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2023年04月07日
欧州大手保険グループの2022年末SCR比率の状況について(3)-ソルベンシーIIに基づく数値結果報告(資本取引等)-
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4|Aviva
Avivaの2022年における主な資本取引等とその概要は、以下の通りであった。
2022年2月1日に、Aviva Life&Pensions UK Ltdが、Northern Bank Pension Schemeとの2つの年金受給者のバイイン(株の買付け)取引の完了を発表した。最初の取引は2億2700万ポンドで、2021年9月に完了し、2番目の取引は2021年12月に最近退職した年金受給者に対するさらなる3000万ポンドを保証する。
2022年3月2日に、急成長している英国のウェルスマーケットにおけるAvivaの地位を大幅に強化するために、3億8500万ポンドの対価でSuccession Wealthを買収することを発表した。この会社は、約19,000の顧客と、95億ポンドの資産にアドバイスしており、この契約により、約400万人の職域年金の顧客にアドバイスを提供できるようになると語った。なお、8月11日に、Succession Wealthの買収が完了したことを発表している。
また、同じく2022年3月2日に、B株スキームにより、普通株式の保有者に37億5,000万ポンドの資本を返還する提案を発表した。
なお、AvivaグループCEOのAmanda Blanc氏は、3月に、過去20カ月間で、合計75億ポンドで8つの事業の売却を完了させたと述べた。
2022年5月6日に、Aviva Life & Pensions UK LtdがCruden Investment Limited Retirement Benefits Schemeとの 300万ポンドのバイイン取引を完了したと発表した。Cruden Investment Limitedは、スコットランド最大の開発及び建設グループの1つである Cruden Holdingsの一部である。この日に発表された取引は、2018年に完了した700万ポンドの年金受給者のみの取引に続くもので、この最新のバイイン取引を完了することで、トラスティは残りの全ての確定給付債務をAvivaに譲渡することに成功した。
2022年8月2日に、英国とアイルランドにおける富裕層の個人向け事業を買収するために、スペシャリストのマネージングゼネラルエージェントであるAzur Underwriting Ltdと拘束力のある契約を結んだと発表した。
2022年9月28日に、Dabur Invest Corp. からインドの合弁会社である Aviva Life Insurance Company India Limited (ALICIL) の25%の株式を取得し、株式取得後のAviva の株式保有は ALICIL の74%に増加したと発表した。
2022年12月1日に、Musicians Union Permanent Officials and Staff Pension Fund の受託者との間で、1,300 万ポンドの一括購入年金バイイン取引を完了したことを発表した。
2022年12月6日に、Coats UK Pension Schemeとの 3億5,000 万ポンドの一括年金バイイン取引を完了したと発表した。
なお、Avivaは2023年に入ってから、以下のような動きを見せている。
2023年1月12日に、Interserve Pension Schemeとの4億ポンドのバイイン取引を完了したと発表した。
2023年2月10日に、Arcadia Group Pension Schemesとの8億5,000 万ポンドのバイイン取引を完了したと発表した。
2023年4月4日に、DB (UK) Pension Schemeとの4億ポンドのバルク年金契約のバイイン取引を完了したと発表した。
Avivaの2022年における主な資本取引等とその概要は、以下の通りであった。
2022年2月1日に、Aviva Life&Pensions UK Ltdが、Northern Bank Pension Schemeとの2つの年金受給者のバイイン(株の買付け)取引の完了を発表した。最初の取引は2億2700万ポンドで、2021年9月に完了し、2番目の取引は2021年12月に最近退職した年金受給者に対するさらなる3000万ポンドを保証する。
2022年3月2日に、急成長している英国のウェルスマーケットにおけるAvivaの地位を大幅に強化するために、3億8500万ポンドの対価でSuccession Wealthを買収することを発表した。この会社は、約19,000の顧客と、95億ポンドの資産にアドバイスしており、この契約により、約400万人の職域年金の顧客にアドバイスを提供できるようになると語った。なお、8月11日に、Succession Wealthの買収が完了したことを発表している。
