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2023年05月09日
欧州大手保険グループの地域別の事業展開状況-2022年決算数値等に基づく現状分析-
1―はじめに
欧州大手保険グループの2022年決算数値が、2023年2月から4月にかけて、投資家向けのプレゼンテーション資料やAnnual Report等の形で公表されている。今回のレポートでは、2022年決算に関わる各社の決算数値等に基づいて、欧州大手保険グループの生命保険事業を中心とした地域別の事業展開の状況について報告する。
欧州大手保険グループを巡る経営環境は、世界的な金融緩和の長期化に伴う低金利環境の継続、その後の急激な金利上昇に加えて、2016年1月にスタートしたソルベンシーIIをはじめとした各種の規制強化・整備への対応、2023年1月に開始する事業年度から適用されることになる新たな保険契約会計基準IFRS第17号への対応等、数多くの課題を抱えている状況にある。さらには、気候変動、パンデミック、DX(デジタルトランスフォーメーション)等といった新たな課題への対応やサステナビリティ経営への取組等も従前以上に求められてきている状況にある。各社ともこうした環境下で、それぞれの戦略に基づいた海外事業展開の拡大・再編等を進め、収益基盤の再構築を図ってきている。
昨年の基礎研レポートでは、欧州大手保険グループの地域別の事業展開状況について、2021年決算数値等に基づく現状分析を報告した1。
これまでの基礎研レポートでも述べてきたが、以下の報告においては、例えば、分析用に開示されている保険料や営業利益2のベースや地域別の区分の考え方が、各社によって異なっており、各社の公表データのベースも必ずしも統一されていない。さらに、セグメント情報の提供において、必ずしも生命保険事業と損害保険事業を区分していない会社もあり、また各種の規制の動向等も踏まえて、これまでとは異なる経営指標や評価基準に基づく開示内容に変更してきている会社もある。加えて、2021年決算報告時とは異なるベースで2022年の決算報告を行っている会社もある。特に、2023年からは新たな保険契約の国際会計基準であるIFRS第17号が適用になることから、その実施を見据えての対応等も行われてきている。
以上のような理由から、今回の分析については、各種制約下で、各社間比較等も必ずしも十分なものとはなっていないが、筆者の判断で各種前提を置いて、一定比較可能と思われる数値を作成して分析を行っている3。そのため、各社がそれぞれの考え方に基づいて開示している地域別の事業状況等の数値が、このレポートで筆者が独自に採用したベースとは必ずしも一致していないケースもあることを述べておく。
なお、今回のレポートは、あくまでも地域別の事業展開に焦点を当てており、新契約実績や収益状況等の詳細については、別途のレポートで報告する。
1 なお、2022年末のソルベンシーの状況については、筆者による、保険・年金フォーカス「欧州大手保険グループの2022年末SCR比率の状況について-ソルベンシーIIに基づく数値結果報告(1)及び(2)-」(2023.4.3及び4.4)を参照していただきたい。
2 各社によって、Operating ProfitやUnderlying Earnings等と英語の名称が異なるものを、このレポートでは、必ずしも正確ではなく、厳密な意味での同等な比較にはなっていないが、また本来的には「基礎利益」等と表現することがより適切なケースもあるかもしれないが、以下では、基本的には「営業利益」との表現を使用している。 3 以下の図表においては、昨年報告した2021年数値についても、適宜2022年ベースに修正している。
欧州大手保険グループを巡る経営環境は、世界的な金融緩和の長期化に伴う低金利環境の継続、その後の急激な金利上昇に加えて、2016年1月にスタートしたソルベンシーIIをはじめとした各種の規制強化・整備への対応、2023年1月に開始する事業年度から適用されることになる新たな保険契約会計基準IFRS第17号への対応等、数多くの課題を抱えている状況にある。さらには、気候変動、パンデミック、DX(デジタルトランスフォーメーション)等といった新たな課題への対応やサステナビリティ経営への取組等も従前以上に求められてきている状況にある。各社ともこうした環境下で、それぞれの戦略に基づいた海外事業展開の拡大・再編等を進め、収益基盤の再構築を図ってきている。
昨年の基礎研レポートでは、欧州大手保険グループの地域別の事業展開状況について、2021年決算数値等に基づく現状分析を報告した1。
