2020年06月30日

最新版避難勧告~災害・防災、ときどき保険(12)

保険研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター兼任   安井 義浩

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1―はじめに~避難勧告などを確認しておく必要性

今年はまだ台風は2つしか発生していないが、九州などで何度か豪雨になるなど、洪水や土砂災害などが気になる季節がやってきた。災害に出逢いたい人がいるはずもなかろうが、万一の場合に備えて自分自身が無事なうちに、そうした場合の避難勧告等の仕組みが今どうなっているのかを確認しておくのもいいだろう。 

災害時の避難勧告などがどうなっているのかについては、このレポートでも過去に紹介したことがあるが、その後も大きな災害を教訓に、考え方や運用は書き換えられてきている。古い情報のままインターネット上に残っているのが気にはなってもいたので、この機会に現時点での最新版を紹介しておく。が、2020年6月時点の最新版は、2019年3月に内閣府で決められたガイドライン等である。
 

2―最新の避難勧告

2―最新の避難勧告

12018年7月の豪雨の教訓
もしも豪雨、洪水などの気象災害に遭遇した場合の各種警報や、特に避難に関する指示・勧告については、以前からある程度のものはあった。その中で特に2018年7月の豪雨(*)では西日本を中心に200名以上の死者・行方不明者が発生するなど各地で大きな被害が発生した。当然その当時の基準に応じて気象庁からは注意報や警報、市町村からは避難勧告や避難指示など発信されてはいたのだが、内閣府の検討会において、「実際に避難をすべき住民がその緊急度合いや避難の必要性などを正しく感じ取れたかどうかという点に関しては様々な課題があった。」という認識に至った。気象災害やあるいは地震・津波による災害に際しての各種警報や注意報や避難基準などは大きな災害があるたびに、それを教訓として、より効果的なものとなるよう改定されてきた。現時点における気象災害における最新版は、この2018年7月豪雨の教訓を踏まえて検討され、2019年3月に変更されたものとなっている。
 
(*)2018年7月の豪雨
気象庁による正式な命名は、「平成30年7月豪雨」、一般の報道等では「西日本豪雨」とも呼ばれる。西日本を中心に全国的に広い範囲で記録的な大雨となり、1府10県に特別警報が発表された。各地で河川の氾濫や土砂災害が相次ぎ、人的な被害としては1府13県で死者・行方不明者200名以上と極めて甚大な被害が広域で発生し、平成最大の豪雨被害となった。
2変更における考え方など
住民の立場からすれば、最新版の避難勧告等を見ておけば、あるいはこうした仕組みや運営が存在することが頭の片隅にあっていざという時確認できさえすれば、それで十分なので、すぐにその一覧を紹介すべきではあるのだが、順番としてはいったん最新版に至るまでの避難等の在り方全体の考え方を確認しておく。

前述のように2018年の西日本豪雨の教訓を踏まえて、今後の水害や土砂災害からの避難対策が検討されてきた結果、以下のような課題を改善していくこととしたものである。
 
・居住地域の災害リスクの認識 
特に命を守る意識・行動を早くから学ぶ意味で、学校における防災教育や避難訓練を充実させる方向が示されている。

・地域の防災力の強化
地域のリーダーが、災害・防災の知見をも備えるなど、地域防災リーダーの養成とそれらを踏まえた市町村の防災体制の強化など。

・在宅高齢者の避難
高齢者などにおいてもできれば災害や避難の理解の徹底を図るとともに、要配慮者利用施設における計画の策定など。

・災害情報と避難行動の連携
実際に災害対応にあたる市町村が避難勧告等を発信するための支援、あるいは洪水と土砂災害などマルチハザードのリスクの認識など。

・防災情報の連携
防災気象情報や避難情報の伝達手段の強化
 
目指すべきは、住民は「自らの命を自ら守る」意識を持ち、行政は「住民が適切な避難行動をとれるよう全力で支援する」ことである。
3|最新版1(2019年3月現在)の避難勧告などの基準
ようやく、最新版の避難行動についての基準を見ておく2

水害・土砂災害について、市町村が出す「避難情報」と、国や都道府県が出す「防災気象情報」を、5段階に整理したということだ。
最新版(2019 年3 月現在)の避難勧告などの基準
政府広報オンラインにもある、この表の補足を紹介しておく。

・これらの情報は順を追って発表されるわけではない。状況が急変することもありうる。

・考え方のところにもあった気象情報と避難情報の連携という点に関係することだが、防災気象情報と避難情報とで警戒レベルが異なることがある。もちろん出す主体が異なることにもよるが、気象情報は比較的広域のものであるのに対して、それを受けた避難情報は、地域の実情をよりよく知る市町村が、様々な情報をもとに避難情報を発令するからである。最終的にはこうした情報を入手して、自らの命は自ら守る意識で適切な避難行動をとるべきとされている。

・複数の災害リスクがあるとき、例えば、洪水で警戒レベル4が既に出ている中で、土砂災害レベル3が出たりすることがある。こういう時は両方に注意しなければならない。洪水の警戒レベルが下がったわけではない。
 
1 この種の話は、今の時点で最新版だと称していても、いずれ古くなるはずので、2019年3月版とはっきり記載しておく。その時にはこのレポートもまた改定するなどして、報告することになるだろう。
2 例えば税府広報オンライン https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201906/2.html
 

3―おわりに~今後の検討スケジュール

3―おわりに~今後の検討スケジュール

今回は気象災害における避難勧告の現状をみたが、地震・津波については発生の状況が異なることもあって、別の仕組みがある。それは次の機会にあらためてみてみることにしよう。

また、やはり新型コロナウィルスの感染拡大を受けた対応、つまり感染症対応と災害対応が重なる時の留意点も今後、実態を見て改善されていくことだろう。例えば、避難所の3密などへの対応である。そうした点についても一人一人が関心を持っていきたいところであるので、このレポートでも追っていくつもりである。
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保険研究部   主任研究員・年金総合リサーチセンター兼任

安井 義浩 (やすい よしひろ)

研究・専門分野
保険会計・計理、共済計理人・コンサルティング業務

(2020年06月30日「基礎研レター」)

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