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- 過去最高を更新した日本企業の自社株買い
2020年01月28日
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■自社株買いが過去最高を更新
一方、2018年6月に改訂された日本版コーポレートガバナンス・コードは上場企業に「資本コストを意識した経営」を強く求めている。ところが、日本企業が保有する現預金は増え続けており(図表2)、今後も高水準の自社株買いを実施する余力は十分に残っているとみられる。
また、アセットマネジメント会社や保険会社など多くの機関投資家は日本版スチュワードシップ・コードの受け入れを表明しており、上場企業に対して手元資金の有効活用を求める株主の圧力も強まりつつある。こうした中、現預金の有効活用が避けられないと考える上場企業は多いはずだ。
設備投資などのリスクを取りづらい中で、現預金の有効活用策として自社株買いを実施する企業が増えたのだろう。中には、年間の設備投資額を上回る規模の自社株買いを発表した企業もあるほどだ。
また、アセットマネジメント会社や保険会社など多くの機関投資家は日本版スチュワードシップ・コードの受け入れを表明しており、上場企業に対して手元資金の有効活用を求める株主の圧力も強まりつつある。こうした中、現預金の有効活用が避けられないと考える上場企業は多いはずだ。
設備投資などのリスクを取りづらい中で、現預金の有効活用策として自社株買いを実施する企業が増えたのだろう。中には、年間の設備投資額を上回る規模の自社株買いを発表した企業もあるほどだ。
■ROEも意識、自社株買いはさらに増える見込み
自社株買いには自己資本が増えすぎてROEが悪化するのを避ける狙いもあるだろう。19年度は米中貿易摩擦の影響などで業績が厳しいこともあり、利益水準が低迷するため市場全体のROEは2年連続で悪化する見通しだ(図表3)。
個別企業でみると集計対象1598社のうち885社(約55%)は現預金が1年前より増えた。この885社の約64%にあたる565社は19年度のROEが悪化する見通しだ。
日本では近年、株主総会でROEが低い企業の社長選任に反対する株主が増えている。海外投資家だけでなく国内投資家も“実力行使”に出た格好だが、今後もこうした流れが強まる可能性は高い。
特に、手持ちの現預金が多すぎるためにROEが低い企業、中でも海外投資家の株式保有比率が高い企業は自社株買いに動きやすいとみられる。
個別企業でみると集計対象1598社のうち885社(約55%)は現預金が1年前より増えた。この885社の約64%にあたる565社は19年度のROEが悪化する見通しだ。
日本では近年、株主総会でROEが低い企業の社長選任に反対する株主が増えている。海外投資家だけでなく国内投資家も“実力行使”に出た格好だが、今後もこうした流れが強まる可能性は高い。
特に、手持ちの現預金が多すぎるためにROEが低い企業、中でも海外投資家の株式保有比率が高い企業は自社株買いに動きやすいとみられる。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年01月28日「基礎研レター」)
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経歴
- 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
1999年 (株)ニッセイ基礎研究所へ
2023年より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会認定アナリスト
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