また、同じく2022年3月2日に、B株スキームにより、普通株式の保有者に37億5,000万ポンドの資本を返還する提案を発表した。
なお、AvivaグループCEOのAmanda Blanc氏は、3月に、過去20カ月間で、合計75億ポンドで8つの事業の売却を完了させたと述べた。
2022年5月6日に、Aviva Life & Pensions UK LtdがCruden Investment Limited Retirement Benefits Schemeとの 300万ポンドのバイイン取引を完了したと発表した。Cruden Investment Limitedは、スコットランド最大の開発及び建設グループの1つである Cruden Holdingsの一部である。この日に発表された取引は、2018年に完了した700万ポンドの年金受給者のみの取引に続くもので、この最新のバイイン取引を完了することで、トラスティは残りの全ての確定給付債務をAvivaに譲渡することに成功した。
2022年8月2日に、英国とアイルランドにおける富裕層の個人向け事業を買収するために、スペシャリストのマネージングゼネラルエージェントであるAzur Underwriting Ltdと拘束力のある契約を結んだと発表した。
2022年9月28日に、Dabur Invest Corp. からインドの合弁会社である Aviva Life Insurance Company India Limited (ALICIL) の25%の株式を取得し、株式取得後のAviva の株式保有は ALICIL の74%に増加したと発表した。
2022年12月1日に、Musicians Union Permanent Officials and Staff Pension Fund の受託者との間で、1,300 万ポンドの一括購入年金バイイン取引を完了したことを発表した。
2022年12月6日に、Coats UK Pension Schemeとの 3億5,000 万ポンドの一括年金バイイン取引を完了したと発表した。
なお、Avivaは2023年に入ってから、以下のような動きを見せている。
2023年1月12日に、Interserve Pension Schemeとの4億ポンドのバイイン取引を完了したと発表した。
2023年2月10日に、Arcadia Group Pension Schemesとの8億5,000 万ポンドのバイイン取引を完了したと発表した。
2023年4月4日に、DB (UK) Pension Schemeとの4億ポンドのバルク年金契約のバイイン取引を完了したと発表した。
5|Aegon
Aegonの2022年における主な資本取引等とその概要は、以下の通りであった。
2022年1月7日に、株式ベースの報酬プランのために5千万ユーロの株式を買い戻すと発表し、1月25日に完了した。
2022年2月16日に、VIG(Vienna Insurance Group AG Wiener Versicherung Gruppe)がCorvinus Nemzetközi Befektetési Zrtを保有するハンガリー国との間で合意に達したと発表した。これによると、「ハンガリーのVIG会社は、ハンガリーのVIG持株会社(VIG Magyarorszag Befektetesi Zrt)と2つのオランダの持株会社(Aegon Hungary Holding BVとAegon Hungary Holding II BV)によって保有される。Corvinusは、これら3つの持株会社のそれぞれで45%の非支配少数株主持分を取得する。これらの持株会社への3つの45%の参加について合意された購入価格は、約3億5,000万ユーロになる。UNION Vienna Insurance Group Biztosito Zrtの株式の98.64%は、ハンガリーのVIGに提供される。オランダのAegon持株会社2社は、ハンガリーのAegon(保険、資産運用、年金基金、サービス会社)の株式を100%保有している。VIGは、これら3つの持株会社の55%の支配的過半数持分を保持する。」ことになる。次のステップでは、3つの持株会社を統合し、ハンガリーのVIG持株会社を中央ステアリングユニットとして指定する予定であると述べた。
以上、ここまでのハンガリー政府とVIGを巡る取引の構図の概要は、以下の図表の通りとなっている(筆者作成)。
Aegonの2022年における主な資本取引等とその概要は、以下の通りであった。
2022年1月7日に、株式ベースの報酬プランのために5千万ユーロの株式を買い戻すと発表し、1月25日に完了した。
