2020年08月25日

ベトナムの保険事業規制

保険研究部 常務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長 松澤 登

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■要旨

ベトナムでは保険業法が2000年に制定され、民営保険の事業が自由化された。その後2010年に外資系保険会社の参入規制が緩和され、また直近2019年の改正により、保険補助サービス提供が規定された。
 
ベトナムでは保険会社の設立・運営にあたっては財務省から免許を受ける必要がある。保険会社には、経営陣の適格性規制、社内の態勢整備義務、財務規制など先進国並みの規制が整備されている。また、経営悪化時の健全性再建計画の策定や、保険会社破綻時のセーフティネットも用意されている。
 
保険の仲介業を行うには、ベトナム居住のベトナム人であることや、一定の資格を得たという教育組織からの修了証(certificate)を要することなどが求められる。
 
ベトナム保険業法には保険契約に関する規定も存在する。特徴的なのは、個人保険(personal insurance)は親族間でなければかけてはならないとする規定である。なお、死亡保険では被保険者同意が必要である。
 
2019年改正保険業法は、保険コンサルティングや保険物件のリスク評価など5つの行為を保険補助サービスとして規定している。たとえば保険コンサルティングを行うには、保険に関する大卒以上の資格を保有するか、あるいは大卒以上で財務省が認定した教育組織の修了証を保有するか、いずれかを必要とするなどの規制を導入した。

■目次

1――はじめに
2――保険事業規制
  1|保険会社の免許制
  2|保険会社の経営体制
  3|保険会社の財務規制
  4|保険会社の経営悪化への対応
3――保険仲介業
4――生命保険契約に関する規定
5――保険補助サービス
  1|保険補助サービスの種類
  2|保険補助サービス提供の原則
  3|保険補助サービス提供のための資格
6――おわりに
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保険研究部   常務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長

松澤 登 (まつざわ のぼる)

研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務

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