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2018年06月04日
欧州 保険ストレステスト2018(2)-ストレステストのストレスシナリオ及びサイバーリスクに関するアンケートの内容-
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(2) スワップレートに対するショック
スワップレートに対するショックは、以下のパラメータに従って、スミス・ウィルソン・モデルを介して、(UFRを含む)リスクフリーレート曲線の期間構造を展開するために使用される。
1)EIOPAリスクフリーレート(RFR)期間構造の定義に使用されるLLP(最終流動性ポイント)と整合的に定義されたLLP(例えば、EUR = 20年、GBP = 50年、CHF = 25年)
2)終局フォワードレート(UFR)は、ベースラインに関して変わらず維持される。
3)信用リスクの調整はベースラインに関して変更されない。
技術情報には、YCupシナリオで使用されるRFR期間構造が用意されている。
国債へのショックは、ベースラインに対する利回りの変化を指す。したがって、スプレッドの変動を導き出すためには、スワップレートに適用されるショックを以下のように考慮する必要がある。
a.ユーロのスワップ曲線のショック後の水準は、以下の方程式によって与えられる。𝑆𝑊𝐴𝑃𝑆ℎ𝑜𝑐𝑘=𝑆𝑊𝐴𝑃+𝑆ℎ𝑜𝑐𝑘。例えば、ユーロの10年満期のスワップレートの85bpの上昇につながる。
b.債券の利回り水準には、通常、スワップ曲線の上にクレジット・スプレッドが含まれている(正又はゼロのリスクの修正につながる可能性がある)。したがって、特定の満期の債券の利回りは、𝑌𝐵𝑜𝑛𝑑=𝑆𝑊𝐴𝑃+𝐶𝑟𝑒𝑑𝑖𝑡𝑆𝑝𝑟𝑒𝑎𝑑𝐵𝑜𝑛𝑑(スワップ期間が債券の満期と等しい場合)と表すことができる。
c.技術情報ファイルに記載されているソブリン又は会社の利回りのショック・レベルは、利回りの変動を表す(信用スプレッドの変動には適用されない)。信用スプレッドの変動は、技術情報ファイルからΔ𝐶𝑟𝑒𝑑𝑖𝑡𝑆𝑝𝑟𝑒𝑎𝑑𝐵𝑜𝑛𝑑=Δ𝑌𝐵𝑜𝑛𝑑-ΔSWAP で導かれる。
d.実例を示すために、10年スワップレート1.0%のストレス前レベルと、10bpsのクレジット・スプレッドで価格付けされたベルギー10年ソブリン債が想定され る。したがって、ショック前のこの債券の利回りは1.1%になる。
所定のストレスによると、10年のスワップレートに対するショックは、85bp(即ち𝑆𝑊𝐴𝑃𝑆ℎ𝑜𝑐𝑘= 1.85%)の上昇とソブリン債の167bpの上昇を意味している(ショック後の利回りは、1.1%+1.67%= 2.77%)。
c)で指定された公式を使用すると、ストレスシナリオ下でのこの債券の信用スプレッドは、ベースラインに対して82 bps(92 bps-10 bps)増加した92 bps(= 277 bps -185 bps)となる。
(3)社債に対するショック
技術情報に記載されている社債に対するショックは、金融/非金融で格付けされ、格付け(AAAからCCC)及び地域(EU、米国、ASIA)によって分類される。社債ポートフォリオは適切なグループに配分され、規定のショックに従ってストレスが加えられる。正確な割当てがない場合は、次のプロキシを適用できる。
a.カバーされていない地域に拠点を置く法人が発行する社債は、EU、米国、アジアなどのより広い地域に提供される平均的なショックに応じてショックを受けなければならない。
b.CCC格付けクラスへのショックは、より格付の低い社債にも適用される。
c.未格付債券はBBB格付け債に規定されているショックに応じてショックを受けなければならない。
(4)株式等に対するショック
