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都道府県別にみた宿泊施設の稼働率予測~インバウンド拡大に伴うホテル建設が進み、一部地域では供給過剰も~
白波瀨 康雄
14 奈良では、日本初進出となる外資系ホテル「JWマリオットホテル」(2020年春)や旧奈良少年刑務所の建物を保存活用したホテル(2020年)などが計画されている。
15 出所は、国土交通省近畿運輸局、関西観光本部、関西経済連合会「訪日外国人向けの関西統一交通パス「KANSAI ONE PASS」の利用実績等のデータ分析結果(2017年4~12月利用分の約13.4万枚分のデータ)」。滞在時間は中央値であり、鉄道乗降駅の所在地で府県を特定し、鉄道出場と次回入場が同一府県の場合に、出場時刻と次回入場時刻の差分を当該府県での滞在時間としてカウントしている(大阪府:61.4時間、京都府:30.2時間、滋賀県:10.5時間、和歌山県:8.0時間、兵庫県:6.6時間、奈良県:4.6時間)。宿泊については、日中観光した旅行者がその日の最後に降車したエリアで宿泊したとみなしている。具体的には、昼間(10時~17時)に奈良市(JR西日本奈良駅、近鉄奈良駅)で降車したサンプルについて、同日の最終降車駅を抽出し最終降車駅が所在する市区町村別に降車客数を集計している(京都市はJR西日本京都駅で降車したサンプルについて集計)。
16「京都新聞」2018年12月15日
7―おわりに
また、旅館は国内旅行客の落ち込みを訪日外国人の増加が補い、稼働率は横ばい圏で推移するが、客室数の減少が続いており、訪日外国人のシェアが高い地域では稼働率が大幅に上昇する可能性がある。それでも、ホテルと比べれば稼働率は低位にあり、客室数に余裕のある状況が続くだろう。
現在、訪日外国人の旅館利用は1割程度(図表9)だが、訪日外国人旅行者の約7割が旅館での宿泊を希望しているという調査結果17もある。訪日外国人の宿泊シェアの高いホテルや安価な簡易宿所の増加を受けて厳しい競争環境下にあるものの、ホテルの需給が逼迫した際の受け皿や、あるいは日本独自の宿泊体験を求めて旅館を利用したいと考える訪日外国人の潜在的な需要は高いと考えられる。受け入れ態勢を整え、稼働率が低水準に留まる旅館を有効に活用することがインバウンドの地方への広がりや客室数不足の解消につながるだろう。
17 株式会社日本政策投資銀行・公益社団法人日本交通公社「DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査」
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2019年02月18日「基礎研レポート」)
白波瀨 康雄
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日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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