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- 消費者物価(全国22年4月)-コアCPI上昇率は、消費税引き上げの影響を除くと08年9月以来の2%台
2022年05月20日
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1.コアCPI上昇率は15年3月以来の2%台

携帯電話通信料の下落率が3月の前年比▲52.7%から同▲22.5%へと大きく縮小し、コアCPI上昇率への寄与度が前年比▲1.48%から同▲0.39%へと縮小した。食料(生鮮食品を除く)が3月の前年比2.0%から同2.6%へと加速したこともコアCPIを押し上げた。携帯電話通信料と食料(生鮮食品を除く)で上昇率は前月から1.2ポイント拡大した。
コアCPI上昇率が2%台となったのは、15年3月(2.2%)以来だが、消費税率引き上げの影響を除くと08年9月(2.3%)以来となる。
生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比0.8%(3月:同▲0.7%)、総合は前年比2.5%(3月:同1.2%)となった。
コアCPIの内訳をみると、電気代(3月:前年比21.6%→4月:同21.0%)、ガス代(3月:前年比18.1%→4月:同17.5%)、ガソリン(3月:前年比19.4%→4月:同15.7%)、灯油(3月:前年比30.6%→4月:同26.1%)の伸びがいずれも鈍化し、エネルギー価格の上昇率は4月の前年比20.8%から同19.1%へと鈍化した。ガソリン、灯油は燃料油価格激変措置(石油元売り会社への補助金)で価格が抑制された。
食料(生鮮食品を除く)は前年比2.6%(3月:同2.0%)と10ヵ月連続で上昇し、上昇率は前月から0.6ポイント拡大した。原材料価格の高騰を受けて、食用油(3月:前年比34.7%→4月:同36.5%)、マヨネーズ(3月:前年比19.7%→4月:同24.3%)の伸びが一段と加速したほか、麺類(3月:前年比1.9%→4月:同3.9%)、菓子類(3月:前年比2.0%→4月:同2.6%)、調理食品(3月:前年比2.3%→4月:同3.5%)、飲料(3月:前年比3.0%→3月:同3.8%)なども前月から伸びを高めた。
食料(生鮮食品を除く)は前年比2.6%(3月:同2.0%)と10ヵ月連続で上昇し、上昇率は前月から0.6ポイント拡大した。原材料価格の高騰を受けて、食用油(3月:前年比34.7%→4月:同36.5%)、マヨネーズ(3月:前年比19.7%→4月:同24.3%)の伸びが一段と加速したほか、麺類(3月:前年比1.9%→4月:同3.9%)、菓子類(3月:前年比2.0%→4月:同2.6%)、調理食品(3月:前年比2.3%→4月:同3.5%)、飲料(3月:前年比3.0%→3月:同3.8%)なども前月から伸びを高めた。
2.上昇品目数が大幅に増加

食料(生鮮食品を除く)の上昇品目割合は2月の60.6%から3月が64.0%、4月が72.6%と急上昇している。原材料価格の高騰を販売価格に転嫁する動きはさらに広がっている。
3. コアCPI上昇率は22年秋頃には2%台半ばへ
これまでコアCPIを大きく押し上げてきたのは、原油高に伴うエネルギー価格の大幅上昇だったが、ここにきて上昇ペース加速の主因は食料品(除く生鮮食品)へと移りつつある。
食料品は21年7月の前年比0.1%と上昇に転じた後、22年4月には同2.6%まで上昇率が高まったが、川上段階の物価は、輸入物価が前年比で30%程度、食料品の国内企業物価が前年比で3%台後半の高い伸びとなっている。川上段階の物価上昇を消費者向けの販売価格に転嫁する動きがさらに広がることにより、食料品(生鮮食品を除く)の物価上昇率は22年夏場には4%近くまで加速する可能性が高い。
原油価格(ドバイ)は、1バレル=110ドル程度で高止まりしているが、物価高対策(燃料油価格激変緩和措置)の影響で、エネルギー価格の前年比上昇率は徐々に鈍化することが見込まれる。一方、円安による物価上昇圧力が高まる中で、食料品に加え、日用品や衣料品などでも価格転嫁の動きが広がることが見込まれる。
コアCPI上昇率は、エネルギー価格の上昇ペース鈍化を食料品の上昇ペース加速が打ち消すことにより、当面2%程度の推移が続いた後、携帯電話通信料値下げの影響が一巡する秋頃には2%台半ばまで高まることが予想される。
食料品は21年7月の前年比0.1%と上昇に転じた後、22年4月には同2.6%まで上昇率が高まったが、川上段階の物価は、輸入物価が前年比で30%程度、食料品の国内企業物価が前年比で3%台後半の高い伸びとなっている。川上段階の物価上昇を消費者向けの販売価格に転嫁する動きがさらに広がることにより、食料品(生鮮食品を除く)の物価上昇率は22年夏場には4%近くまで加速する可能性が高い。
原油価格(ドバイ)は、1バレル=110ドル程度で高止まりしているが、物価高対策(燃料油価格激変緩和措置)の影響で、エネルギー価格の前年比上昇率は徐々に鈍化することが見込まれる。一方、円安による物価上昇圧力が高まる中で、食料品に加え、日用品や衣料品などでも価格転嫁の動きが広がることが見込まれる。
コアCPI上昇率は、エネルギー価格の上昇ペース鈍化を食料品の上昇ペース加速が打ち消すことにより、当面2%程度の推移が続いた後、携帯電話通信料値下げの影響が一巡する秋頃には2%台半ばまで高まることが予想される。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年05月20日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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