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- 【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(2月号)~輸出は増勢鈍化も、半導体を中心に好調を維持
2018年02月09日
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17年12月のASEAN主要6カ国の輸出(ドル建て通関ベース)は前年同月比11.0%増と、前月の同16.0%増から低下したものの、6ヵ月連続の二桁増を記録した(図表1)。輸出は海外経済の回復を背景に幅広い品目で増加傾向を続けるなか、足元では半導体需要の増加や一次産品の価格上昇が輸出全体を押し上げている。もっとも輸出の増勢はピークアウトしたかにも見え、一段の上昇は見込みにくくなっている。
ASEAN5カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、東アジア向け(同9.9%増)と東南アジア向け(同10.2%増)、北米向け(同11.1%増)がそれぞれ低下する一方、EU向け(同10.6%増)が小幅に上昇した。足もとでは東アジア向けの増勢が鈍化しつつあるものの、各地域向けが概ね二桁増のペースで増加傾向を続けている(図表2)。
ASEAN5カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、東アジア向け(同9.9%増)と東南アジア向け(同10.2%増)、北米向け(同11.1%増)がそれぞれ低下する一方、EU向け(同10.6%増)が小幅に上昇した。足もとでは東アジア向けの増勢が鈍化しつつあるものの、各地域向けが概ね二桁増のペースで増加傾向を続けている(図表2)。
タイの17年12月の輸出額は前年同月比8.6%増と、前月の同13.4%増から低下した。輸出の伸び率は海外需要が拡大している電子機器や自動車・同部品、天然ゴム・同製品、また価格が上昇している石油製品を中心に増加傾向を続けているものの、12月は農産物輸出の鈍化で8ヵ月ぶりの一桁台に止まった。一方、輸入額は前年同月比16.6%増(前月:同13.7%増)と上昇した結果、貿易収支は2.8億ドルの赤字となり、前月から20.4億ドル減少した(図表3)。
輸出を品目別に見ると、全体の約8割を占める主要工業製品は同10.0%増(前月:同13.3%増)と低下したものの、二桁成長を続けている(図表4)。工業製品の内訳を見ると、電子機器(同16.3%増)、自動車・部品(同14.6%増)が高い伸びを維持、機械・装置(同6.8%増)がプラスに転じた一方、石油化学製品(同6.3%増)と宝飾品(同6.8%増)がそれぞれ鈍化した。また鉱業・燃料は同15.0%増(前月:同21.5%増)と低下したものの、石油製品を中心に5ヵ月連続の二桁増となった。一方、農産品・加工品は同1.6%増(前月:同12.1%増)と低下した。ゴム製品(同40.1%増)とコメ(同11.0%増)が高い伸びを続ける一方、加工食品(同5.5%増)や天然ゴム(同0.5%増)が鈍化した。
ベトナムの17年12月の輸出額は前年同月比18.7%増と、前月の同24.1%増から低下したものの、11ヵ月連続の二桁増を記録した。輸出は16年後半に主力の電気・電子製品が勢いを取り戻してから政府目標(17年は+6~7%)を上回る伸びが続いているが、足元では新型スマートフォン関連の輸出がピークアウトしたかに見え、先行きは好調を維持しつつも増勢が鈍化すると見込まれる。一方、輸入額は前年同月比17.0%増(前月:同18.2%増)と小幅に低下した結果、貿易収支は前月の6.0億ドルの黒字から2.3億ドルの赤字に転じた(図表5)。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が同45.0%増(前月:同40.6%増、前々月:同85.5%増)と再び上昇した(図表6)。またコンピュータ・電子部品が同21.5%増(前月:同32.4%増)と好調だった。アパレル関連では織物・衣類が同8.3%増(前月:同15.0%増)、履物が同10.1%増(前月:同12.6%増)と、それぞれ低下したものの、高い伸びを維持している。農産品では野菜(同28.4%増)やカシューナッツ(同27.1%増)が好調に推移している一方、コーヒー(同3.1%減)とコショウ(同22.9%減)が低迷、コメ(同1.2%増)も大きく鈍化した。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同19.6%増(前月:同25.5%増)、地場企業が同16.8%増(前月:同20.6%増)と、それぞれ低下した。
マレーシアの17年12月の輸出額は前年同月比14.4%増と、前月の同18.8%増から低下したものの、6ヵ月連続の二桁増を記録した。輸出の伸び率は主力の電気・電子製品を中心に好調に推移している。一方、輸入額も前年同月比17.9%増と、前月の同19.5%増から小幅に低下した結果、貿易収支は17.8億ドルの黒字と、前月から6.1億ドルが減少した(図表7)。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同15.6%増(前月:同25.1%増)と、主力の電気・電子製品(同16.1%増)を中心に低下した(図表8)。また化学製品も同16.5%増(前月:同24.9%増)と低下した。動植物性油脂は同0.0%増(前月:同1.1%減)とパーム油を中心に低迷した。一方、鉱物性燃料は同16.2%増(前月:同7.1%増)と上昇した。石油製品(同2.5%増)こそ伸び悩んだものの、天然ガス(14.6%増)と原油(同16.8%増)が上昇した。
(2018年02月09日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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