これまでの基礎研レポートでも述べてきたが、以下の報告においては、例えば、分析用に開示されている保険料や営業利益2のベースや地域別の区分の考え方が、各社によって異なっており、各社の公表データのベースも必ずしも統一されていない。さらに、セグメント情報の提供において、必ずしも生命保険事業と損害保険事業を区分していない会社もあり、また各種の規制の動向等も踏まえて、これまでとは異なる経営指標や評価基準に基づく開示内容に変更してきている会社もある。加えて、2021年決算報告時とは異なるベースで2022年の決算報告を行っている会社もある。特に、2023年からは新たな保険契約の国際会計基準であるIFRS第17号が適用になることから、その実施を見据えての対応等も行われてきている。
以上のような理由から、今回の分析については、各種制約下で、各社間比較等も必ずしも十分なものとはなっていないが、筆者の判断で各種前提を置いて、一定比較可能と思われる数値を作成して分析を行っている3。そのため、各社がそれぞれの考え方に基づいて開示している地域別の事業状況等の数値が、このレポートで筆者が独自に採用したベースとは必ずしも一致していないケースもあることを述べておく。
なお、今回のレポートは、あくまでも地域別の事業展開に焦点を当てており、新契約実績や収益状況等の詳細については、別途のレポートで報告する。
1 なお、2022年末のソルベンシーの状況については、筆者による、保険・年金フォーカス「欧州大手保険グループの2022年末SCR比率の状況について-ソルベンシーIIに基づく数値結果報告(1)及び(2)-」(2023.4.3及び4.4)を参照していただきたい。
2―欧州大手保険グループの各社間比較-全体の業績と地域別業績について-
欧州大手保険グループとしては、欧州の主要国を代表する保険グループとして、AXA(フランス)、Allianz(ドイツ)、Generali(イタリア)、Aviva(英国)、Aegon(オランダ) 、Zurich(スイス)の6社を対象にしている。
AXA、Allianz、Aviva、Aegon及びGeneraliの5社は、これまで、FSB(Financial Stability Board:金融安定理事会) が選定していたG-SIIs(Global Systemically Important Insurers:グローバルなシステム上重要な保険会社)に指定されてきたことがある会社である4。なお、4年前までの基礎研レポートで含めていたPrudentialについては、2019年10月に、アジアと米国における保険事業を展開するPrudential plcと欧州における保険事業と投資管理事業を展開するM&G plcに分割され、さらに2021年9月には米国子会社だったJackson Nationalも完全に分離されたため、これまで、さらには2020年と同様なベースでの数値の取得ができなくなっている。ただし、引き続きPrudential は世界を代表する保険グループとして重要なポジションを有しているので、参考として各種数値を掲載している。
なお、以下の図表の数値は、特に断りがない限り、各社の公表資料に基づいている。
4 FSBは2017年以降、G-SIIsのリストを公表していなかったが、2022年12月には、G-SIIs の年次特定を中止(discontinue)する、と公表している。
1|会社全体の業績
以下の図表は、欧州大手保険グループの保険料と営業利益の事業別内訳を示している。なお、AXAの場合、保険料の生保・損保別の内訳は開示されていないが、総収入(Gross Revenues)のうちの保険事業は100,514百万ユーロで、そのうち生命・貯蓄が31,515百万ユーロ、医療が17,418百万ユーロ、損害が51,581百万ユーロとなっている。
これからわかるように、今回報告の対象としている欧州大手保険グループは、生命保険事業と損害保険事業を展開し、さらに近年は、資産管理事業も会社によっては大きな位置付けを占めるようになってきている。ただし、グループ全体における生命保険事業と損害保険事業等のウェイトは、会社毎に異なっており、例えばAegonにおける損害保険事業は大きなものとはなっていない。
以下の分析では、主として、生命保険事業に焦点を当てて、各社の数値比較等を行っていくこととする。保険事業に関しても、例えばZurichの「Farmers」については分析の対象に含めていない。また、比較のため、各社が採用している経営指標等の数値に関わらず、営業利益に関しては「税引前」ベースに相当する数値を使用している。
AXA、Allianz、Aviva、Aegon及びGeneraliの5社は、これまで、FSB(Financial Stability Board:金融安定理事会) が選定していたG-SIIs(Global Systemically Important Insurers:グローバルなシステム上重要な保険会社)に指定されてきたことがある会社である4。なお、4年前までの基礎研レポートで含めていたPrudentialについては、2019年10月に、アジアと米国における保険事業を展開するPrudential plcと欧州における保険事業と投資管理事業を展開するM&G plcに分割され、さらに2021年9月には米国子会社だったJackson Nationalも完全に分離されたため、これまで、さらには2020年と同様なベースでの数値の取得ができなくなっている。ただし、引き続きPrudential は世界を代表する保険グループとして重要なポジションを有しているので、参考として各種数値を掲載している。
