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【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(7月号)~5月の輸出は新型コロナの影響で一段と減少
経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠
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ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、5月は東南アジア向け(同37.5%減)とEU向け(同28.2%減)が一段と減少したほか、前月まで増加していた北米向け(同10.1%減)もマイナスに転じた。東アジア向け(同10.2%減)はコロナショックからの景気回復が進む中国向け(同0.7%減)の落ち込みが和らいだため、他の地域と比べて低下幅は小幅に止まった(図表2)。
輸出を品目別に見ると、全体の約9割を占める工業製品が同34.9%減(前月:同13.0%減)と大幅に減少した(図表4)。製造品の内訳を見ると、主力の自動車・部品(同57.2%減)や電子機器(同17.0%減)、機械・装置(同34.0%減)、石油化学製品(同25.6%減)など幅広い品目が減少した。また鉱業・燃料は同44.0%減(前月:同41.7%減)となり、石油製品(同42.3%減)を中心に3カ月連続で減少となった。一方、農産物・同加工品は同0.6%減(前月:同2.9%増)と小幅に減少した。タピオカ(同14.1%増)やゴム製品(同4.8%増)、果物(同162.1%増)、畜産物(同39.1%増)が増加する一方、コメ(同4.0%減)や天然ゴム(同42.0%減)、加工食品(同11.1%減)は減少するなど、品目ごとのバラつきがみられた。このほか、非貨幣用金(同717.7%増)は引き続き大幅に増加した。
輸出を品目別に見ると、まず電気製品・同部品が同15.7%増(前月:同18.0%増)と好調を維持したものの、輸出全体の約2割を占める電話・部品が同21.1%減と、前月の同35.5%減に続いて二桁減少となった(図表6)。また繊維関連では、織物・衣類が同31.9%減(前月:同31.6%減)、履物が同23.8%減(前月:同17.2%減)と大幅な減少が続いた。農林水産物を見ると、5月に禁輸措置を解除したコメ(同69.2%増)こそ増加したものの、コーヒー(同7.3%減)や野菜(同24.0%減)、水産物(同15.0%減)、天然ゴム(同19.3%減)など幅広い品目が減少した。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が21.5%減(前月:同20.5%増)と大幅に減少した一方、地場企業は同8.1%増(前月:同0.2%増)と持ち直した。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同25.5%減(前月:同27.3%減)と、主力の電気・電子製品(同23.0%減)を中心に低迷して3カ月連続の二桁減となった(図表8)。また鉱物性燃料は同48.0%減(前月:同30.5%減)と2カ月連続で減少した。天然ガス(同33.4%減)と原油(同70.2%減)に加え、石油製品(同48.8%減)が低迷した影響が大きい。このほか、動植物性油脂が同17.6%減(前月:同9.4%減)、化学製品が同25.8%減(前月:同20.9%減)となり、それぞれ落ち込んだ。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同27.8%減(前月:同6.2%減)、石油ガス輸出が同42.6%減(前月:同24.0%減)となり、それぞれマイナス幅が拡大した(図表10)。品目別に見ると、金属製品(同3.1%増)は増加傾向を維持したものの、主力の鉱産物(同41.8%減)や機械類(同45.3%減)、自動車・同部品(同70.0%減)が一段と減少、織物類(同51.9%減)や紙製品(同8.6%減)といった軽工業品も低迷した。また前月まで増加傾向にあった電気機械(同36.4%減)と動植物性油脂(同7.7%減)がマイナスに転じた。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品が同8.7%増(前月:同5.3%減)と上昇し、2ヵ月ぶりのプラスとなった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、PC(同5.8%減)やPC部品(同24.7%減)、ダイオード・トランジスタ(同22.0%減)が低迷したものの、主力のIC(同18.4%増)が大きく増加した。一方、電子製品と並び全体の約3割を占める化学は同21.1%減(前月:同26.4%増)と急低下して2カ月ぶりのマイナスとなった。化学製品の内訳を見ると、石油化学製品(同33.5%減)の大幅な減少が続くなか、好調の医薬品(同10.1%減)がベース効果によりマイナスに転じた。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の5割強を占める電子製品は同33.4%減(前月:同48.6%減)と減少した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同27.2%減)をはじめ、電子データ処理機(同46.0%減)やオフィス機器(同76.6%減)などが大きく減少した。その他9品目のうち、その他鉱物製品(12.8%増)と機械・輸送用機器(同4.2%増)は増加したが、イグニッションワイヤーセット(同70.4%減)やその他製造品(同50.6%減)、化学(同37.2%減)、ココナッツオイル(同28.7%減)、生鮮バナナ(同26.5%減)、金(同20.5%減)、製錬銅(同12.9%減)など多くの品目が大幅に減少した。
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(2020年07月10日「経済・金融フラッシュ」)
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