2022年03月29日

どんな人が「ポイント」を利用しているか?-男女/年齢層/学歴/年収層別の利用者の割合-

保険研究部 准主任研究員 岩﨑 敬子

文字サイズ

1――はじめに

クレジットカードのポイント、レンタルDVD店のポイント、ドラッグストアのポイント、オンラインショッピングのポイントなど、日々の生活の様々な場面で、様々なポイントを貯めたり、使ったりする機会がある。最近は、こうしたポイントを効率的に貯めて使用する「ポイ活」1ということばも耳にするようになった。こうした仕組みは、どのような人がより利用しているのだろうか。

本稿では、ニッセイ基礎研究所が行った独自の調査をもとに、男女/年齢層/学歴/年収層別にポイント利用者の割合を確認した結果を紹介する。結果を先取りしてお伝えすれば、女性や大卒者、40代の人、年収が300万円以上の人に、得られるポイントを考慮して行動している割合が大きい傾向が見られた。
 
1 iyomemo (2021.11.16)(https://www.iyobank.co.jp/sp/iyomemo/entry/20211116.html, 2022年3月25日アクセス)

2――調査概要

2――調査概要

本調査は、2021 年の 3 月に WEB アンケートによって実施した。回答は、全国の 26~65歳の男女2を対象に、全国 6 地区の調査対象者の性別・年齢階層別(10 歳ごと)の分布を、令和2 年 1 月の住民基本台帳の分布に合わせて収集した。回答数の合計は 2,601件である。
 
2 マイボイスコム株式会社のモニター会員

3――支払いの時に貯まっていたポイントを使うことが多い人

3――支払いの時に貯まっていたポイントを使うことが多い人

図1に、支払いの時に貯まっていたポイントを使うことが多い人の割合3を、男女/年齢層別に示した。全体で約7割の人が該当しており、ポイントは多くの人に活用されていることがわかる。男女の該当者の割合を比較すると、男性は約70%であるのに対して、女性は約76%と、女性は男性よりもポイントを使うことが多い人の割合が大きい。また、年齢層ごとの大きな違いは見られない4
図1. 「支払いの時に貯まっていたポイントを使うことが多い」人の割合(男女/年齢層別)
次に図2は、支払いの時に貯まっていたポイントを使うことが多い人の割合を、大卒非大卒及び年収層別に示したものである。大卒者と非大卒者では、大卒者の方が該当者の割合は大きい。年収層別にみると、大卒者では300万円~500万円の人、非大卒者では700万円以上の人の該当者の割合が大きいようだ5
図2. 「支払いの時に貯まっていたポイントを使うことが多い」人の割合(大卒非大卒/年収層別)
 
3 「支払いの時に貯まっていたポイントを使うことが多い」に当てはまるかどうかを「はい」か「いいえ」で選択して回答頂く設問で、「はい」を回答した人の割合を表示。
4 「支払いの時に貯まっていたポイントを使うことが多い」に該当する場合に1をとるダミー変数を被説明変数として、女性ダミー、年齢層カテゴリーダミー、大卒ダミー、職業ダミー、都道府県ダミー、年収カテゴリーダミーを説明変数とした線形確率モデルの推計では、女性が統計的に有意に該当する確率が高い傾向(p値0.01未満)が確認された。
5 注4の推計では、大卒者は該当する確率が統計的に有意に高い(p値0.05未満)ことが確認されたが、年収層別の違いは確認されなかった(20代を参照カテゴリーとして、有意水準10%で異なる年齢層のカテゴリー無)。

4――ポイント還元の多さを考えて支払方法を決めることが多い人

4――ポイント還元の多さを考えて支払方法を決めることが多い人

次に図3に、ポイント還元の多さを考えて支払方法を決めることが多い人の割合6を男女/年齢層別に示した。男女を比較すると、20代30代では女性の方が該当者の割合が少し大きい。また、年齢層別にみると、男女ともに40代の該当者の割合が最も大きい7
図3. 「ポイント還元の多さを考えて支払方法を決めることが多い」人の割合(男女/年齢層別)
さらに図4には、ポイント還元の多さを考えて支払方法を決めることが多い人の割合を大卒非大卒/年収層別に示した。大卒者と非大卒者を比較すると、大卒者の方が該当者の割合が大きい。また、年収が高い人の方が該当者の割合は大きい傾向が見られる8
図4. 「ポイント還元の多さを考えて支払方法を決めることが多い」人の割合(大卒非大卒/年収層別)
 
