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100年後には総人口が5000万人を割り込み、高齢化率は前回より上昇-新しい将来推計人口を読む(3) 総人口や年齢構成への影響

保険研究部 主席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査部長 兼任 中嶋 邦夫
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4 ―― 総括:100年後には総人口が5000万人を割り込み、高齢化率は前回推計より上昇
- 総人口は、100年後(2120年)には4973万人へ減少し、100年前(1920年)を約600万人下回る見通し。
- 15歳未満と15~64歳と65歳以上の比率は、2020年の1割:6割:3割から、2070年には1割:5割:4割となり、2120年までおおむねこの比率で推移する見通し。
- 15歳未満の比率は、前回推計の標準的なケース(中位推計)の10.3%から1.4ポイント低下して8.9%になる見通し。海外からの人口流入を前回と同程度に据え置いた場合は8.8%であり、流入増加の影響は限定的。
- 15~64歳の比率は、前回の中位推計の51.3%から0.7ポイント低下して50.6%になる見通し。海外からの人口流入を前回と同程度に据え置いた場合は49.1%。今回の中位推計は、海外からの流入増加で押し上げられているものの、出生率の低下や長寿化の進行の影響が大きく、前回より若干低下。
- 65歳以上の比率は、前回の中位推計の38.4%から2.0ポイント上昇して40.4%になる見通し。海外からの人口流入を前回と同程度に据え置いた場合は42.0%。今回の中位推計は、海外からの流入増加により押し下げられているものの、出生率の低下や長寿化の進行の影響が大きく、前回より上昇。
- 15~64歳人口と65歳以上人口の比は、前回の中位推計の1.33から0.08低下して1.25になる見通し。海外からの人口流入を前回と同程度に据え置いた場合は1.17。海外からの流入増加で押し上げられているものの、出生率の低下や長寿化の進行などの影響が大きく、前回より低下。
このように、前回の推計と比べて海外からの人口流入が倍増する仮定になっているにもかかわらず、約100年後には15~64歳の比率が前回より若干低下し、65歳以上の比率が前回より上昇する結果となっている。近年は女性や65歳以降で就労する割合が増えているため、今回の推計で示された年齢構成の変化が公的年金などの社会保険制度の財政状況にそのまま影響するわけではない。しかし、女性や高齢者の就労割合が増えなければ、今回の推計で示された年齢構成の変化に沿って厳しい状況となり、将来世代の負担が増すことが読み取れる10。就労形態の柔軟化や職業訓練の促進など、働きたい人が働ける環境整備を、さらに進める必要があろう。
10 公的年金の保険料は実質的に固定されているが、財政状況が悪くなれば将来の給付水準が下がる仕組みになっている。そのため、財政状況が厳しくなれば、将来世代は公的年金の給付水準の低下に伴って自助努力を増やす必要が生じる、という形で負担が増す。
(2023年05月15日「基礎研レポート」)

03-3512-1859
- 【職歴】
1995年 日本生命保険相互会社入社
2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)
【社外委員等】
・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)
【加入団体等】
・生活経済学会、日本財政学会、ほか
・博士(経済学)
中嶋 邦夫のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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