2019年07月12日

EUと米国の間の再保険規制を巡る動きについて-NAICが再保険クレジットモデル法の改正を承認-

中村 亮一

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■要旨

「欧州連合(EU)と米国の対話プロジェクト(EU-US Dialogue Project)」及びそこで協議されていた「カバード・アグリーメント(Covered Agreement)」の締結を巡る動きについては、これまで、何回かのレポートで報告し、2年前の基礎研レポート「EUと米国の間の再保険規制を巡る動きについて-カバード・アグリーメントがついに署名された-」(2017.9.26)において、米国財務省及び米国通商代表部(USTR)が、2017年9月22日に「カバード・アグリーメントに署名」し、併せて「政策声明」も公表したことを報告した。

その後、再保険担保規制の撤廃等の具体的な実施方法等については、NAIC(全米保険監督官協会)が検討を進めてきており、その状況については、1年前の保険年金フォーカス「EUと米国の間の再保険規制を巡る動きについて-カバード・アグリーメント署名後のNAICにおける検討状況-」(2018.10.9)(以下、「前回のレポート」という)で報告した。そこでは、再保険クレジットモデル改正案の承認が2018年中にも期待されていたことを報告した。より、具体的には2018年12月のNAICの総会での承認が期待されていた。

ところが、その後もさらに各種の議論・検討が行われることになり、新たな市中協議等も行われていた。2019年4月の春季大会での最終案の同意も得られなかったが、この2019年6月25日に、ついに総会で改正案の承認が行われたことが公表された。
今回のレポートでは、こうした前回のレポート以降のNAICにおける再保険規制に関する検討の状況等について報告する。

■目次

1―はじめに
2―カバード・アグリーメントと2017年9月22日の合意の内容
  1|カバード・アグリーメントとは
  2|今回のカバード・アグリーメントの概要
3―米国のNAICのこれまでの対応
  1|カバード・アグリーメントとは
  2|2017年9月22日の合意について
  3|米国における再保険規制の現状
  (参考)2011年のNAIC再保険担保規制改革の概要
  4|NAICの方針
  5|NAICのこれまでの取組み
4―今回のNAICの承認に向けての動きとその結果
  1|NAICの再保険モデル改正案の概要
  2|これまでの議論のポイントと今回の結論に至るまで
  3|今回のモデル法の改正の効果及びカバード・アグリーメントによる影響
  4|英国との再保険取引
  5|各州に求められる今後の対応
5―まとめ
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中村 亮一

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