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- 景気ウォッチャー調査(18年2月)~1月から続く降雪や寒波が景況感を下押し~
2018年03月09日
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1.景気の現状判断DI(季節調整値):前月に続き、天候要因が下押し
3月8日に内閣府から公表された2018年2月の景気ウォッチャー調査によると、景気の現状判断DI(季節調整値)は48.6と前月から1.3ポイント低下し、3ヵ月連続の悪化となった。1月の4.0ポイント低下に続き、2月も大幅な低下となった。1月の降雪や寒波は2月に入っても続き、家計動向関連では、来客数の伸び悩みが続いている。加えて、平昌オリンピックの開催も消費者が外出を控える要因として指摘された。企業動向関連では、原材料価格が上昇する一方で販売価格に転嫁できない状況が続いている。雇用関連では、正社員の求人・求職活動が活発になってきているが、求職者数が伸び悩んでいる。なお、内閣府は、基調判断を「天候要因等により一服感がみられるものの緩やかな回復基調が続いている」に据え置いた。
2.降雪や寒波により北陸地方では経済活動が停滞
コメントをみると、家計動向関連では、「例年に比べて寒い上に降雪回数も多いことから、来客数が減少している」(北関東・テーマパーク)や「2月中旬の大雪により来客数が減少したが、その後も平昌オリンピックの閉会式まで、深夜のにぎわいがなくなっている。また、周辺では2月末で閉店する店舗も出ている」(東北・一般小売店[医薬品])」など、1月から続く降雪や寒波に加え、平昌オリンピックの開催も客数の伸び悩みに影響したようだ。とりわけ、記録的な大雪となった北陸地方では、「例年であれば自動車販売業界の1番の繁忙期であるが、豪雪のため除雪作業に時間をとられたり、車の移動が制限されたりなど、10日間ほど業務に不具合が生じている。展示会などのイベントも中止せざるを得なくなり、販売量は前年の65%になっている」(北陸・乗用車販売店)や「豪雪のため、月の半分は交通が麻ひした状態であった。店舗営業もままならず、臨時休業や営業時間の短縮を余儀なくされた。当然、売上は低迷している(北陸・コンビニ)」など、営業できない日が続く小売店が多かったようだ。

企業動向関連では、製造業(前月差▲2.9ポイント)、非製造業(同▲1.8ポイント)とも悪化した。コメントをみると、「製品によりばらつきはあるものの、海外向けの大型装置は前年に引き続き受注動向は堅調に推移している」(中国・電気機械器具製造業)や「輸出関係の商品を中心に、受注が増加している。特に、スポーツやアパレル、アウトドア向け商品にその傾向が顕著であり、受注量は前期を上回っている」(北陸・繊維工業)など、海外からの受注が旺盛なようだ。また、「ステンレスや鉄等、金属材料の値上げ要請が強い一方、来年度前半の仕事量への不安から、安値の受注競争もあり、楽観的になれない」(東海・金属製品製造業)や「年明け以降、原材料価格の上昇や運賃の負担増加等が影響し、売上は順調でも利益が伴わない状況が続いている」(東海・食料品製造業)など、原材料価格の上昇を販売価格に十分に転嫁できない企業がみられる。また、「2月前半の大雪により、工場稼働が一時縮小したことや物流が大幅に停滞したことがマイナス要因である」(北陸・プラスチック製品製造業)など大雪の影響で稼働率が低下した工場も存在するようだ。
雇用関連では、「派遣部門への登録者から正社員求人の案内を望む声が多くなっており、求人者も非正規社員での採用が難しくなってきていることから、正社員でも可として人材を探している」(中国・民間職業紹介機関)など、正社員の求人・求職活動が活発になってきているようだ。一方で、「求職登録希望者が少ない。求人サイトや情報誌に広告を増やしても、効果がみえない状況が続いている」(北陸・民間職業紹介機関)など、求職者数の伸び悩みを指摘するコメントがみられる。
(2018年03月09日「経済・金融フラッシュ」)
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