これらの仕様書に付属する技術情報ファイルは、各国の株式に対するショックを規定している。ショックが規定されていない国に上場されている株式は、例えば、 EU、EA、その他の先進国、新興市場のような、より大きな地理的地域に対して提供されている平均ショックに基づいてショックが与えられるべきである。複数の証券取引所に上場している企業の株式の場合、株式が上場している全ての国の平均ショックが適用される。ショックがシナリオ記述の一部として指定された国のみが考慮されるべきである。
技術情報は、各国の商業用及び居住用不動産に対するショックを提供している。規定されていない国に所在する不動産は、EU、EA、その他の先進国、新興市場のような、より大きな地理的地域に対して提供されている平均的なショックに基づいてショックを受けなければならない。
「貸付金及び住宅ローン」ポートフォリオに対するストレスについては、参加グループはRMBS(住宅ローン担保証券)ポートフォリオに指定されたものと同じ利回り増加(bps)を適用することが想定される。(異なる)ポートフォリオの格付品質が決定できない場合、BBB格付けの質を仮定しなければならない。
インフラストラクチャへの投資は、提供されたショックを用いて原資産クラスに従ってショックを受けなければならない。
第2レベル又は伝染効果は、2018年ストレステストの定量的部分の範囲外であるため、資産保有及び再保険の回収可能性(すなわち信用リスク)の信用力に関する影響は考慮する必要がない。
スワップレートに対するショックは、以下のパラメータに従って、スミス・ウィルソン・モデルを介して、(UFRを含む)リスクフリーレート曲線の期間構造を展開するために使用される。
1)EIOPAリスクフリーレート(RFR)期間構造の定義に使用されるLLP(最終流動性ポイント)と整合的に定義されたLLP(例えば、EUR = 20年、GBP = 50年、CHF = 25年)
2)終局フォワードレート(UFR)は、ベースラインに関して変わらず維持される。
3)信用リスクの調整はベースラインに関して変更されない。
技術情報には、YCupシナリオで使用されるRFR期間構造が用意されている。
国債へのショックは、ベースラインに対する利回りの変化を指す。したがって、スプレッドの変動を導き出すためには、スワップレートに適用されるショックを以下のように考慮する必要がある。
a.ユーロのスワップ曲線のショック後の水準は、以下の方程式によって与えられる。𝑆𝑊𝐴𝑃𝑆ℎ𝑜𝑐𝑘=𝑆𝑊𝐴𝑃+𝑆ℎ𝑜𝑐𝑘。例えば、ユーロの10年満期のスワップレートの85bpの上昇につながる。
b.債券の利回り水準には、通常、スワップ曲線の上にクレジット・スプレッドが含まれている(正又はゼロのリスクの修正につながる可能性がある)。したがって、特定の満期の債券の利回りは、𝑌𝐵𝑜𝑛𝑑=𝑆𝑊𝐴𝑃+𝐶𝑟𝑒𝑑𝑖𝑡𝑆𝑝𝑟𝑒𝑎𝑑𝐵𝑜𝑛𝑑(スワップ期間が債券の満期と等しい場合)と表すことができる。
c.技術情報ファイルに記載されているソブリン又は会社の利回りのショック・レベルは、利回りの変動を表す(信用スプレッドの変動には適用されない)。信用スプレッドの変動は、技術情報ファイルからΔ𝐶𝑟𝑒𝑑𝑖𝑡𝑆𝑝𝑟𝑒𝑎𝑑𝐵𝑜𝑛𝑑=Δ𝑌𝐵𝑜𝑛𝑑-ΔSWAP で導かれる。
d.実例を示すために、10年スワップレート1.0%のストレス前レベルと、10bpsのクレジット・スプレッドで価格付けされたベルギー10年ソブリン債が想定され る。したがって、ショック前のこの債券の利回りは1.1%になる。
所定のストレスによると、10年のスワップレートに対するショックは、85bp(即ち𝑆𝑊𝐴𝑃𝑆ℎ𝑜𝑐𝑘= 1.85%)の上昇とソブリン債の167bpの上昇を意味している(ショック後の利回りは、1.1%+1.67%= 2.77%)。
c)で指定された公式を使用すると、ストレスシナリオ下でのこの債券の信用スプレッドは、ベースラインに対して82 bps(92 bps-10 bps)増加した92 bps(= 277 bps -185 bps)となる。
(3)社債に対するショック
