2019年10月03日

J-REITのパフォーマンス要因分析~J-REIT市場の上昇・下落要因を調べる~

金融研究部 准主任研究員・ESG推進室兼任 原田 哲志

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■要旨

2001年9月にJ-REIT(不動産投資信託)市場が誕生してから、今年で18年が経過した。本稿では、東証REIT指数のトータルリターンを「株式市場」、「債券市場」、「不動産市場」の三つの要因に分解し、上昇・下落への寄与度を調べた。この結果、通期ではこれらの要因が東証REIT指数のリターンに影響を与えていたことが確認された。
 
しかしながら、マイナス金利導入前と比較して、マイナス金利導入後はこれらの要因の説明力は低下した。この期間の東証REIT指数の上昇には、外国人投資家によるJ-REIT買い越しが大きく影響していた。その背景としては、J-REITと10年国債利回りのスプレッドが海外よりも大きかったことが考えられる。
 
しかし、足元では海外の10年国債利回りの低下により、日本と海外のイールドスプレッドの差は縮小している。また、外国人投資家はJ-REITを売り越しに転じている。株式市場、債券市場、不動産市場に加え、外国人投資家の動向や各国の金融政策に注目したい。

■目次

1――はじめに
2――東証REIT指数(配当込み)のリターンの説明変数を考える
3――東証REIT指数の要因分解
  1|対象期間
  2|パフォーマンス要因分析
  3|東証REIT指数に対する外国人売買動向の影響
4――まとめ
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金融研究部   准主任研究員・ESG推進室兼任

原田 哲志 (はらだ さとし)

研究・専門分野
資産運用、オルタナティブ投資

経歴
  • 【職歴】
    2008年 大和証券SMBC(現大和証券)入社
         大和証券投資信託委託株式会社、株式会社大和ファンド・コンサルティングを経て
    2019年 ニッセイ基礎研究所(現職)

    【加入団体等】
     ・公益社団法人 日本証券アナリスト協会 検定会員
     ・修士(工学)

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