2020年11月27日

アント・グループの上場延期と保険事業-P2P保険「相互宝」の切り離しの可能性も

保険研究部 准主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任   片山 ゆき

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■要旨
 
  • 11月3日、アント・グループの香港・上海株式市場における上場延期が発表された。その原因として様々な理由が取り上げられているが、本稿では、あまり取り上げられていない保険事業に焦点をあて、規制当局との攻防やその影響を紹介する。
     
  • 2020年1-6月のアント・グループの事業のうち、融資・運用・保険の金融プラットフォーム3事業からの収入は全体の63.4%を占め、既存のデジタル決済・提携先企業へのサービス提供(35.9%)を凌いでいる。保険はそのうち8.4%と小さいものの、増加率は高く、融資、運用事業を凌いでいる。
     
  • アント・グループの上場に際しては、上場申請が受理されて以降、翌9月に入ると金融当局の動きが活発になっている。金融監督当局は、アント・グループが提供するP2P保険「相互宝」について、商品実名を挙げた上で4無(監督当局がない、監督・管理規制がない、業界基準がない、規範化されていない)の状態と指摘した。
     
  • これに対して、アント・グループは目論見書で、監督当局が規制を発出した場合、それに沿った運営を行う準備があること、条件をどうしても満たすことができなかった場合、相互宝の業務を切り離すことも辞さないとした。
     
  • 相互宝は、重大疾病保障として、民間保険に加入できあに所得層の医療へのアクセスを可能にしており、1億人という加入規模から、社会保障体系の一翼を担う存在となってきている。業務切り離しとなると、多くの国民が医療へのアクセスに不安を感じる事態にもなりかねない点には留意が必要である。


■目次

1――はじめに 
2――アント・グループ:融資・運用・保険の金融プラットフォーム3事業が営業収入の63.4%を
   占める。保険はそのうち、8.4%と小さいものの、増加率は他2事業を凌駕。
3――金融監督当局によるアント・グループ「相互宝」への指摘も、規制発出は慎重な姿勢を維持
4――アント・グループ:上場に際して、相互宝が当局の規制を満たせなければ、事業切り離しも
   辞さない
5――おわりに
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保険研究部   准主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

片山 ゆき (かたやま ゆき)

研究・専門分野
中国の保険・年金・社会保障制度

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レポート紹介

【アント・グループの上場延期と保険事業-P2P保険「相互宝」の切り離しの可能性も】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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