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- 企業物価指数(2018年10月)~川上から川下への上昇圧力が弱まる~
1.国内企業物価は上昇基調が続く
前月比では0.3%(9月:同0.3%)と伸び率は前月から変わらず、2ヵ月連続のプラスとなった。7~9月に適用される夏季電力料金の引き上げの影響を除いたベースでは前月比0.6%(7月:同0.2%)となった。国内企業物価は上昇基調が続いている。
国内企業物価の前月比寄与度をみると、飲食料品・農林水産物がマイナス寄与となったが、石油・石炭製品のプラス寄与が全体を押し上げたほか、幅広い品目がプラス寄与となった。
2.輸入物価は4ヵ月ぶりに上昇
契約通貨ベースでみると、石油・石炭・液化天然ガス(9月:前月比0.8%→10月:同3. 8%)は、7ヵ月連続でプラスを維持している。石油・同製品(前月比5.3%)が3ヵ月ぶりに上昇に転じ、天然ガス(同1.7%)も上昇が続いている。一方、金属・同製品(9月:前月比▲1.1%→10月:同▲0.6%)は、鉄鋼(前月比▲0.9%)や非鉄金属(同▲1.5%)の下落を受けて、4ヵ月連続で下落している。また、化学製品(9月:前月比0.2%→10月:同▲0.5%)やはん用・生産用・業務用機器(9月:前月比0.1%→10月:同▲0.3%)が下落に転じたほか、電気・電子機器(9月:前月比▲0.2%→10月:同▲0.1%)は下落が続いており、幅広い品目が輸入物価を押し下げた。
原油価格は米国のイラン経済制裁による供給懸念などから高値圏で推移していたが、一部の国に対して原油輸入を容認するとして需給の緩みが意識され下落している。また、非鉄金属は米中貿易摩擦の懸念や世界経済の減速懸念などから軟調に推移しており、輸入物価の伸びは鈍化していくとみられる。また、ドル円は総じて110~115円のレンジ圏での推移が続いており、輸入物価に与える影響は限定的となろう。
3.先行きは川上から川下への上昇圧力が弱まる
特に、最終財の輸入品は前年比▲0.4(9月:同0.0%)と下落に転じた(最終財の国内品は前年比0.6%(9月:同0.6%)と横ばい)。
消費者物価(生鮮食品を除く総合)と関連性の高い消費財は前年比0.6%(9月:同0.8%)と7ヵ月ぶりに伸び率が鈍化した。世界経済の回復に伴う需要拡大から上昇傾向にあった国際商品市況は、世界経済への先行き懸念から頭打ちとなっている。前年比でみた素原材料は伸び率が鈍化しており、先行きも川上から川下への上昇圧力が弱まってくると見込まれる。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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白波瀨 康雄
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(2018年11月12日「経済・金融フラッシュ」)
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