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中国の「2025年問題」-人口、財政、社会保障関係費の三重苦【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(36)

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 片山 ゆき
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<人口>
- 団塊の世代が2025年頃までに後期高齢者(75歳以上)になり、医療や介護など社会保障関係費の急増が懸念される、我が国の2025年問題。
- 一方、中国では同じ2025年に65歳以上の人口が全人口の14%を超える高齢社会を迎えると予測されており、日本と同様に、社会保障関係費の急増をどうするかについての問題を抱えている。
- 中国では1970年代後半から一人っ子政策とった結果、少子高齢化が急速に進行した。中国における高齢化は日本とほぼ同じスピードで移行すると予測され、高齢化率でみた場合、日本と中国の時間差はおよそ30年と考えられる。
<財政>
- 中国の2017年の財政収入は前年比7.4%増の17兆2,593億元、財政支出は7.7%増の20兆3,085億元となった。財政の規模は1990年代後半から経済成長とともに拡大し、対GDP比で財政収入が21%、財政支出が25%となっている。
- ただし、近年、財政収入の伸びは低下傾向にあり、財政赤字は習近平政権となった2013年以降、拡大し続けている。
- 2017年時点で財政赤字は対GDP比で3%以下であるが、今後、経済成長の鈍化、生産年齢人口の減少、更なる減税策等の導入から税収が減少し、財政支出と財政収入の開きが更に拡大する懸念がある。
<社会保障関係費>
- 中国における2017年の社会保障関係費は前年比12.4%増の3兆9,063億元(約70兆円)となった。社会保障関係費は、わずか5年間で2倍に増加し、その増加率も国の財政支出を上回る勢いである 。
- また、一般公共予算支出のうち、社会保障関係費は19.2%と、最も大きな割合を占めた。その他の費目と比較しても、構成比は一貫して増加している。また、支出額が最も大きく、増加率も高いため、財政へのインパクトが大きい。ただし、ここに介護保険に関する経費は含まれていない点に留意が必要である。
- 2020年の介護保険制度の本格導入後、実際どのような内容になるのかを確認する必要はあるが、人口動態、経済、財政など現政権が置かれている状況を考えても、前政権のような制度導入に伴う大型の財政投入は難しいであろう。
- 今後はさらに進展する少子高齢化に対応すべく、既存の社会保険制度における財政負担を維持、調整しつつ、方向性としては、可能な限り財政投入を抑えた制度構築が図られていくであろう。
1-日本とほぼ同じスピードで進む少子高齢化、一人っ子政策の廃止も出生率は最低に
2-ゆっくりと開き始める“ワニの口”?、中国の財政状況
3-中国の社会保険は、年金・医療・労災・失業・生育・介護の6種類
4-急増する社会保障関係費、本当は国の支出の25%にまで拡大?
5-社会保険料をいかに適正に徴収するか-保険料の徴収機能を税務局に一本化
6-日本と中国の高齢化における時間差はおよそ30年、中国が進むべき道は?
(2019年02月19日「保険・年金フォーカス」)
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03-3512-1784
- 【職歴】
2005年 ニッセイ基礎研究所(2022年7月より現職)
(2023年 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了) 【社外委員等】
・日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
(2019~2020年度・2023年度~)
・生命保険経営学会 編集委員・海外ニュース委員
・千葉大学客員教授(2024年度~)
・千葉大学客員准教授(2023年度) 【加入団体等】
日本保険学会、社会政策学会、他
博士(学術)
片山 ゆきのレポート
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