技術情報に記載されている社債に対するショックは、金融/非金融で格付けされ、格付け(AAAからCCC)及び地域(EU、米国、ASIA)によって分類される。社債ポートフォリオは適切なグループに配分され、規定のショックに従ってストレスが加えられる。正確な割当てがない場合は、次のプロキシを適用できる。
a.カバーされていない地域に拠点を置く法人が発行する社債は、EU、米国、アジアなどのより広い地域に提供される平均的なショックに応じてショックを受けなければならない。
b.CCC格付けクラスへのショックは、より格付の低い社債にも適用される。
c.未格付債券はBBB格付け債に規定されているショックに応じてショックを受けなければならない。
(4)株式等に対するショック
これらの仕様書に付属する技術情報ファイルは、各国の株式に対するショックを規定している。ショックが規定されていない国に上場されている株式は、例えば、 EU、EA、その他の先進国、新興市場のような、より大きな地理的地域に対して提供されている平均ショックに基づいてショックが与えられるべきである。複数の証券取引所に上場している企業の株式の場合、株式が上場している全ての国の平均ショックが適用される。ショックがシナリオ記述の一部として指定された国のみが考慮されるべきである。
技術情報は、各国の商業用及び居住用不動産に対するショックを提供している。規定されていない国に所在する不動産は、EU、EA、その他の先進国、新興市場のような、より大きな地理的地域に対して提供されている平均的なショックに基づいてショックを受けなければならない。
「貸付金及び住宅ローン」ポートフォリオに対するストレスについては、参加グループはRMBS(住宅ローン担保証券)ポートフォリオに指定されたものと同じ利回り増加(bps)を適用することが想定される。(異なる)ポートフォリオの格付品質が決定できない場合、BBB格付けの質を仮定しなければならない。
インフラストラクチャへの投資は、提供されたショックを用いて原資産クラスに従ってショックを受けなければならない。
第2レベル又は伝染効果は、2018年ストレステストの定量的部分の範囲外であるため、資産保有及び再保険の回収可能性(すなわち信用リスク)の信用力に関する影響は考慮する必要がない。
2-2.保険に固有のショック
(1)前提
YCupのシナリオでは、保険に固有のショックは、「解約ショック」と「準備金不足ショック」を含む。較正に関する技術的な詳細は、以下の通りである。
保険に固有のショックは、グループの全ての保有契約に適用される。
また、解約ショックの適用は、以下の一般的な副次条件の影響を受ける。
・以下のサブセクションに記載されているような解約ストレスの適用が、参加したグループのソルベンシーII自己資本にプラスの限界的影響を与える場合(市場ショックの適用後の状況の条件付き)、この正の限界的影響は無効にされ、グループレベルでゼロに制限される。
・ストレス後のグループの報告書テンプレート内の別の行は、通常のストレス後レポート項目の範囲外で、参加グループがソロレベルで適用したキャップの総額(グループ全体で合計)を報告することを要求している。
(2)解約ショック
以下の段落において、「解約」という技術用語は、委任規制第142条に明記されているような保険契約者の解約オプションを指す。これらのタイプの保険契約者オプションの全てに解約ショックを適用すべきである。
財政的ストレスの直後に、シナリオは不利な市場展開に対する保険契約者の反応を反映して急激に解約率が上昇すると想定している。これらの解約は、全ての非強制的保険に影響を及ぼす。
瞬時ショックは、全ての商品タイプに20%のレベルで均一に適用されるものとする。強制保険については例外がある。
参加グループが動的解約モデルを適用する場合には、所定の即時解約ショックが、潜在的に所定の市場ショックのセットによって作成された解約の動的調整を却下しなければならない、即ち、任意の動的な調整は、無効にされなければならない。
解約ストレスパラメータの詳細な概要は、技術情報ファイルに規定されている。
(3)準備金不足ショック
