2019年08月19日

【7月米住宅着工、許可件数】着工件数は119.1万件と、前月(124.1万件)、市場予想(125.6万件)を下回る

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:着工件数は市場予想を下回る一方、許可件数は予想を上回る結果

8月16日、米国センサス局は7月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は119.1万件(前月改定値:124.1万件)と、125.3万件から下方修正された前月値を下回ったほか、市場予想の125.6万件(Bloomberg集計の中央値)も下回った(図表1、図表3)。

住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は133.6万件(前月改定値:123.2万件)と、こちらは122.0万件から上方修正された前月値、市場予想の127.0万件を上回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:前月比で戸建ての着工、許可件数が増加したのは良い兆候も回復は鈍い

住宅着工件数の伸びは、前月比▲4.0%(前月:▲1.8%)と3ヵ月連続でマイナスとなった(図表3)。集合住宅が▲16.2%(前月:▲16.4%)と2ヵ月連続で2桁の落ち込みとなって、全体を押下げた(図表4)。一方、戸建ては+1.3%(前月:+6.3%)とこちらは2ヵ月連続のプラスとなった。

前年同月比では+0.6%(前月:+5.2%)と2ヵ月連続のプラスとなった。こちらも集合住宅が▲2.8%(前月:+15.3%)とマイナスとなったものの、戸建てが+1.9%(前月:+1.3%)と2ヵ月連続のプラスとなって全体を押上げた。

地域別寄与度(前月比)は、西部が+0.3%ポイント(前月:▲0.2%ポイント)と前月からプラスに転じたものの、北東部が▲1.2%ポイント(前月:+1.8%ポイント)、中西部も▲1.0%ポイント(前月:+2.8%ポイント)と前月からマイナスに転じたほか、南部が▲2.2%ポイント(前月:▲6.2%ポイント)と2ヵ月連続のマイナスとなった。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+8.4%(前月:▲5.2%)と4ヵ月ぶりのマイナスとなった前月から再びプラスに転じた(図表5)。戸建てが+1.8%(前月:+1.6%)と3ヵ月連続でプラスを維持したほか、集合住宅も+21.8%(前月:▲16.4%)と前月からプラスに転じた(図表6)。

前年同月比は+1.5%(前月:▲5.7%)と7ヵ月ぶりのプラスとなった。戸建てが▲3.8%(前月:▲3.5%)と10ヵ月連続のマイナスとなったものの、集合住宅が+11.9%(前月:▲9.7%)とプラスに転じて全体を押上げた。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅市場指数(項目別) 一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、8月が66(前月:65)と前月から+1ポイント上昇した(図表7)。

販売現況が73(前月:71)と+2ポイント上昇、客足状況も50(前月:48)と+2ポイント上昇した一方、販売見込みが70(前月:71)と▲1ポイント低下するなど、まちまちの結果となった。

住宅市場指数は年末に急落した水準から10ポイント上昇しており、住宅ローン金利の低下を追い風に改善基調となっているが、17年末(74)の高値を大幅に下回っており、住宅市場の回復は鈍い。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2019年08月19日「経済・金融フラッシュ」)

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