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2019年04月25日
欧州大手保険グループの地域別の事業展開状況-2018年決算数値等に基づく現状分析-
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Allianz
2|Allianz
(1)地域別の業績-2018年の結果-
Allianzは、世界の70カ国以上で生命保険、損害保険、資産管理事業を展開している。
Allianzの生命保険事業の営業利益は、自国のドイツの構成比が3割を超えているが、フランス、スペイン、イタリア等の主要国からも有意な収益を上げており、欧州全体で71%の構成比となっている。
米国の子会社グループは、2018年末の認容資産ベースで、生命保険・健康保険グループで第16位(2017年末は第18位)となっており、その営業利益のグループ全体における構成比は21%となっている。
アジア・太平洋は、保険料や営業利益では未だ1割前後の構成比であるが、新契約価値では12%を占めており、高い位置付けを有してきている。
(1)地域別の業績-2018年の結果-
Allianzは、世界の70カ国以上で生命保険、損害保険、資産管理事業を展開している。
Allianzの生命保険事業の営業利益は、自国のドイツの構成比が3割を超えているが、フランス、スペイン、イタリア等の主要国からも有意な収益を上げており、欧州全体で71%の構成比となっている。
米国の子会社グループは、2018年末の認容資産ベースで、生命保険・健康保険グループで第16位(2017年末は第18位)となっており、その営業利益のグループ全体における構成比は21%となっている。
アジア・太平洋は、保険料や営業利益では未だ1割前後の構成比であるが、新契約価値では12%を占めており、高い位置付けを有してきている。
(2)地域別の業績-2017年との比較-
2017年との比較では、生命保険事業の会社全体の営業利益は6%減少した。
ドイツ等で資本効率の高い商品を販売していること等で新契約価値は増加したものの、金融市場のボラティリティが高まる中、ドイツ及び米国において、高い減損や実現益の減少及び取引結果の減少により、投資マージンが減少したことによる。一方で、イタリアや台湾におけるユニットリンク契約の増加がこの影響を一部相殺した。フランスでは、支払率の上昇と一時的な要因もあり、営業利益が1割減少した。なお、ドイツでは、資本効率の高い商品の販売が、営業利益の増加に貢献したが、若干のマイナス進展となった。
アジアでの営業利益やMCEVは、それぞれ3割及び5割と大幅に増加した。また、中南米の営業利益も未だ低い水準ながら6割程度増加した。
2017年との比較では、生命保険事業の会社全体の営業利益は6%減少した。
ドイツ等で資本効率の高い商品を販売していること等で新契約価値は増加したものの、金融市場のボラティリティが高まる中、ドイツ及び米国において、高い減損や実現益の減少及び取引結果の減少により、投資マージンが減少したことによる。一方で、イタリアや台湾におけるユニットリンク契約の増加がこの影響を一部相殺した。フランスでは、支払率の上昇と一時的な要因もあり、営業利益が1割減少した。なお、ドイツでは、資本効率の高い商品の販売が、営業利益の増加に貢献したが、若干のマイナス進展となった。
アジアでの営業利益やMCEVは、それぞれ3割及び5割と大幅に増加した。また、中南米の営業利益も未だ低い水準ながら6割程度増加した。
(3)地域別展開に関する方針及びトピック
Allianzは生命保険事業にとっての主要な市場として、ドイツ、フランス、イタリア及び米国を挙げている。
Allianzは、スケールを強化するために、目標を定めた買収に積極的に取り組むとともに、コアでない事業等の売却を進めている、2018年において、影響の大きな買収は行われなかったが、これまでに、保険事業等に関して、例えば以下のような地域別展開の見直し等を行ってきている。このうち、例えば、急速に成長しているナイジェリア市場への参入については、この M&Aがアフリカにおける長期成長戦略のマイルストーンになると述べていた。
・2016年 韓国生命保険会社の売却
・2016年11月 モロッコにおけるAllianz Marocの買収
・2017年2月 Allianz Irish Lifeの100%子会社化(66.5%出資から100%出資へ)に合意
・2018年2月 Oldenburgische Landesbank AGの売却
・2018年2月 スリランカ第3位の損害保険会社Janashakthi General Insurance Limited (JGIL)の買 収
・2018年4月 LV=(Liverpool Victoria)とのジョイントベンチャーによる英国での第3位のリテール保険会社の構築・信用保険会社Euler Hermesへの投資の増大及びその後の買収の完了
