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ドイツの生命保険会社の状況(2)-BaFinの2017年Annual Reportより(ドイツの生命保険監督のトピック(その2))-
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1―はじめに
今回のレポートでは、Annual Reportの「統合監督(Integrated supervision)」の章に記載されている項目の中から、生命保険監督が関係してくる項目をいくつか抜粋して報告する。
2―統合監督
なお、「統合監督(Integrated supervision)」について、BaFinのFelix Hufeld長官は、Annual Reportの冒頭の意見表明において、「BaFinは、多くの方法で統合されている。BaFinは、金融市場の全てのセクターの監督を統一し、マイクロプルデンシャルとマクロプルデンシャルの監督を結び付け、(集団的消費者保護を含む)行動規範の遵守を監督し、既に述べたようにまた、国家破綻処理機関でもある。例えば、管理リソースとITリソースを統合し、コンピテンスセンターを共有した結果、明確なコスト削減のほかにも、この統合によって他の重要な利点がもたらされる。」と述べている。より具体的には、例えば、セクター横断的監督については、「統合された監督当局は、リスクと相互依存性を認識し、セクター別監督当局よりも迅速に各セクターの影響を評価することができる。セクターが単一の機関で結合されると、情報を直接共有し、行動の過程に同意し、迅速に行動することができる。」、さらには「セクター横断的監督は、法律や規制の統一的解釈を確立し、裁量的スコープを同等の方法で適用できるという利点も有する。」と述べている。
Brexitについては、前回のレポートで報告したように「スポットライト(Spotlights)」の中でも触れられていたが、ここでは主として内部モデルに関して記述されている。なお、以下の記述は、金融機関全体を対象にしたものであるが、実際には主として銀行等が念頭に置かれたものとなっている。
まずは、内部モデルに関しても、ユーロ圏の全ての会社が同じ基準に従って監督され、規制されるという「平等取扱の原則」が適用されることが重要である、ことを明確にしている。
その中で、「現在、BaFinと欧州中央銀行(ECB)のリーダーシップの下での単一監督メカニズム(SSM)は、もし内部モデルが既に英国の健全性監督機構(PRA)によって承認されている場合、それを認めている。」としている。これは、「少なくともBrexitまでは、PRAは、BaFinやECBと同じベンチマークである欧州資本要件規制(CRR)を適用する。」ということに基づいている。これにより、「BaFinやECBが移行期間中に、当初は包括的な時間のかかるレビューを実施することなく、PRAによって承認された内部モデルの使用を許容すること」が可能になる、としている。
BaFinは、「関心のある機関のために多段階のプロセスを定め、その間、ワークショップや監督当局のインタビューで会社と緊密に協力」するというアプローチで、「Brexitに対応して、ロンドンからドイツへ事業を移転する会社は、時間を浪費することなく、PRAによって承認された内部モデルを使用できる。と同時に、BaFin又はSSMのモデル監督者と一緒に、内部モデルが対象となる厳しいドイツと欧州の要件を永久に満たしているようにするプロセスに着手する。」ことができるとしている。
以上のように、内部モデルの取扱いについても、移行措置が認められることで、Brexitに伴う混乱を最小限にとどめる対応が図られることになっている。
1.英国のEU離脱(Brexit)
ブリュッセルでは、英国がEUを離脱した後の期間に対する政治交渉が始まった。交渉は2017年に何らの具体的な結果を生み出さなかった。会社や、金融規制当局や政策立案者にとっての非常に重要な問題は、英国のEU 27カ国の単一市場へのアクセス及びその逆が、Brexit後にどのような形になるのかということである。英国の輸出総額の半分がEUに輸出され、世界の中で英国の最大の輸出市場となっている。輸入を見ると同様の画像が表示される。この問題は、ロンドンが現在EU内の資本フローの中心的な拠点であるため、金融部門ではさらに複雑になっている。
現状(2018年3月31日時点)では、英国はBrexitの後、第三国になることが想定されており、つまり特別な地位を付与されない。会社だけでなく、国家及び欧州の監督当局は現在、この課題に適切に対処するための準備に全力で取り組んでいる。
BaFinは昨年、関心のある会社との対話を続け、再びワークショップを開催した。Brexitは欧州経済地域(EEA)加盟国でビジネスを行うための欧州パスポート権を失うことを意味するため、多数の銀行や金融サービス機関は、ドイツやその他の国にオフィスを移そうとしている。BaFinと政策立案者は、これらの機関にドイツでのプロジェクトのガイダンスを提供し、法的確実性を提供し、同時にドイツの金融市場の安定性を確保することを目指している。
移行期間の内部モデル
合計で、BaFinは現在まで関心のある会社との100以上の協議を行ってきた。このプロセスでは、ユーロ圏の全ての会社が同じ基準に従って監督され、規制されるようにすることが重要であることを明確にしている。この平等取扱の原則は、機関が資本要件を計算するために使用する前に、BaFinがレビューし、承認しなければならない内部モデルにも適用される。
現在、BaFinと欧州中央銀行(ECB)のリーダーシップの下での単一監督メカニズム(SSM)は、もし内部モデルが既に英国の健全性監督機構(PRA)によって承認されている場合、それを認めている。内部モデルをレビューする時には、少なくともBrexitまでは、PRAは、BaFinやECBと同じベンチマークである欧州資本要件規制(CRR)を適用する。これは、BaFinやECBが移行期間中に、当初は包括的な時間のかかるレビューを実施することなく、PRAによって承認された内部モデルの使用を許容することを可能にする。
この目的のために、BaFinとドイツ連邦銀行のドイツモデルの監督者は、欧州の規制に従って、関心のある機関のために多段階のプロセスを定め、その間、ワークショップや監督当局のインタビューで会社と緊密に協力している(情報ボックス「内部モデルのための規則」)。
BaFinは、このアプローチで2つの目標を達成したいと考えている。Brexitに対応して、ロンドンからドイツへ事業を移転する会社は、時間を浪費することなく、PRAによって承認された内部モデルを使用できる。と同時に、BaFin又はSSMのモデル監督者と一緒に、内部モデルが対象となる厳しいドイツと欧州の要件を永久に満たしているようにするプロセスに着手する。
限られた期間 - ECBとの合意に基づき-、BaFinは、一定の条件が満たされれば、姉妹機関で資本を計算するためにPRAによって既に承認された内部モデルを許容する用意がある。まずは、機関は、行動計画を含め、この目的に必要な申請書をBaFinに提出しなければならない。さらなる行動のための義務的な手配は、これが行われた後にのみ行うことができる。
注釈
内部モデルのルール
1.ドイツ国内に所在する会社は、内部モデルの使用の申請を行う。英国の健全性規制機構(PRA)が既にそのモデルを承認していることを、その適用において証拠としている。会社はまた、モデルの現状と計画されている開発状況及び品質に関する情報を提供する。さらに、ドイツで使用されているモデルに対して、どのようにして誰によって、要求される作業が行われることになるのかを説明する。計画では、この目的に必要なリソースとプロセスをいかに構築するのかについて説明する。
2.BaFin又はSSMがモデル申請が完全で適切であると考える場合には、会社の計画を考慮して、タイムスケジュールを設定する。このスケジュールでは、PRAによって承認されたモデルの許容から、ドイツ又は欧州の監督当局による定期的なモデルレビューと承認までのプロセスを概説する。
3.限られた期間、モデルを許容することにより、BaFin又はSSMは、進行中のモデル監督を引き受ける。
4.モデルレビューと承認は、レビュー中に、会社が内部モデルの規制上の品質要件が満たされているという証拠を提供することを条件に、このプロセスの終わりを印すことになる。
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