2022年2月16日に、VIG(Vienna Insurance Group AG Wiener Versicherung Gruppe)がCorvinus Nemzetközi Befektetési Zrtを保有するハンガリー国との間で合意に達したと発表した。これによると、「ハンガリーのVIG会社は、ハンガリーのVIG持株会社(VIG Magyarorszag Befektetesi Zrt)と2つのオランダの持株会社(Aegon Hungary Holding BVとAegon Hungary Holding II BV)によって保有される。Corvinusは、これら3つの持株会社のそれぞれで45%の非支配少数株主持分を取得する。これらの持株会社への3つの45%の参加について合意された購入価格は、約3億5,000万ユーロになる。UNION Vienna Insurance Group Biztosito Zrtの株式の98.64%は、ハンガリーのVIGに提供される。オランダのAegon持株会社2社は、ハンガリーのAegon(保険、資産運用、年金基金、サービス会社)の株式を100%保有している。VIGは、これら3つの持株会社の55%の支配的過半数持分を保持する。」ことになる。次のステップでは、3つの持株会社を統合し、ハンガリーのVIG持株会社を中央ステアリングユニットとして指定する予定であると述べた。
以上、ここまでのハンガリー政府とVIGを巡る取引の構図の概要は、以下の図表の通りとなっている(筆者作成)。
2022年3月23日に、ハンガリー事業のウィーン保険グループAG Wiener Versicherung Gruppe(VIG)への売却を完了したことを発表した。取引の総収入は6億2000万ユーロにのぼる。この完了は、2020年11月に発表されたように、中・東欧でのAegonの保険、年金及び資産管理事業のVIGへの売却を8億3,000万ユーロで完全に完了するための重要なステップとなる。ポーランド、ルーマニア、トルコでのAegonの事業の売却は、必要な現地の規制当局の承認を条件として、2022年中に完了する予定であるとした。
Aegonのハンガリー事業の売却後、AegonのIFRS資本は2022年の第1四半期に約4億ユーロ増加し、そのうち約3億7500万ユーロが12月31日の貸借対照表のポジションに基づいて帳簿上の利益として認識される。Aegonのハンガリー事業の売却の完了、債務の返済及び株式の買戻しの組み合わせは、グループのソルベンシーII比率に重大な影響を与えることはない、としている。
(参考)ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、トルコの事業の売却について
2020年11月29日に、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、トルコでの保険、年金、資産管理事業をVIGに8億3,000万ユーロで売却することに合意した、と発表した。この取引により、IFRS資本が505百万ユーロ増加し、ソルベンシーII比率は約8%ポイント増加すると想定されていた。この取引は、この種の取引に慣習的な規制及び独占禁止法の承認の対象であり、2021年の後半に完了する予定である、と述べていた。ただし、この取引に関して、2021年4月7日に、VIGは、ハンガリー内務省によるハンガリーのAegon企業の外国投資家による買収を拒否すると発表した命令を前日の午後に受け取った、と発表していた。
Aegonは、同じく2022年3月23日に、6つのシリーズの劣後債に対する3.75億ユーロの公開買付けによる債務返済も発表しており、4月1日に、この公開買付けの最終結果が発表された。
2022年5月23日に、Liberbank とのスペインの保険合弁会社の50%の株式を Unicaja Bancoに売却することを決定したと発表した。この売却は、2021年のUnicaja Bancoとの合併後のLiberbankの支配権の変更に続くものであり、取引総額は1億7,700万ユーロに達する。これについては、2022年10月14日に、Liberbank とのスペインの保険合弁会社の50%の株式のUnicaja Bancoへの売却が成功裏に完了したと発表した。
2022年10月27日に、Aegonのオランダ事業と a.s.r. (オランダの保険グループ)を統合する合意がなされたと発表した。また、この合意内容は、2023年1月17日に、臨時株主総会で承認されたと発表した。これにより、オランダの年金、生命保険、損害保険市場のリーダーが誕生すると述べた。
なお、Avivaは2023年に入ってから、以下のような動きを見せている。
2023年4月4日に、英国の個人保障ブックをRoyal Londonに売却することを発表した。この取引は、選択した市場で主要なビジネスを創出するための一環として、英国の中核となるリテール及びワークプレイスプラットフォーム活動に集中するというAegonの戦略に基づいている。