・2018年5月 台湾における生命保険ポートフォリオの一部のChina Lifeへの売却完了(2017年10月に合意を公表)
・2018年5月 アフリカにおけるリーディング再保険会社であるAfrica Reの株式の8%を取得
・2018年7月 ナイジェリアにおけるEnsure Insurance、サウジアラビアにおけるSaudi Fransiの買収
・2019年1月 Allianz Global Corporate&Specialty(AGCS)がインドで再保険支店を開設
Allianzは生命保険事業にとっての主要な市場として、ドイツ、フランス、イタリア及び米国を挙げている。
Allianzは、スケールを強化するために、目標を定めた買収に積極的に取り組むとともに、コアでない事業等の売却を進めている、2018年において、影響の大きな買収は行われなかったが、これまでに、保険事業等に関して、例えば以下のような地域別展開の見直し等を行ってきている。このうち、例えば、急速に成長しているナイジェリア市場への参入については、この M&Aがアフリカにおける長期成長戦略のマイルストーンになると述べていた。
・2016年 韓国生命保険会社の売却
・2016年11月 モロッコにおけるAllianz Marocの買収
・2017年2月 Allianz Irish Lifeの100%子会社化(66.5%出資から100%出資へ)に合意
・2018年2月 Oldenburgische Landesbank AGの売却
・2018年2月 スリランカ第3位の損害保険会社Janashakthi General Insurance Limited (JGIL)の買 収
・2018年4月 LV=(Liverpool Victoria)とのジョイントベンチャーによる英国での第3位のリテール保険会社の構築・信用保険会社Euler Hermesへの投資の増大及びその後の買収の完了
・2018年5月 台湾における生命保険ポートフォリオの一部のChina Lifeへの売却完了(2017年10月に合意を公表)
・2018年5月 アフリカにおけるリーディング再保険会社であるAfrica Reの株式の8%を取得
・2018年7月 ナイジェリアにおけるEnsure Insurance、サウジアラビアにおけるSaudi Fransiの買収
・2019年1月 Allianz Global Corporate&Specialty(AGCS)がインドで再保険支店を開設
3|Generali
(1)地域別の業績-2018年の結果-
Generaliは、欧州を中心に世界の50カ国以上で事業展開をしている。
各種の指標において、自国のイタリアに加えて、ドイツとフランスで高い構成比を有しているが、さらにその他の欧州における構成比も高いものとなっている。
生命保険・損害保険の市場シェア及びポジションについては、以下の通りとなっている。
・イタリア : 生保16.8%(第2位)、損保14.7%(第2位)、生損保合算では第1位
・ドイツ : 生保9.5%、損保5.3%、合算で第2位
・フランス : 生保4.7%(第8位)、損保4.5%(第8位)
・ハンガリー : 生保9.4%、損保18.6%、合算で第2位
・チェコ : 生保24.4%、損保32.2%、合算で第2位
・スロバキア : 生保7.6%、損保11.6%、合算で第3位
・オーストリア: 生保14.2%、損保16.1%、合算で第3位
・ポーランド : 生保4.0%、損保3.6%、合算で第9位
一方で、他の欧州大手保険グループとは異なり、欧州域外でのプレゼンスは現時点では高くない。
(1)地域別の業績-2018年の結果-
Generaliは、欧州を中心に世界の50カ国以上で事業展開をしている。
各種の指標において、自国のイタリアに加えて、ドイツとフランスで高い構成比を有しているが、さらにその他の欧州における構成比も高いものとなっている。
生命保険・損害保険の市場シェア及びポジションについては、以下の通りとなっている。
・イタリア : 生保16.8%(第2位)、損保14.7%(第2位)、生損保合算では第1位
・ドイツ : 生保9.5%、損保5.3%、合算で第2位
・フランス : 生保4.7%(第8位)、損保4.5%(第8位)
・ハンガリー : 生保9.4%、損保18.6%、合算で第2位
・チェコ : 生保24.4%、損保32.2%、合算で第2位
・スロバキア : 生保7.6%、損保11.6%、合算で第3位
・オーストリア: 生保14.2%、損保16.1%、合算で第3位
・ポーランド : 生保4.0%、損保3.6%、合算で第9位
一方で、他の欧州大手保険グループとは異なり、欧州域外でのプレゼンスは現時点では高くない。
(2)地域別の業績-2017年との比較-
2017年との比較では、全体では、増収増益となっている。これは、収益の低下や高い減損及び実現益の低下により、投資マージンは減少したものの、それ以上に技術的マージンが増加したことによる。