6 「ポイント還元の多さを考えて支払方法を決めることが多い」に当てはまるかどうかを「はい」か「いいえ」で選択して回答頂く設問で、「はい」を回答した人の割合を表示。
7 「ポイント還元の多さを考えて支払方法を決めることが多い」に該当する場合に1をとるダミー変数を被説明変数として、女性ダミー、年齢層カテゴリーダミー、大卒ダミー、職業ダミー、都道府県ダミー、年収カテゴリーダミーを説明変数とした線形確率モデルの推計では、女性や40代の人(20代が参照カテゴリー)が該当する確率が有意水準10%で統計的に有意に高い(女性ダミーp値0.01未満、40代ダミーp値0.1未満)ことが確認された。
8 注7の推計では、大卒者は該当する確率が統計的に有意に高い (p値0.05未満)こと、年収層別では130万円未満を参照カテゴリーにして、300万円以上のカテゴリーはすべて有意水準10%で統計的に有意に該当する確率が高いことが確認された。

5――割引やポイント還元の多さを考えて、店や購入時期を決めることが多い人

5――割引やポイント還元の多さを考えて、店や購入時期を決めることが多い人

次に図5に、割引やポイント還元の多さを考えて、店や購入時期を決めることが多い人の割合9を男女/年齢層別に示した。男女を比較すると、女性の該当者の割合が大きい。また、年齢層別にみると、男女ともに40代の該当者の割合が最も大きい10
図5. 「割引やポイント還元の多さを考えて、店や購入時期を決めることが多い」人の割合(男女/年齢層別)
次に図6には、割引やポイント還元の多さを考えて、店や購入時期を決めることが多い人の割合を大卒非大卒/年収層別に示した。大卒者と非大卒者では、大卒者の方が該当者の割合が大きい。また、大卒者、非大卒者ともに、年収が500万円以上700万円未満の人の該当者の割合が最も大きい11
図6. 「割引やポイント還元の多さを考えて、店や購入時期を決めることが多い」人の割合(大卒非大卒/年収層別)
 
9 「割引やポイント還元の多さを考えて、店や購入時期を決めることが多い」に当てはまるかどうかを「はい」か「いいえ」で選択して回答頂く設問で、「はい」を回答した人の割合を表示。
10 「割引やポイント還元の多さを考えて、店や購入時期を決めることが多い」に該当する場合に1をとるダミー変数を被説明変数として、女性ダミー、年齢層カテゴリーダミー、大卒ダミー、職業ダミー、都道府県ダミー、年収カテゴリーダミーを説明変数とした線形確率モデルの推計では、女性や40代50代の人が該当する確率が統計的に有意に高いことが確認された (女性ダミーと40代ダミーはp値0.01未満、50代ダミーはp値0.05未満)。
11 注10の推計では、大卒者や年収500~700万円(130万円未満が参照カテゴリー)の人が該当する確率が有意水準10%で統計的に有意に高い(大卒者ダミーはp値0.05未満、年収500万~700万円のカテゴリーダミーはp値0.1未満)ことが確認された。

6――おわりに

6――おわりに

本稿では、ニッセイ基礎研究所が行った独自の調査結果から、女性や大卒者、40代の人、年収が500万円~700万円の人の間で、ポイントを活用している人の割合が大きい傾向を紹介した。これらの人がポイントをより活用している要因の検証は今後の課題である。考えられる要因としては、日本では夫婦のうち女性が家計費管理を担う人が多い12ため、家計費管理の役割からくる節約意識を反映して、女性はポイントをより活用している可能性が挙げられる。また、大卒者や年収の高い層のポイント活用傾向からは、年収や教育年数と相関の高い金融リテラシー13がポイント活用を促す役割を果たしている可能性が示唆される。
 
12 内閣府男女共同参画白書(平成15年版)
13 Sekita, S. (2011). Financial literacy and retirement planning in Japan. Journal of Pension Economics and Finance, 10(4), 637-656.
Xでシェアする Facebookでシェアする

保険研究部   准主任研究員

岩﨑 敬子 (いわさき けいこ)

研究・専門分野
応用ミクロ計量経済学・行動経済学 

経歴
  • 【職歴】
     2010年 株式会社 三井住友銀行
     2015年 独立行政法人日本学術振興会 特別研究員
     2018年 ニッセイ基礎研究所 研究員
     2021年7月より現職

    【加入団体等】
     日本経済学会、行動経済学会、人間の安全保障学会
     博士(国際貢献、東京大学)
     2022年 東北学院大学非常勤講師
     2020年 茨城大学非常勤講師

(2022年03月29日「基礎研レター」)

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【どんな人が「ポイント」を利用しているか?-男女/年齢層/学歴/年収層別の利用者の割合-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

どんな人が「ポイント」を利用しているか?-男女/年齢層/学歴/年収層別の利用者の割合-のレポート Topへ