2018年03月05日

「妻の就業」×「家事・育児分担」男性の意識47都道府県マトリクス分析-未婚少子化データ考-男性の本音にみるエリア特性

生活研究部 人口動態シニアリサーチャー   天野 馨南子

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はじめに - 未婚少子化対策の効果を高めるために

日本の人口減少が、主に急激な未婚化によって引き起こされているということがかなり周知されるところとなってきたように思う。
「夫婦の」出生率はあらゆる子育て支援策によって、今も2近くをキープし続けている日本である。
しかし、出生率に計算するとほぼ0(婚外子比率が極端に低いため)の未婚者が激増することで、既婚者と未婚者をあわせた「全体の」出生率が1.4台で低迷を続けている。
 
最近、耳にすることが専門家以外でも普通となってきたダイバーシティという言葉。
本来は「多様性」という意味の英語であるが、一般的にはダイバーシティ・マネジメントの略称として企業・団体を中心に流布している。
ダイバーシティ・マネジメントは、多様な人材を活用する、という議論で用いられる経営用語である。少子化対策や女性活躍推進の観点からこのワードを見ると、「男性の育児や家事への参加」を促す議論が活発である。
イクメンという言葉だけは有名になったものの、日本の男性の育児休業取得率は女性に比べて大幅に低く、低迷したままである(図表1)。女性は約8割の取得率で推移しているものの、男性はわずか100人に3人、という「父親の育児休業取得者はほぼいない」といってもいいぐらいの低値である。
 
なぜ女性だけが取得しているかという議論において「男性のほうが圧倒的に長時間労働者割合が高い」「女性の方が非正規職や一般事務職が多い」から母親の方が融通が利くからだ、という「男女雇用機会均等」に関する議論は確かに間違いなく統計的に指摘できる。
 
しかし、本当にそれだけであろうか。
「男性よりも女性の方が家事や子育てに適性があるのでは?」という意識があるからではないか、という日本社会が持つ伝統的な意識がイクメン割合上昇の壁となっているのではないだろうか。
 
本稿では、意識という観点から「男性のイクメン」促進の壁を考察してみたい。また、一般的なイクメンといった概念を特に男性目線から地域レベルに掘り下げ、分類することによって、その意識の壁の性質を詳らかにしてみたい。
【図表1】育児休業取得率の男女別推移 
イクメンというフレーズを掲げた取り組みが全国各地で見られるようになった。しかし、それがなかなか行動として具現化しないという背景を、本稿では地域レベルで検討・分類する。
 
「子どもを愛していたら、子どもに時間を割くのは当たり前のことなのに、どうして子どもと向き合わないの?」「子どもを愛していないの?」
男性が育児休業を取ることが当たり前となったスウェーデンでは、育児休業を取得しない男性に職場の男性仲間からこんな言葉が投げかけられる。
日本でもいつかは育児する男性を賞賛する意味合いの強い「イクメン」という言葉が「育児するメンズ?それってあえていうこと?」と風化する日がやってくるのであろうか。
くるのであればどういったエリアからなのであろうか。
 

1――分析結果を見る上での留意点

1――分析結果を見る上での留意点

本分析では47都道府県の男性の意識を「家事や子育てに対する価値観」・「妻が仕事をもつこと」の2つの観点において、全国平均値を基準としてそれより割合が多いか少ないかに2分割し、

(1) 「家事や子育ては女性が行う方がよい」・「妻が仕事をもたないことが理想」ともに意識高め

(2) 「家事や子育ては女性が行う方がよい」意識高め・「妻が仕事をもたないことが理想」意識低め

(3) 「家事や子育ては女性が行う方がよい」意識低め・「妻が仕事をもたないことが理想」意識高め

(4) 「家事や子育ては女性が行う方がよい」・「妻が仕事をもたないことが理想」ともに意識低め
 
の4グループにわけるマトリクス分析を行っている。
 
分析結果に対して、当然ながら(そのエリアの男性の分類に対して)「私はそうではない」「私の周りはそうではない」「自分のエリアはそこまでは意識高低がはっきりしてはいないはずだ」といった議論はでてくる。
分析結果はあるエリアの特定の個人や集団を説明するものではない(あくまでエリア内平均値である)ことを確認しておきたい。また、ある意識に対して全国平均と比べて、該当エリア内の平均意識が極端に高低に偏る場合も、平均に近似している場合もあるため、同じマトリクスの次元に入っていても当てはまり度は異なっている。
 
本分析は他のエリアとの比較優位(考え方次第であるが劣位)を示している、ということを念頭に俯瞰いただきたい。一般的にいうところの「上には上がいる(下をみればきりがない)」といった概念で結果を利用可能であると思われる。いずれにしても他の都道府県と比べた時にどのポジションに近いのか、どのエリアに近いのか、そういったことは明確に示されている。また、そのことで自らの住むエリアや、他のエリアへの思い込みを消去する一助になるであろう。
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生活研究部   人口動態シニアリサーチャー

天野 馨南子 (あまの かなこ)

研究・専門分野
人口動態に関する諸問題-(特に)少子化対策・東京一極集中・女性活躍推進

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