2023年07月05日

中小企業に私的年金普及の可能性

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中小企業の企業年金導入割合が低いことは長年の課題の一つとなっている。その対応策として、企業が従業員の老後の資産形成をサポートできるイデコプラスなどの制度が創設されてきたが、従業員がイデコに加入することが前提となるイデコプラスは、従業員や企業の経済的な制約もあり、十分な普及には至っていない。
 
ところが、こうした状況を打開できる可能性が出てきた。岸田政権は成長と分配の好循環を目指す「新しい資本主義」の実現に向けた実行計画の訂正版を取りまとめたが、その中で、中小企業の経営や賃上げを支援する政策が盛り込まれているのである。
 
実行計画は、成長産業の育成と成長産業への人の移動の促進を通じて、日本経済を成長軌道に乗せるための計画である。ただし、GDPの約5割、雇用の約7割を占める中小企業の経営改善なくして、持続可能な成長はないとの判断が背景にはある。
 
中小企業の経営改善とその従業員の賃上げが実現すれば、イデコプラスなどの制度導入のハードルは下がる。中小企業にも私的年金が普及すれば、人生100年時代に社会全体で備えられるようになる。社会経済の持続可能性を高めるためにも、この機を捉えた中小企業における私的年金の普及拡大に向けた検討が望まれる。

(2023年07月05日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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