欧州の生命保険事業について、フランスにおいては増収減益だったが、イタリア、ドイツ、中東欧で増収増益となり、欧州全体でも若干増益となった。
米州・南欧には、アルゼンチン、ブラジル、トルコ等が含まれるが、これらの国々の通貨が弱かったことの影響もあり、ユーロ建てでは、減収で、営業利益も大幅に減少した。一方で、アジアでは2割を超す増収で、営業利益も63%と大幅に増加した。
新契約価値は、2017年の53%という大幅進展に続いて、3%の着実な進展を果たした。
なお、図表にはないが、純利益については、業績の改善に加えて、ドイツやベルギーでの事業売却等の収入により、9.4%増加した。
2017年との比較では、全体では、増収増益となっている。これは、収益の低下や高い減損及び実現益の低下により、投資マージンは減少したものの、それ以上に技術的マージンが増加したことによる。
欧州の生命保険事業について、フランスにおいては増収減益だったが、イタリア、ドイツ、中東欧で増収増益となり、欧州全体でも若干増益となった。
米州・南欧には、アルゼンチン、ブラジル、トルコ等が含まれるが、これらの国々の通貨が弱かったことの影響もあり、ユーロ建てでは、減収で、営業利益も大幅に減少した。一方で、アジアでは2割を超す増収で、営業利益も63%と大幅に増加した。
新契約価値は、2017年の53%という大幅進展に続いて、3%の着実な進展を果たした。
なお、図表にはないが、純利益については、業績の改善に加えて、ドイツやベルギーでの事業売却等の収入により、9.4%増加した。
(3)地域別展開に関する方針及びトピック
Generaliは、2016年11月26日に開催した「投資家の日(Investor Day)」において、現在事業展開している市場を、1) 既に一定のプレゼンスを有して、規模があり魅力的な市場(6~9市場)、2) プレゼンスが十分でないが魅力的な市場(16~18市場)、3) 魅力的な市場でもなくプレゼンスも無い市場(13~15市場)、の3つに分類して、3) については合理化を進めることを計画している、と述べていた。
Generaliは、国際的な活動領域の最適化のため、2015年~2018年の計画として、売却等により、少なくとも10億ユーロのキャッシュを生成することを目標としていたが、2018年末までに、15億ユーロのキャッシュを獲得した、としている。
具体的には、保険事業に関して、2018年において、以下の取引等が行われている。
・2018年2月 オランダのGenerali Netherland N.V.のオランダの保険会社 ASRへの売却完了
・2018年4月 パナマ及びコロンビアの事業売却完了
・2018年4月 ベルギーの事業のAthora Holdingへの売却(2019年1月に完了)
・2018年6月 Generali PanEuropeのLCCG(Life Company Consolidation Group)への売却完了
・2018年7月 GuernseyのGenerali Worldwide及びアイルランドのGenerali LinkのLCCGへの売却を署名(2019年3月に取引完了)
・2018年6月 Generali CEE Holding B.V.は、中東欧においてUnicreditとバンカシュランス合意に署名
・2018年5月 ポーランドにおけるConcordiaの買収(11月に承認)、スロベニアにおける
Adriatic Slovenicaの買収(2019年2月に完了)
・2018年12月 インドにおけるFuture GroupとのJVの出資割合を49%に引き上げ
・2019年2月 Europ Assistanceが米国におけるツアーオペレータのための旅行保険市場のリーディングカンパニーであるTrip Mateを買収
さらに、Generaliは、2018年7月にドイツの生命保険ユニットであるGenerali Leben8をViridium Groupに売却することを表明9している。これにより、約10億ユーロのキャッシュ生成及び金利リスクへのエクスポジャーの大幅な削減を通じたリスク資本収益率の改善が想定されるとしている。
8 Generali Lebenは、Generali Deutschlandの約4百万の保険契約の責任準備金の約36%を占めている。Generali Deutschlandは、2017年において、ドイツで9.6%の市場シェアを有し、160億ユーロの保険料収入がある。
9 このM&Aについては、ドイツの保険監督当局であるBaFinが、2018年7月6日に、集中的に調査し、保険契約者の保護措置に関する懸念が生じないことを慎重に審査することを表明していたが、2019年4月9日に、徹底的な調査の結果、これを拒絶する根拠はないと結論付け、保険契約者の利益がViridium Groupによって十分に保護されていることを確認したと表明している。