Aegonのハンガリー事業の売却後、AegonのIFRS資本は2022年の第1四半期に約4億ユーロ増加し、そのうち約3億7500万ユーロが12月31日の貸借対照表のポジションに基づいて帳簿上の利益として認識される。Aegonのハンガリー事業の売却の完了、債務の返済及び株式の買戻しの組み合わせは、グループのソルベンシーII比率に重大な影響を与えることはない、としている。
(参考)ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、トルコの事業の売却について
2020年11月29日に、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、トルコでの保険、年金、資産管理事業をVIGに8億3,000万ユーロで売却することに合意した、と発表した。この取引により、IFRS資本が505百万ユーロ増加し、ソルベンシーII比率は約8%ポイント増加すると想定されていた。この取引は、この種の取引に慣習的な規制及び独占禁止法の承認の対象であり、2021年の後半に完了する予定である、と述べていた。ただし、この取引に関して、2021年4月7日に、VIGは、ハンガリー内務省によるハンガリーのAegon企業の外国投資家による買収を拒否すると発表した命令を前日の午後に受け取った、と発表していた。
Aegonは、同じく2022年3月23日に、6つのシリーズの劣後債に対する3.75億ユーロの公開買付けによる債務返済も発表しており、4月1日に、この公開買付けの最終結果が発表された。
2022年5月23日に、Liberbank とのスペインの保険合弁会社の50%の株式を Unicaja Bancoに売却することを決定したと発表した。この売却は、2021年のUnicaja Bancoとの合併後のLiberbankの支配権の変更に続くものであり、取引総額は1億7,700万ユーロに達する。これについては、2022年10月14日に、Liberbank とのスペインの保険合弁会社の50%の株式のUnicaja Bancoへの売却が成功裏に完了したと発表した。
2022年10月27日に、Aegonのオランダ事業と a.s.r. (オランダの保険グループ)を統合する合意がなされたと発表した。また、この合意内容は、2023年1月17日に、臨時株主総会で承認されたと発表した。これにより、オランダの年金、生命保険、損害保険市場のリーダーが誕生すると述べた。
なお、Avivaは2023年に入ってから、以下のような動きを見せている。
2023年4月4日に、英国の個人保障ブックをRoyal Londonに売却することを発表した。この取引は、選択した市場で主要なビジネスを創出するための一環として、英国の中核となるリテール及びワークプレイスプラットフォーム活動に集中するというAegonの戦略に基づいている。
6|Zurich
Zurichの2022年における主な資本取引等とその概要は、以下の通りであった。
2022年1月3日に、イタリアの伝統的な保険とユニットリンク保険の両方で構成される生命保険と年金のバックブックをポルトガルの保険会社GamaLifeに売却することを発表した。これにより、グループの信用リスクへのエクスポジャーの大幅な削減を図ることができ、約12億米ドルの資本を解放し、グループのSST比率は11%ポイント増加する、と述べた。
2022年1月4日に、10億米ドルの劣後債務を償還するオプションを行使する意向であると発表した。
2022年1月7日に、2億7500万スイスフランの劣後債の発行に成功したことを発表した。これは2052年5月に満期になり、2032年2月に最初に償還可能となる。
2022年3月22日に、2029年7月に満期を迎える4億スイスフランの無担保シニア債の発行に成功したことを発表した。
2022年5月20日に、ロシアでの事業をユニットのチームの 11 人のメンバーに売却することに合意した、と発表した。新しい所有者の下で、ビジネスは別のブランドの下で独立して運営され、Zurichはもはやロシアでの事業運営を行わない。この取引により、新会社は保険の専門知識を蓄積した専門チームを保持し、ロシア市場へのサービスを継続することができる。なお、ジョイントストックカンパニーZurich Russiaの売却は、関連する規制当局の承認が必要となる。なお、Zurich Russiaは損害保険会社で、ロシアの損害保険市場の約 0.3%を占めている。2021年の総収入保険料は、国内顧客からの300万ドルを含め、約3,400万ドルだった。
