- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- イラン原油全面禁輸発動、原油相場はどうなる?
2019年05月08日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■要旨
- 4月下旬に米トランプ政権はイラン産原油禁輸の制裁に関して一部国・地域に認めていた適用除外の撤廃を発表、今月2日以降は同国産原油の全輸入が米制裁の対象となった。大きな変化を迎えた原油市場だが、この先どのような展開になるのだろうか。
- 今後の注目点として、原油供給面では、(1)米制裁を受けるイラン・ベネズエラの供給減少度合い、(2)大規模な武力衝突が発生しているリビアの供給減リスク、(3)(イラン・ベネズエラの供給減の埋め合わせとしての)OPECプラスによる増産の有無が注目される。需要面では、引き続き米中貿易摩擦の行方が最大の注目点になる。米政権は先日、対中関税の引き上げを表明した。もし、これが現実のものとなれば、世界経済の押し下げを通じて原油需要を減少させることになる。
- 原油価格の見通し(年内)を考えると、メインシナリオとしては、1バレル55ドルから60ドル台後半をレンジとするボックス圏での推移が予想される。今後、イランとベネズエラの原油供給は減少するものの、OPECと米国の増産で概ね穴埋めされることが見込まれる。米国の圧力を受けるサウジをはじめとするOPECはある程度増産せざるを得ないだろう。また、足元の原油価格は米シェールの採算レートを十分上回っているとみられ 、米国の原油生産量も緩やかに増加することが見込まれる。米政権発の貿易摩擦に関しては、激化すると米国自身に跳ね返ってくるだけに、いずれブレーキを踏まざるを得ない。結果として、需給バランスが大きく傾くことは避けられ、原油価格もボックス圏に留まると予想。ただし、各国の思惑が複雑に絡み合うだけに、上振れ・下振れリスクも高い。
- 原油価格がボックス圏での推移となれば、金融市場への影響も限られる。ただし、大きく動いた場合は金融市場全体の混乱の元になりかねない。原油価格が大きく上昇しても、逆に下落しても、日本株安・円高圧力に繋がる可能性が高い。
■目次
1.トピック:イラン原油全面禁輸発動、原油相場はどうなる?
・イラン産原油は全面禁輸へ
・供給面の注目点:米制裁の影響・リビア供給減リスク
・需要面の注目点:米中貿易摩擦と世界経済の行方
・今後の見通しと為替・株価への影響
2.日銀金融政策(4月):政策金利のフォワードガイダンスを明確化
・(日銀)政策金利のフォワードガイダンスを明確化
3.金融市場(4月)の振り返りと当面の予想
・10年国債利回り
・ドル円レート
・ユーロドルレート
1.トピック:イラン原油全面禁輸発動、原油相場はどうなる?
・イラン産原油は全面禁輸へ
・供給面の注目点:米制裁の影響・リビア供給減リスク
・需要面の注目点:米中貿易摩擦と世界経済の行方
・今後の見通しと為替・株価への影響
2.日銀金融政策(4月):政策金利のフォワードガイダンスを明確化
・(日銀)政策金利のフォワードガイダンスを明確化
3.金融市場(4月)の振り返りと当面の予想
・10年国債利回り
・ドル円レート
・ユーロドルレート
(2019年05月08日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/18 | トランプ関税発の円高は止まるか?~マーケット・カルテ5月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
2025/04/11 | 貸出・マネタリー統計(25年3月)~貸出金利は上昇中だが、貸出残高は増勢を維持、現金・普通預金離れが進む | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/07 | トランプ関税と円相場の複雑な関係~今後の展開をどう見るか? | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/04/01 | 日銀短観(3月調査)~日銀の言う「オントラック」を裏付ける内容だが、トランプ関税の悪影響も混在 | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【イラン原油全面禁輸発動、原油相場はどうなる?】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
イラン原油全面禁輸発動、原油相場はどうなる?のレポート Topへ