医療・ヘルスケア
2019年02月18日

近所の大病院の初診料って、いくらかかるの?

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 片山 ゆき

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■要旨

日本の社会は高齢者が急速に増え、若い働き手が減少する中で、医療保険の財政も厳しい状況に置かれています。制度を維持していくためにできることとして様々な改革が進められていますが、そのうちの1つとして2016年度の診療報酬改定から導入されたのが、「紹介状なしの大病院受診時の定額負担(初診時・再診時の選定療養費)の義務化」です。

定額負担の対象となる大病院には2種類あります。

1つ目は、「特定機能病院」と呼ばれる病院で、高度な医療技術の提供、開発、研修を実施することができる病院で、多くは大学病院の本院です。2つ目は、一般病床400床以上の「地域医療支援病院」に分類される病院です。地域医療を担う、かかりつけ医を支えることができる病院です。

患者による定額負担は、最低金額として、初診については5,000円(歯科は3,000円)、再診については2,500円(歯科は1,500円)となっています。

ただし、定額負担を求めない例として以下の内容も決められています。

例えば、救急の患者、公費負担医療の対象患者、無料低額診療事業の対象患者などです。

また、自施設の他の診療科を受診中の患者、特定健診・がん検診などの結果により精密検査の指示があった患者なども対象外となっています。

制度としての義務化が浸透し、その効果が出るには、制度の必要性への理解や周知に加えて内容の改正など、一定程度の時間が必要となるでしょう。2018年の診療報酬改定では増加傾向にある400~499床の病院も定額負担の対象に加わり、今後、その効果がより高まることが期待されています。

■目次

1―「フリーアクセス」であるがゆえの弊害
2―2016年度から、紹介状なしに大病院を受診した場合、
  定額負担として最低5,000円(税抜)が別途かかることになりました。
3―制度の浸透や効果がでるには一定程度の時間が必要
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保険研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

片山 ゆき (かたやま ゆき)

研究・専門分野
中国の社会保障制度・民間保険

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