2022年6月24日に、ドイツの生命保険ポートフォリオ管理の大手スペシャリストである Viridium Holding AGに、ドイツの伝統的な生命保険バックブックを売却することに合意した、と発表した。これは、資本集約度と金利へのエクスポジャーをさらに削減するための売却であり、金利に対する感応度の低下により、ボラティリティから保護するために必要な資本が削減される。この取引により、SST比率は8%ポイント増加する、と想定されている。なお、この売却は規制当局の承認を条件とし、顧客及び販売パートナーに対する契約上の義務を変更するものではない。
2022年8月16日に、10億ポンドの期限付劣後債の発行に成功したと発表した。2052年11月に満期を迎え、2032年8月に最初に償還可能な債券は、Zurich Finance (Ireland) DACによって発行される。半年ごとのクーポンは、2032年11月まで5.125%に固定される。
2022年9月5日に、4億5,000万ポンドの劣後債を償還するオプションを行使する予定であると発表した。
なお、Zurichは、合意されたドイツの生命保険バックブックの売却による予想収益の希薄化を相殺するために、18億スイスフラン(19億ドル)の自社株買いを計画していると述べた。買戻しは、市場の状況と規制当局の承認に応じて、今後数か月以内に開始される予定としている。
2022年10月14日に、2043 年に満期を迎える4.25%の固定から変動の期限付劣後債を5億ユーロで買い戻すことを発表した。
2022年11月18日に、株式消却による減資を目的として、最大18億スイスフランの公開株式買い戻しプログラムを発表した。
2022年12月1日に、イタリアの子会社のZurich Investments Life S.p.A.が、ポルトガルの保険会社 GamaLife(Companhia de Seguros de Vida)に、伝統的な保険とユニットリンク保険の両方で構成される生命保険と年金のバックブックの売却を完了したことを発表した。
Zurichの2022年における主な資本取引等とその概要は、以下の通りであった。
2022年1月3日に、イタリアの伝統的な保険とユニットリンク保険の両方で構成される生命保険と年金のバックブックをポルトガルの保険会社GamaLifeに売却することを発表した。これにより、グループの信用リスクへのエクスポジャーの大幅な削減を図ることができ、約12億米ドルの資本を解放し、グループのSST比率は11%ポイント増加する、と述べた。
2022年1月4日に、10億米ドルの劣後債務を償還するオプションを行使する意向であると発表した。
2022年1月7日に、2億7500万スイスフランの劣後債の発行に成功したことを発表した。これは2052年5月に満期になり、2032年2月に最初に償還可能となる。
2022年3月22日に、2029年7月に満期を迎える4億スイスフランの無担保シニア債の発行に成功したことを発表した。
2022年5月20日に、ロシアでの事業をユニットのチームの 11 人のメンバーに売却することに合意した、と発表した。新しい所有者の下で、ビジネスは別のブランドの下で独立して運営され、Zurichはもはやロシアでの事業運営を行わない。この取引により、新会社は保険の専門知識を蓄積した専門チームを保持し、ロシア市場へのサービスを継続することができる。なお、ジョイントストックカンパニーZurich Russiaの売却は、関連する規制当局の承認が必要となる。なお、Zurich Russiaは損害保険会社で、ロシアの損害保険市場の約 0.3%を占めている。2021年の総収入保険料は、国内顧客からの300万ドルを含め、約3,400万ドルだった。
2022年6月24日に、ドイツの生命保険ポートフォリオ管理の大手スペシャリストである Viridium Holding AGに、ドイツの伝統的な生命保険バックブックを売却することに合意した、と発表した。これは、資本集約度と金利へのエクスポジャーをさらに削減するための売却であり、金利に対する感応度の低下により、ボラティリティから保護するために必要な資本が削減される。この取引により、SST比率は8%ポイント増加する、と想定されている。なお、この売却は規制当局の承認を条件とし、顧客及び販売パートナーに対する契約上の義務を変更するものではない。
2022年8月16日に、10億ポンドの期限付劣後債の発行に成功したと発表した。2052年11月に満期を迎え、2032年8月に最初に償還可能な債券は、Zurich Finance (Ireland) DACによって発行される。半年ごとのクーポンは、2032年11月まで5.125%に固定される。
2022年9月5日に、4億5,000万ポンドの劣後債を償還するオプションを行使する予定であると発表した。
なお、Zurichは、合意されたドイツの生命保険バックブックの売却による予想収益の希薄化を相殺するために、18億スイスフラン(19億ドル)の自社株買いを計画していると述べた。買戻しは、市場の状況と規制当局の承認に応じて、今後数か月以内に開始される予定としている。
