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介護保険料の納付開始年齢はなぜ40歳なのか-年齢引き下げを巡る論点を探る
保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 三原 岳
2000年度に創設された介護保険は40歳以上の国民全員を被保険者とし、加齢に伴って心身に不具合が生じた際の要介護リスクをカバーしている。しかし、なぜ保険料を払い始める対象年齢は「40歳」で区切られているのだろうか。この納付開始年齢の区分を巡る問題は制度創設時に論点となり、政治的に「妥協」が図られてきた面がある。
一方、高齢化に伴って介護保険財政は厳しさを増しており、今後は納付開始年齢の引き下げが論じられる可能性が想定される。ここでは「40歳」を巡る過去の議論を振り返るとともに、対象年齢を引き下げた場合の試算や論点などを提示する。具体的には、納付対象年齢を20歳に引き下げた場合、1.1兆円程度の保険料増収が見込まれる一方、(1)社会保険方式の原則との関係性、(2)障害者総合支援法との関係性――という2つの論点を想定しなければならない点を指摘する。
■目次
1――はじめに~納付開始年齢はなぜ40歳なのか~
2――介護保険の財源構造
3――制度創設時の議論~40歳以上で区切った理由~
4――介護保険財政の現状
5――納付開始年齢を引き下げた場合の影響(1)~保険料の増収予想~
6――納付開始年齢を引き下げた場合の影響(2)~社会保険方式の原則との関係性~
7――納付開始年齢を引き下げた場合の影響(3)~障害者総合支援法との関係性~
8――おわりに
03-3512-1798
- プロフィール
【職歴】
1995年4月~ 時事通信社
2011年4月~ 東京財団研究員
2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
2023年7月から現職
【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会
【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)
【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数
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