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欧州大手(再)保険グループが2022年第1四半期業績発表でロシアのウクライナ侵攻による影響を開示
中村 亮一
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欧州大手(再)保険グループが5月に2022年第1四半期業績を公表している。今回の第1四半期業績発表における大きな注目点の1つは、ロシアのウクライナ侵攻に伴う影響等についての開示となる。
欧州の保険会社は、今回のロシアのウクライナ侵攻に伴い、ロシア事業からの撤退や新たなロシアからの保険引受けの停止、新たなロシアへの投資の停止等の内容を公表してきている。また、ロシアにおける保険事業や投資に関するエクスポジャーを開示してきている。
これによれば、欧州の保険会社のロシアにおけるエクスポジャーは、保険事業という面においても、投資先という面においても、一定程度のレベルに収まっており、その意味において、これらのエクスポジャーに伴う各社の財務状況への直接的な影響はそれほど大きなものではなく、管理可能なものだと考えられているようである。
ただし、今回の影響額の開示においては、例えば、S&P Globalが全体で60億ドルから150億ドルに達すると見積もっているロシアに差し押さえられている数百機のリース航空機からの請求については、訴訟の可能性等から、請求の解決に何年もかかることも想定され、最終的な請求額が非常に不確実であるとして、含まれていない。さらには、S&P Globalによれば、航空機保険を含めて、サイバー保険等の特殊保険(スペシャルティ)で160億ドルから350億ドルにも及ぶ請求も見積もられているが、これらに関する損失の想定もサイバー保険における「戦争免責条項」の取扱等に関して、不確実なものとなっていること等から、反映されていないようだ。
加えて、今回のロシアのウクライナ侵攻が、サプライチェーン、エネルギーや資源の供給等に打撃を与えることで、世界経済等に大きな影響を及ぼしていることを通じて、間接的に保険会社の事業等に与える影響等については、いまだ不確実で不透明な要素が大きいものとして、言及されてはいるものの、一定程度の前提等に基づく定量的な評価等の開示は行われていない。
今回のレポートでは、あくまでも、第1四半期の業績発表における欧州大手(再)保険グループによるロシアのウクライナ侵攻による影響等の開示内容に絞って、その概要を報告する。
■目次
1―はじめに
2―欧州大手保険グループ
1|AXA
2|Allianz
3|Generali
4|Zurich
3―欧州大手再保険グループ
1|Munich Re
2|Swiss Re
3|Hannover Re
4|SCOR
4―まとめ
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