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1――取締役会評価の手法
外部評価を活用すれば、客観的な視点から、専門的な知見・ノウハウを活用した支援を受けられるという利点がある。具体的には、評価目的の掘り下げから対象の設定にわたる支援、質問項目の作成、アンケートやインタビューの実施、課題の分析、評価レポートの作成といった内容である。ただ、外部評価を活用しても、評価全体を指揮し活用する主体はあくまで取締役会であるから、現状と課題を踏まえた評価目的と実務設計の大枠については、取締役会が主体的に決める必要がある。
1 高山与志子「取締役会評価の実際と課題」証券アナリストジャーナル2015年11月号pp.41-42
2 高山与志子「取締役会評価とコーポレート・ガバナンス ―形式から実効性の時代へ―」旬刊商事法務2043号(2014)P.16
3 これまで英国のコードは評価結果の開示は要求していなかった。概要のみとはいえ日本のコードが先行していた結果の開示について、2019年から適用となる英国の改訂コードではアニュアル・レポートに結果を開示するように求めた。The UK Corporate Governance Code (2018), Provision 23 参照。
https://www.frc.org.uk/getattachment/88bd8c45-50ea-4841-95b0-d2f4f48069a2/2018-UK-Corporate-Governance-Code-FINAL.PDF
2――主要企業の現状
- 取締役会事務局は、外部専門家の助言を参考にして、アンケートの作成およびその結果のとりまとめを実施
- アンケートの回答収集および集計は外部機関に依頼し、集計後のデータは取締役会事務局が分析
- アンケートは回答が社内担当者の目に触れないよう回答先を外部の法律事務所とし、集計結果のとりまとめおよび分析を委託
- 外部機関による評価プロセスの調査、評価、改善提案、評価結果の点検等を3年に1回実施、外部機関は、当社の過去の評価方法、評価の決定プロセス、各取締役の評価、最終評価等を分析の上、制度およびその運用について指導・助言
といったようにレベル感は様々であり、費用と時間等のコストも勘案し、自社の実情に即した現実的な活用が既に行われていると見られる4。
4 現状では外部評価を手掛けるコンサルタント等が少ないことから外部評価の料金は高いとされており、費用対効果も十分に検討が必要になるだろう。
3――外部評価活用の考え方
自社がどのような取締役会を目指すのかを取締役会で議論することは、取締役会評価における評価基準の設定でもある。いずれにしても外部評価は自己評価全体の一部に過ぎない。取締役会は、まず全体にわたる評価の目的と手法の十分な検討を経て、客観性の補強という観点から、(数年に)一度、外部評価を導入して既存の自己評価を検証してみることが、現時点の日本企業における現実的な対応といえるのではないだろうか。
5 杉山=三笘「取締役会実効性評価をめぐる各社の取組み(1) 監査役会設置会社・花王の取組み」旬刊商事法務2106号(2016)P.19
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江木 聡
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(2018年10月12日「基礎研レター」)
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