なお、以下の図表の数値は、特に断りがない限り、各社の公表資料に基づいている。
4 FSBは2017年以降、G-SIIsのリストを公表していなかったが、2022年12月には、G-SIIs の年次特定を中止(discontinue)する、と公表している。
1|会社全体の業績
以下の図表は、欧州大手保険グループの保険料と営業利益の事業別内訳を示している。なお、AXAの場合、保険料の生保・損保別の内訳は開示されていないが、総収入(Gross Revenues)のうちの保険事業は100,514百万ユーロで、そのうち生命・貯蓄が31,515百万ユーロ、医療が17,418百万ユーロ、損害が51,581百万ユーロとなっている。
これからわかるように、今回報告の対象としている欧州大手保険グループは、生命保険事業と損害保険事業を展開し、さらに近年は、資産管理事業も会社によっては大きな位置付けを占めるようになってきている。ただし、グループ全体における生命保険事業と損害保険事業等のウェイトは、会社毎に異なっており、例えばAegonにおける損害保険事業は大きなものとはなっていない。
以下の分析では、主として、生命保険事業に焦点を当てて、各社の数値比較等を行っていくこととする。保険事業に関しても、例えばZurichの「Farmers」については分析の対象に含めていない。また、比較のため、各社が採用している経営指標等の数値に関わらず、営業利益に関しては「税引前」ベースに相当する数値を使用している。
以下の図表は、各社がグループ全体の指標として提示しているROE(Return on Equity:資本収益率)の状況を示している。このROEの数値の算出方法等についても、各社間で統一されているわけではないが、あくまでも会社によっては経営目標の1つとなって、その達成の有無が取締役の報酬にも関係する項目となっているので、参考として掲載しておく。
ROEについては、基本的には各社はグループ全体の数値のみを開示している。生命保険事業以外のウェイトもかなり高い4社のうち、Allianzのみが生命保険事業の数値を公表している。なお、AXAやGeneraliはEV(Embedded Value)に対するリターンという形で、以前は生命保険事業に対するROEも開示していたが、2017年以降は両社とも開示していない。
これによれば、2022年の各社のROEは8%から17%と幅広い範囲にあり、2021年との比較では、AXAはほぼ同水準、Avivaが大きく上昇、AllianzとAegonが低下、Zurichが上昇となっている。
ROEについては、基本的には各社はグループ全体の数値のみを開示している。生命保険事業以外のウェイトもかなり高い4社のうち、Allianzのみが生命保険事業の数値を公表している。なお、AXAやGeneraliはEV(Embedded Value)に対するリターンという形で、以前は生命保険事業に対するROEも開示していたが、2017年以降は両社とも開示していない。
これによれば、2022年の各社のROEは8%から17%と幅広い範囲にあり、2021年との比較では、AXAはほぼ同水準、Avivaが大きく上昇、AllianzとAegonが低下、Zurichが上昇となっている。
2|保険事業の地域別業績
ここでは、各社のセグメント情報に基づいて、保険事業に関する保険料と営業利益5の地域別内訳を見ている6,7。
5 保険事業に焦点を当てているため、「営業利益」においては、基本的には資産管理事業等を除いているが、各社数値の図表等においては資産管理事業等の保険事業以外も含んで、「その他」に含まれている場合もある(Aegon)。
6 地域区分は、基本的に引受会社の所属国に基づいている。
7 2022年の数値算出において、会社によっては、地域別のセグメントの変更や算出方法等の変更を行っているケースもあり、これに伴い、昨年の基礎研レポートで報告した2021年の数値を変更している場合もある。
2-1.保険料の状況
まずは、保険料の地域別内訳を見てみる。ここでの保険料の数値には、例えばユニット・リンク等の投資型保険からの収入が反映されていなかったりするが、各社の地域間の分布等を比較するための1つの基準として採用している。
(1)2022年の結果
これによれば、各社毎に状況は異なっているが、各社とも自国(親会社国)以外からの保険料が一定の規模を有しており、自国以外での事業が大きな位置付けを有している。なお、Avivaの場合、欧州事業の売却等により、英国&アイルランドが8割程度を占める形になっている。
ここでは、各社のセグメント情報に基づいて、保険事業に関する保険料と営業利益5の地域別内訳を見ている6,7。
