2018年10月10日

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(10月号)~輸出は電気電子製品が鈍化して一桁成長まで低下

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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シンガポールの18年8月の輸出額(石油と再輸出除く)は前年同月比4.4%増(前月:同11.6%増)と低下した。輸出の伸び率は主力の電子製品が低調で鈍化してきているが、非電子製品の拡大を支えに増加傾向は続いている。なお、総輸出額は前年同月比12.8%増(前月:同14.0%増)、総輸入額は同12.5%増(前月:同22.8%増)となり、それぞれ低下した。結果として、貿易収支は48.5億ドルの黒字となり、前月から24.3億ドル増加した(図表11)。

輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品は同2.1%減(前月:同5.3%減)と7ヵ月連続のマイナスとなった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、通信機器(同14.7%増)とPC(同11.1%増)が大幅に増加したが、主力のIC(同1.6%減)とPC部品(同5.4%減)、ダイオード・トランジスタ(同29.2%減)が低迷した。また電子製品と並び全体の約3割を占める化学は同12.8%増(前月:同39.1%増)と増勢が鈍化したものの、高水準を維持した。化学製品の内訳を見ると、医薬品が同32.6%増(前月:同110.4%増)と好調に推移する一方、石油化学製品が同2.8%増(前月:同8.6%増)と工場のメンテナンスの影響で伸び悩んだ。
(図表11)シンガポール貿易収支/(図表12)シンガポール輸出の伸び率(品目別)
フィリピンの18年8月の輸出額は前年同月比3.1%増と、前月(同0.3%増)から上昇した。輸出の伸び率は年明けからマイナス圏で推移した後、足元では主力の電子製品を中心にプラスに転じたが、依然として低調に推移している。一方、輸入額は前年同月比11.0%増(前月:同31.6%増)と鈍化した結果、貿易収支は35.1億ドルの赤字となり、前月から0.3億ドル赤字が縮小した(図表13)。

輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の約5割を占める電子製品は同7.0%増(前月:同6.1%増)と上昇した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、電子データ処理機(同3.4%増)が鈍化する一方、主力の半導体デバイス(同7.7%増)が上昇した。その他9品目は総じて増加した品目が多かった。精錬銅(同79.0%増)やバナナ(同46.9%増)、その他鉱物製品(同21.8%増)、その他製造品(同6.4%増)、電子機械・部品(同5.4%増)が増加する一方、イグニッション・ワイヤーセット(同22.9%減)や化学(同8.2%増)、金属部品(同4.8%減)、機械・輸送用機器(同3.5%減)が減少した。
(図表13)フィリピンの貿易収支/(図表14)フィリピン 輸出の伸び率(品目別)
 
 

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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴
  • 【職歴】
     2008年 日本生命保険相互会社入社
     2012年 ニッセイ基礎研究所へ
     2014年 アジア新興国の経済調査を担当
     2018年8月より現職

(2018年10月10日「経済・金融フラッシュ」)

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