2020年05月14日

貸出・マネタリー統計(20年4月)~新型コロナ対応で銀行貸出が大幅に加速

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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3.マネーストック: 通貨総量の増勢は加速、リスク性資産は鈍化

5月14日に発表された4月のマネーストック統計によると、金融部門から市中に供給された通貨総量の代表的指標であるM2(現金、国内銀行などの預金)平均残高の伸び率は前年比3.69%(前月は3.25%)、M3(M2にゆうちょ銀など全預金取扱金融機関の預貯金を含む)の伸び率は同3.02%(前月は2.68%)とともに大きく上昇した。伸び率の上昇はともに6ヵ月連続となる(図表11)。新型コロナ拡大に伴う企業向け貸出の増加によって、預金の伸び率が大きく上昇したことが寄与した。
 
M3の内訳では、現金通貨(前月1.73%→当月1.78%)の伸びは小幅に上昇したほか、普通預金等の預金通貨(前月6.92%→当月7.80%)の伸び率が大きく上昇し、全体の伸びをけん引した(図表12)。一方で、CD(譲渡性預金・前月2.73%→当月▲0.98%)がマイナスに転じたほか、定期預金などの準通貨(前月▲2.52%→当月▲2.78%)のマイナス幅も拡大している。
(図表11) M2、M3、広義流動性の伸び率/(図表12) 現金・預金の伸び率
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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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