YCupシナリオには、準備金不足ショックが含まれる。参加グループは、全ての保険給付支払準備金の不足額を計算すべきである(例えば、グループのための全世界で)。
この積立は、既存の最良負債推定値計算に対して想定されているよりも2.24%高い年間請求インフレ率の前提に基づいている。
例えば、損害保険会社が、インフレの影響により、請求費用が年3.0%増加すると仮定した場合、ストレス後計算のためにさらに2.24%のパーセンテージポイントを加えなければならない(すなわち、合計2.24%+ 3.0%=5.24%)。
2.24%のより高い年間請求インフレ率は、YCupシナリオの四半期インフレショックから導かれる0.24%の年間基本インフレ増加と、訴訟請求環境における変化に続く基本インフレ率の上の追加的な2.0%の年間請求インフレ増加で構成される。
(1)前提
YCupのシナリオでは、保険に固有のショックは、「解約ショック」と「準備金不足ショック」を含む。較正に関する技術的な詳細は、以下の通りである。
保険に固有のショックは、グループの全ての保有契約に適用される。
また、解約ショックの適用は、以下の一般的な副次条件の影響を受ける。
・以下のサブセクションに記載されているような解約ストレスの適用が、参加したグループのソルベンシーII自己資本にプラスの限界的影響を与える場合(市場ショックの適用後の状況の条件付き)、この正の限界的影響は無効にされ、グループレベルでゼロに制限される。
・ストレス後のグループの報告書テンプレート内の別の行は、通常のストレス後レポート項目の範囲外で、参加グループがソロレベルで適用したキャップの総額(グループ全体で合計)を報告することを要求している。
(2)解約ショック
以下の段落において、「解約」という技術用語は、委任規制第142条に明記されているような保険契約者の解約オプションを指す。これらのタイプの保険契約者オプションの全てに解約ショックを適用すべきである。
財政的ストレスの直後に、シナリオは不利な市場展開に対する保険契約者の反応を反映して急激に解約率が上昇すると想定している。これらの解約は、全ての非強制的保険に影響を及ぼす。
瞬時ショックは、全ての商品タイプに20%のレベルで均一に適用されるものとする。強制保険については例外がある。
参加グループが動的解約モデルを適用する場合には、所定の即時解約ショックが、潜在的に所定の市場ショックのセットによって作成された解約の動的調整を却下しなければならない、即ち、任意の動的な調整は、無効にされなければならない。
解約ストレスパラメータの詳細な概要は、技術情報ファイルに規定されている。
(3)準備金不足ショック
YCupシナリオには、準備金不足ショックが含まれる。参加グループは、全ての保険給付支払準備金の不足額を計算すべきである(例えば、グループのための全世界で)。
この積立は、既存の最良負債推定値計算に対して想定されているよりも2.24%高い年間請求インフレ率の前提に基づいている。
例えば、損害保険会社が、インフレの影響により、請求費用が年3.0%増加すると仮定した場合、ストレス後計算のためにさらに2.24%のパーセンテージポイントを加えなければならない(すなわち、合計2.24%+ 3.0%=5.24%)。
2.24%のより高い年間請求インフレ率は、YCupシナリオの四半期インフレショックから導かれる0.24%の年間基本インフレ増加と、訴訟請求環境における変化に続く基本インフレ率の上の追加的な2.0%の年間請求インフレ増加で構成される。
3―長寿ストレスと結び付いた低利回りショック(YCdown)シナリオ
さらに、医療業界における新技術の開発により、全人口の平均余命の大幅な増加が想定されているため、死亡表の一般的な改訂の道を開くと推定されている。この文脈では、生命保険会社は、最善の推定死亡率の仮定を調整しなければならない。
(2018年06月04日「保険・年金フォーカス」)
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