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- 「リスク回避の円買い」vs「有事のドル買い」~マーケット・カルテ4月号
2020年03月23日
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今後もしばらく感染の拡大は止まりそうになく、企業等のドル需要は根強く残るものの、主要中銀がドルの供給を大幅に拡充していること、3月末の期末要因としてのドル需給逼迫は解消に向かうことからドル高圧力は徐々に後退していくと見ている。今後公表される米経済指標の大幅な悪化がドル買いを躊躇させる可能性もある。従って、3カ月後の水準は現状比で円高ドル安と予想している。
今月のユーロ円は、欧州での新型コロナの急拡大とECBの大規模緩和を受けたユーロ売り、リスク回避の円買いによってやや円高ユーロ安となり、足元では118円付近で推移しているが、ドルが市場の主役であったため、ユーロ円の動きは限定的となっている。今後は、ユーロ圏経済指標の大幅な悪化が見込まれるほか、特に新型コロナの影響が大きいイタリアの財政懸念も燻り、ユーロの重荷になるだろう。3か月後のユーロ円は現状比でやや円高ユーロ安と予想している。
長期金利は、今月上旬まで▲0.1%台で推移していたが、中旬以降は現金化の流れで米国債が売られて米金利が大きく上昇したこと、日本の経済対策に伴う国債増発観測が浮上したことで急上昇し、足元では0.0%台後半にある。一方、日銀は大規模な資金供給とともに、金利上昇抑制のための臨時の国債買入れを実施するなど対応を進めている。金利上昇が止まらなければ、(金利を指定して無制限に国債を買い入れる)指値オペも辞さないだろう。こうした対応の効果が浸透することで、3カ月後の水準は現状比で低下と見ている。
(執筆時点:2020/3/23)
(2020年03月23日「基礎研マンスリー」)
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03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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