
なお、FRBsを含む全ての保険会社、ブローカーを対象とする保険仲介業者、コーポレートエージェント、ウェブアグリゲーター、TPAs(Third-Party Administrators)、IMFs(Insurance Marketing Firms)、保険リポジトリ、ISNP(Insurance Self-Network Platform)、企業サーベイヤー、MISPs(Motor Insurance Service Provide)、CSCs(Common Service Centres)及びインド保険情報局 (IIB)が、このガイドラインの対象となる。
8―その他
以上に加えて、以下のような規制(の改訂)やガイドラインの策定等が進められている。
1|保険契約のローンを返済するためのクレジットカード使用の停止
IRDAI は、2023 年 5 月 4 日付の通達10で、保険契約者がクレジットカード機能を使用して、保険証券に対するローンを返済する慣行を停止することを決定し、「全ての生命保険会社は、保険契約に対して付与されたローンの返済方法として、クレジットカードの受け入れを直ちに停止するよう勧告される。」と述べた。
クレジットカードの支払ができなくなったり遅延したりした場合、顧客が莫大な金銭的リスクに直面する状況になることを考慮した対応となっている。
1|保険契約のローンを返済するためのクレジットカード使用の停止
IRDAI は、2023 年 5 月 4 日付の通達10で、保険契約者がクレジットカード機能を使用して、保険証券に対するローンを返済する慣行を停止することを決定し、「全ての生命保険会社は、保険契約に対して付与されたローンの返済方法として、クレジットカードの受け入れを直ちに停止するよう勧告される。」と述べた。
クレジットカードの支払ができなくなったり遅延したりした場合、顧客が莫大な金銭的リスクに直面する状況になることを考慮した対応となっている。
2|Birma Vahakのガイドラインのドラフト公表
IRDAIは、2023年6月1日に、Birma Vahakのガイドラインのドラフトを公表11している。
Bima Vahak は、保険事業を勧誘し、保険契約や保険金請求のサービスを促進するために保険会社によって任命された個人又は法人であり、農村地域での保険の包摂と普及を促進することを目的とした取組みである。
IRDAIは、2023年6月1日に、Birma Vahakのガイドラインのドラフトを公表11している。
Bima Vahak は、保険事業を勧誘し、保険契約や保険金請求のサービスを促進するために保険会社によって任命された個人又は法人であり、農村地域での保険の包摂と普及を促進することを目的とした取組みである。
3|広告に関する規制の改正提案
IRDAIは、2023年5月4日に、「2021年IRDAI(保険広告及び開示)規則」を改正する提案12を行っている。改正の目的は、商品販売促進のためのメディアキャンペーンの設計と承認において、保険会社の上級管理職により高い責任を割り当てることにより、保険広告に関する規則を強化することにある。
この中で、例えば、IRDAI は保険会社に対し、マーケティング、保険数理及びコンプライアンス部門からの少なくとも 3 人のメンバーを含む広告委員会を設立するよう求めることを提案している。広告委員会は商品管理委員会に報告し、商品管理委員会は、広告委員会の推奨事項を検討した後、広告を承認または拒否する最終的な権限を有することになる。
コメントの締切りは5月25日までとなっていた。
IRDAIは、2023年5月4日に、「2021年IRDAI(保険広告及び開示)規則」を改正する提案12を行っている。改正の目的は、商品販売促進のためのメディアキャンペーンの設計と承認において、保険会社の上級管理職により高い責任を割り当てることにより、保険広告に関する規則を強化することにある。
この中で、例えば、IRDAI は保険会社に対し、マーケティング、保険数理及びコンプライアンス部門からの少なくとも 3 人のメンバーを含む広告委員会を設立するよう求めることを提案している。広告委員会は商品管理委員会に報告し、商品管理委員会は、広告委員会の推奨事項を検討した後、広告を承認または拒否する最終的な権限を有することになる。
コメントの締切りは5月25日までとなっていた。
4|手数料規制の改訂
IRDAIは、2023年3月27日に、「2023年IRDAI(手数料の支払)規制」を公表13した。
これにより、仲介業者に支払われる手数料のセグメントごとの制限が廃止され、支払われる手数料の総額は、保険会社の全体的な管理費(EOM)に基づき設定される上限によって規制されることになる。
IRDAIは、2023年3月27日に、「2023年IRDAI(手数料の支払)規制」を公表13した。
これにより、仲介業者に支払われる手数料のセグメントごとの制限が廃止され、支払われる手数料の総額は、保険会社の全体的な管理費(EOM)に基づき設定される上限によって規制されることになる。
9―まとめ
以上、今回のレポートでは、2023年に入ってからのIRDAIの規制改革等の最近の動きについて、いくつかを抜粋して報告してきた。
IRDAIは、時代の変化に合わせて、保険の普及促進とともに、健全な保険事業運営のための各種の規制の基盤を策定してきている。
IRDAIは、時代の変化に合わせて、保険の普及促進とともに、健全な保険事業運営のための各種の規制の基盤を策定してきている。
(2023年07月20日「保険・年金フォーカス」)
このレポートの関連カテゴリ
中村 亮一のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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