5 保険事業に焦点を当てているため、「営業利益」においては、基本的には資産管理事業等を除いているが、各社数値の図表等においては資産管理事業等の保険事業以外も含んで、「その他」に含まれている場合もある(Aegon)。
6 地域区分は、基本的に引受会社の所属国に基づいている。
7 2022年の数値算出において、会社によっては、地域別のセグメントの変更や算出方法等の変更を行っているケースもあり、これに伴い、昨年の基礎研レポートで報告した2021年の数値を変更している場合もある。
2-1.保険料の状況
まずは、保険料の地域別内訳を見てみる。ここでの保険料の数値には、例えばユニット・リンク等の投資型保険からの収入が反映されていなかったりするが、各社の地域間の分布等を比較するための1つの基準として採用している。
(1)2022年の結果
これによれば、各社毎に状況は異なっているが、各社とも自国(親会社国)以外からの保険料が一定の規模を有しており、自国以外での事業が大きな位置付けを有している。なお、Avivaの場合、欧州事業の売却等により、英国&アイルランドが8割程度を占める形になっている。
各社別の地域別の構成比の概要は、以下の通りとなっている。
AXAは、自国のフランスが30%、フランス以外の欧州が34%、アジア・太平洋が12%となっている。なお、その他には国際(International)の数値を含めている。
Allianzの生保は、自国のドイツで50%、ドイツ以外の欧州で28%となっているが、米国中心の米州やアジア・太平洋も有意な水準となっている(なお、「3―2|Allianz 」で述べるように、法定保険料ベースでは、米国のシェアは20%とより高いものとなっている)。損保では、国際部門や再保険の数値が含まれていることから「その他」の割合が21%と高くなっている。
Generaliの生保は、自国のイタリアが37%、イタリア以外の欧州で51%と高くなっており、欧州以外の構成比は11%に留まっている。
Avivaは、基本的には英国とアイルラン以外の欧州事業を売却したため、英国及びアイルランドの合計が79%、カナダの損保事業である米州が21%となっている。
Aegonの場合、自国のオランダは11%で、オランダ以外の欧州が39%となっているが、米国及び中南米を含む米州が59%と、他社に比べてかなり高い水準になっている。
Zurichは、自国のスイスが生保で9%、損保で10%、スイス以外の欧州が生保で45%、損保で31%となっている。中南米を中心とした米州が生保で24%、損保で55%と、Aegonと同様に、これらの地域の構成比がかなり高くなっている。さらに、アジア・太平洋も、生保
で22%、損保で8%と有意な水準になっている。
保険料という指標で見た場合、アジア・太平洋の構成比は、近年上昇傾向にあり、AXA、Allianzの生保及びZurichの生保では1割を超える水準になっている。
(2)2021年との比較
保険料の進展が必ずしも収益の拡大に結びつくものではないが、あくまでも参考として2021年との比較を見てみると、以下の図表の通りとなっている。
各社とも事業地域の再編等を行っていることもあり、前年との単純な比較が難しくなっている。また決算数値を前年と比較する場合においては、為替レートの変化による影響も小さくないことに注意が必要になる。会社によっては、Annual Report等の業績説明において、為替レートを前年ベースとした場合の進展率等の数字も開示している。
AXAは、自国のフランスが30%、フランス以外の欧州が34%、アジア・太平洋が12%となっている。なお、その他には国際(International)の数値を含めている。
Allianzの生保は、自国のドイツで50%、ドイツ以外の欧州で28%となっているが、米国中心の米州やアジア・太平洋も有意な水準となっている(なお、「3―2|Allianz 」で述べるように、法定保険料ベースでは、米国のシェアは20%とより高いものとなっている)。損保では、国際部門や再保険の数値が含まれていることから「その他」の割合が21%と高くなっている。
Generaliの生保は、自国のイタリアが37%、イタリア以外の欧州で51%と高くなっており、欧州以外の構成比は11%に留まっている。
Avivaは、基本的には英国とアイルラン以外の欧州事業を売却したため、英国及びアイルランドの合計が79%、カナダの損保事業である米州が21%となっている。
Aegonの場合、自国のオランダは11%で、オランダ以外の欧州が39%となっているが、米国及び中南米を含む米州が59%と、他社に比べてかなり高い水準になっている。
Zurichは、自国のスイスが生保で9%、損保で10%、スイス以外の欧州が生保で45%、損保で31%となっている。中南米を中心とした米州が生保で24%、損保で55%と、Aegonと同様に、これらの地域の構成比がかなり高くなっている。さらに、アジア・太平洋も、生保
で22%、損保で8%と有意な水準になっている。
