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年金改革ウォッチ 2021年10月号~ポイント解説:公的年金シミュレーター(仮称)の活用

保険研究部 主席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査部長 兼任 中嶋 邦夫
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1 ―― 先月までの動き
○年金広報検討会
9月3日(第12回) 若年世代向け学習教材の開発、個々人の年金の「見える化」のための取組み
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212815_00026.html (資料)
9月30日(第13回) 令和の年金広報コンテスト、個々人の年金の「見える化」のための取組み、ほか
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212815_00027.html (資料)
○社会保障審議会 年金事業管理部会
9月10日(第57回) 日本年金機構の令和2年度業務実績の評価、その他
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/kanribukai-siryo57_00001.html (資料)
2 ―― ポイント解説:公的年金シミュレーター(仮称)の活用

この新サービスの特徴は、事前のユーザー登録が不要な点である。これを活かせる場面の1つが、社会保険労務士やファイナンシャル・プランナーなどの専門家や金融機関等へ相談する場合だろう。
可読性や操作性が高いとは言え、試算結果を利用して何らかの行動を起こす際には、専門家等の助言があると心強い。現在でも「ねんきん定期便」を活用して助言を得ることは可能だが*3、このサービスが登場すれば、比較的面倒な年金額の計算を公的なサービスが担うことで、助言サービスの担い手増加が期待される。特に、この新サービスで出力されるcsvファイルを活用して、プログラムで作成された助言を提供するネット上のサービスやアプリ(いわゆるロボ・アドバイザー)が登場する可能性もある*4。
*3 例えばオリックス生命保険のホームページでは、「ねんきん定期便」に印字されている値を入力すると受給可能性がある公的保障額を試算するサービスを提供している。
*4 助言サービスの担い手増加で、助言サービスの利用料が低廉化する可能性がある一方で、担い手の質が玉石混淆となる懸念もある。時間の経過とともに整理(淘汰)される可能性もあるが、資格認証などの利用者保護策が必要となる可能性もある。
他の活用場面として考えられるのは、企業内の説明会等である。検討会事務局が想定しているように、パート勤務や年金受給中の従業員に厚生年金の加入を伴う就労拡大を勧める際に、働き方の変更が年金額にどう影響するかを具体的に示すことが出来る。
また、退職を控えた従業員への説明会等で、公的年金と企業年金で受け取れる額を具体的に示すことも容易になる。北欧などには、企業年金や個人年金を提供する金融機関等と政府が情報を連携し、公的年金と私的年金の見込額を一元的に確認・試算できるサービスがある。日本での導入は不透明だが、今回の新サービスで出力されるCSVファイルを活用することで、北欧等に近いサービスを提供できる可能性もある。今後の工夫と発展を期待したい。
(2021年10月05日「保険・年金フォーカス」)
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03-3512-1859
- 【職歴】
1995年 日本生命保険相互会社入社
2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)
【社外委員等】
・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)
【加入団体等】
・生活経済学会、日本財政学会、ほか
・博士(経済学)
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