2022年10月14日に、2043 年に満期を迎える4.25%の固定から変動の期限付劣後債を5億ユーロで買い戻すことを発表した。
2022年11月18日に、株式消却による減資を目的として、最大18億スイスフランの公開株式買い戻しプログラムを発表した。
2022年12月1日に、イタリアの子会社のZurich Investments Life S.p.A.が、ポルトガルの保険会社 GamaLife(Companhia de Seguros de Vida)に、伝統的な保険とユニットリンク保険の両方で構成される生命保険と年金のバックブックの売却を完了したことを発表した。
3―まとめ
以上、欧州大手保険グループ各社のプレスリリース資料等に基づいて、2022年に入ってからのこれまでの資本管理に関係する取引等のトピックについて報告してきた。
これまでのレポートでも述べてきたように、2016年1月1日に新たなソルベンシー制度であるソルベンシーIIがスタートして7 年が経過したが、この間、各社は、新たなソルベンシー制度に適切に対応すべく、各社各様の考え方に基づいて、リスク管理や資本管理等で各種の対応を行ってきている。
資本管理の面では、今回のレポートで報告したように、2022年に入ってからも、将来の劣後債務等の償還時期等を見据えた上で、必要に応じて、償還時にその一部等に関して、新たな劣後債務の発行等を行ったりしてきている。また、積極的に地域別の事業展開や事業領域そのものの見直しを行うことで、新たな会社の買収や子会社の売却等を行ってきている。この結果として、各社の戦略の差異等を反映する形で、今回報告している保険グループ間でも、子会社等の売買取引が行われることになっている。
こうした各社の資本管理や前回のレポートで報告したリスク管理の考え方等については、適宜あるいは四半期毎の報告書やSFCR(Solvency and Financial Condition Report:ソルベンシー財務状況報告書)等において、一般の投資家向け等にも開示や説明がなされてきている。ただし、各社によって、その説明の内容やそのレベル等は異なっている。
ソルベンシーII制度の下での各種の開示や報告の問題については、現在行われているソルベンシーIIのレビューにおいても、いくつかの見直し提案等が行われているところである。これらの議論の動向も踏まえて、今後の決算時の開示資料や説明資料において、こうした点に関して、さらなる情報提供の工夫や充実が図られていくことが期待されることになる。
いずれにしても、欧州の大手保険グループのソルベンシーIIを巡る状況やそれへの各種対応については、日本の保険会社にとっても大変参考になるものがあることから、今後とも継続的にウォッチしていくこととしたい。
これまでのレポートでも述べてきたように、2016年1月1日に新たなソルベンシー制度であるソルベンシーIIがスタートして7 年が経過したが、この間、各社は、新たなソルベンシー制度に適切に対応すべく、各社各様の考え方に基づいて、リスク管理や資本管理等で各種の対応を行ってきている。
資本管理の面では、今回のレポートで報告したように、2022年に入ってからも、将来の劣後債務等の償還時期等を見据えた上で、必要に応じて、償還時にその一部等に関して、新たな劣後債務の発行等を行ったりしてきている。また、積極的に地域別の事業展開や事業領域そのものの見直しを行うことで、新たな会社の買収や子会社の売却等を行ってきている。この結果として、各社の戦略の差異等を反映する形で、今回報告している保険グループ間でも、子会社等の売買取引が行われることになっている。
こうした各社の資本管理や前回のレポートで報告したリスク管理の考え方等については、適宜あるいは四半期毎の報告書やSFCR(Solvency and Financial Condition Report:ソルベンシー財務状況報告書)等において、一般の投資家向け等にも開示や説明がなされてきている。ただし、各社によって、その説明の内容やそのレベル等は異なっている。
ソルベンシーII制度の下での各種の開示や報告の問題については、現在行われているソルベンシーIIのレビューにおいても、いくつかの見直し提案等が行われているところである。これらの議論の動向も踏まえて、今後の決算時の開示資料や説明資料において、こうした点に関して、さらなる情報提供の工夫や充実が図られていくことが期待されることになる。
いずれにしても、欧州の大手保険グループのソルベンシーIIを巡る状況やそれへの各種対応については、日本の保険会社にとっても大変参考になるものがあることから、今後とも継続的にウォッチしていくこととしたい。
(2023年04月07日「保険・年金フォーカス」)
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