保険料という指標で見た場合、アジア・太平洋の構成比は、近年上昇傾向にあり、AXA、Allianzの生保及びZurichの生保では1割を超える水準になっている。
(2)2021年との比較
保険料の進展が必ずしも収益の拡大に結びつくものではないが、あくまでも参考として2021年との比較を見てみると、以下の図表の通りとなっている。
各社とも事業地域の再編等を行っていることもあり、前年との単純な比較が難しくなっている。また決算数値を前年と比較する場合においては、為替レートの変化による影響も小さくないことに注意が必要になる。会社によっては、Annual Report等の業績説明において、為替レートを前年ベースとした場合の進展率等の数字も開示している。
2-2.営業利益の状況
次に、保険事業の営業利益の地域別内訳を見てみる。地域別の利益配分等にも各社の考え方が反映されているが、各国における子会社毎や各社間の収益状況の差異等も一定程度比較できるものと考えられる。なお、一般的には、国際部門や再保険関係の損益が「その他」に含まれていることから、グループによっては「その他」の構成比が、特に損保事業を中心に大きくなっており、その数値も比較的大きく変動している。
(1)2022年の結果
営業利益ベースでも、各社の地域別の構成比の状況は、保険料と基本的には大きくは変わっていないが、地域別の収益状況や各地域での深耕度等を反映して、若干異なる傾向となっている。
各社別の地域別の構成比の概要は、以下の通りとなっている。
AXAの生保は、日本の貢献が大きく、アジア・太平洋が32%と高くなっている。
Allianzの生保は、米国が22%と高くなっているが、アジア・太平洋は構成比を高めてきて10%となっている。
Generaliの生保は、イタリアが43%、イタリア以外の欧州が52%で、合計では95%となって、保険料の構成比よりも高くなっており、営業利益ではより欧州に依存した形になっている。
Avivaは、英国とアイルランドでの営業利益が大半を占め、カナダの米州が20%となっている。
Aegonは、オランダが41%、英国中心のその他の欧州が19%で、米国及び中南米を含む米州の営業利益が41%と高くなっている。
Zurichの生保は、スイスが15%、スイス以外の欧州が47%となっているが、アジア・太平洋が17%であることに加えて、中南米を中心とした米州が21%で、これらの地域の構成比も高くなっている。
営業利益という指標で見た場合には、アジア・太平洋の構成比は、AXAが32%、Zurichが17%と高くなっているが、Allianz、Generali、Aviva、Aegonについては、その会社全体における位置付けを高めてきてはいるものの、いまだその構成比は1割程度以下に留まっている。
次に、保険事業の営業利益の地域別内訳を見てみる。地域別の利益配分等にも各社の考え方が反映されているが、各国における子会社毎や各社間の収益状況の差異等も一定程度比較できるものと考えられる。なお、一般的には、国際部門や再保険関係の損益が「その他」に含まれていることから、グループによっては「その他」の構成比が、特に損保事業を中心に大きくなっており、その数値も比較的大きく変動している。
(1)2022年の結果
営業利益ベースでも、各社の地域別の構成比の状況は、保険料と基本的には大きくは変わっていないが、地域別の収益状況や各地域での深耕度等を反映して、若干異なる傾向となっている。
各社別の地域別の構成比の概要は、以下の通りとなっている。
AXAの生保は、日本の貢献が大きく、アジア・太平洋が32%と高くなっている。
Allianzの生保は、米国が22%と高くなっているが、アジア・太平洋は構成比を高めてきて10%となっている。
Generaliの生保は、イタリアが43%、イタリア以外の欧州が52%で、合計では95%となって、保険料の構成比よりも高くなっており、営業利益ではより欧州に依存した形になっている。
Avivaは、英国とアイルランドでの営業利益が大半を占め、カナダの米州が20%となっている。
Aegonは、オランダが41%、英国中心のその他の欧州が19%で、米国及び中南米を含む米州の営業利益が41%と高くなっている。
Zurichの生保は、スイスが15%、スイス以外の欧州が47%となっているが、アジア・太平洋が17%であることに加えて、中南米を中心とした米州が21%で、これらの地域の構成比も高くなっている。
営業利益という指標で見た場合には、アジア・太平洋の構成比は、AXAが32%、Zurichが17%と高くなっているが、Allianz、Generali、Aviva、Aegonについては、その会社全体における位置付けを高めてきてはいるものの、いまだその構成比は1割程度以下に留まっている。
(2023年05月09日「基礎研レポート」)
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中村 亮一のレポート
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