2018年10月16日

地方から始まる?年金危機-年金積立金を使い果たした黒龍江省【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(33)

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 片山 ゆき

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■要旨
 
  • 中国の東北地域に位置する黒龍江省。7月に省内のハルピン市などで年金の支払いが遅れるという報道がなされた。近年、黒龍江省では基本年金基金への収入が支出を上回り、それを補填する上でも積立金の取り崩しが続いていた。
     
  • とはいえ、これまでは毎月支払いがなされてきたこともあり、今回の報道が受給者に与えるインパクトは大きい。2017年末には、2016年時点での基本年金基金の残高がマイナスになったことが発表されており、年金不安に追い討ちをかける事態となったからだ。
     
  • 黒龍江省が積立金を使い果たしてしまった背景にはどのような要因があるのか。本稿では黒龍江省が置かれた現状を把握しつつ、国が今後、どのような対策をとろうとしているのかについて解説する。

■目次

1-年金積立金を使い果たした黒龍江省
2-各省の現状―次の黒龍江省はどこか。
3-基本年金基金についての3つの対策
  ―中央調整基金の新設、運用の強化、国有株売却による補填
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保険研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

片山 ゆき (かたやま ゆき)

研究・専門分野
中国の社会保障制度・民間保険

経歴
  • 【職歴】
     2005年 ニッセイ基礎研究所(2022年7月より現職)
     (2023年 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了) 【社外委員等】
     ・日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
     (2019年度・2020年度・2023年度)
     ・生命保険経営学会 編集委員・海外ニュース委員
     ・千葉大学客員准教授(2023年度~) 【加入団体等】
     日本保険学会、社会政策学会、他
     博士(学術)

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