Generaliは、2016年11月26日に開催した「投資家の日(Investor Day)」において、現在事業展開している市場を、1) 既に一定のプレゼンスを有して、規模があり魅力的な市場(6~9市場)、2) プレゼンスが十分でないが魅力的な市場(16~18市場)、3) 魅力的な市場でもなくプレゼンスも無い市場(13~15市場)、の3つに分類して、3) については合理化を進めることを計画している、と述べていた。
Generaliは、国際的な活動領域の最適化のため、2015年~2018年の計画として、売却等により、少なくとも10億ユーロのキャッシュを生成することを目標としていたが、2018年末までに、15億ユーロのキャッシュを獲得した、としている。
具体的には、保険事業に関して、2018年において、以下の取引等が行われている。
・2018年2月 オランダのGenerali Netherland N.V.のオランダの保険会社 ASRへの売却完了
・2018年4月 パナマ及びコロンビアの事業売却完了
・2018年4月 ベルギーの事業のAthora Holdingへの売却(2019年1月に完了)
・2018年6月 Generali PanEuropeのLCCG(Life Company Consolidation Group)への売却完了
・2018年7月 GuernseyのGenerali Worldwide及びアイルランドのGenerali LinkのLCCGへの売却を署名(2019年3月に取引完了)
・2018年6月 Generali CEE Holding B.V.は、中東欧においてUnicreditとバンカシュランス合意に署名
・2018年5月 ポーランドにおけるConcordiaの買収(11月に承認)、スロベニアにおける
Adriatic Slovenicaの買収(2019年2月に完了)
・2018年12月 インドにおけるFuture GroupとのJVの出資割合を49%に引き上げ
・2019年2月 Europ Assistanceが米国におけるツアーオペレータのための旅行保険市場のリーディングカンパニーであるTrip Mateを買収
さらに、Generaliは、2018年7月にドイツの生命保険ユニットであるGenerali Leben8をViridium Groupに売却することを表明9している。これにより、約10億ユーロのキャッシュ生成及び金利リスクへのエクスポジャーの大幅な削減を通じたリスク資本収益率の改善が想定されるとしている。
8 Generali Lebenは、Generali Deutschlandの約4百万の保険契約の責任準備金の約36%を占めている。Generali Deutschlandは、2017年において、ドイツで9.6%の市場シェアを有し、160億ユーロの保険料収入がある。
9 このM&Aについては、ドイツの保険監督当局であるBaFinが、2018年7月6日に、集中的に調査し、保険契約者の保護措置に関する懸念が生じないことを慎重に審査することを表明していたが、2019年4月9日に、徹底的な調査の結果、これを拒絶する根拠はないと結論付け、保険契約者の利益がViridium Groupによって十分に保護されていることを確認したと表明している。
(2019年04月25日「基礎研レポート」)
中村 亮一のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/05/02 | 曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その11)-螺旋と渦巻の実例- | 中村 亮一 | 研究員の眼 |
2025/04/25 | 欧州大手保険グループの2024年の生命保険新契約業績-商品タイプ別・地域別の販売動向・収益性の状況- | 中村 亮一 | 基礎研レポート |
2025/04/14 | 欧州大手保険グループの地域別の事業展開状況-2024年決算数値等に基づく現状分析- | 中村 亮一 | 基礎研レポート |
2025/04/01 | 欧州大手保険グループの2024年末SCR比率等の状況-ソルベンシーII等に基づく数値結果報告と資本管理等に関係するトピック- | 中村 亮一 | 基礎研レポート |
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雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く
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【欧州大手保険グループの地域別の事業展開状況-2018年決算数値等に基づく現状分析-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
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