2017年12月15日

東南アジア・インドの経済見通し~堅調な消費と投資の復調で安定成長へ

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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■要旨
  1. 東南アジア5カ国およびインド経済は、海外経済の回復やITサイクルの改善を受けて輸出が好調に推移し、景気回復が続いている。こうした輸出拡大に伴う企業収益の改善を通じて設備投資意欲が向上すると共に、政府のインフラ整備計画の進展によって投資が漸く回復し始めている。また雇用・所得環境が改善する国が多い一方でインフレ率が安定して推移しており、民間消費は堅調な伸びを維持している。
     
  2. 消費者物価上昇率は、来年初までは新興国通貨高の影響で横ばいで推移するが、その後は内需拡大やエネルギー価格の上昇といった押し上げ要因が加わり、インフレ率は上昇すると予想する。
     
  3. 金融政策は、短期的には物価が安定的に推移する一方、欧米の金融政策正常化が進むなかで新興国からの資本流出圧力が高まるリスクを警戒し、各国中銀は金融政策を当面据え置くだろう。しかし、中国経済の減速が表面化するなか、各国の物価が上昇基調に入ると引き締め方向で調整(概ね年1回の利上げを想定)するだろう。
     
  4. 経済の先行きは、景気の拡大ペースこそ落ちるものの、安定した成長が続くと予想する。輸出は来年前半にはスマートフォン需要が鈍化して増勢が鈍化するものの、海外経済の回復が続いて底堅い伸びを維持しよう。投資は政府の大型インフラ整備計画が進展するほか、輸出拡大が続くなかで設備投資も回復すると予想する。民間消費は継続的な賃金上昇と良好な雇用環境が維持されて堅調を維持するだろう。
東南アジア・インド各国の成長率とインフレ率の見通し
■目次

1.東南アジア・インド経済の概況と見通し
  ・経済概況:輸出の好調が継続して景気回復
  ・物価:年内は安定推移、18年から緩やかに上昇
  ・金融政策:年内は中立維持、18年に調整的な利上げへ
  ・経済見通し:堅調な消費と投資の復調で安定成長へ
2.各国経済の見通し
  ・2-1.マレーシア
  ・2-2.タイ
  ・2-3.インドネシア
  ・2-4.フィリピン
  ・2-5.ベトナム
  ・2-6.インド
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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴
  • 【職歴】
     2008年 日本生命保険相互会社入社
     2012年 ニッセイ基礎研究所へ
     2014年 アジア新興国の経済調査を担当
     2018年8月より現職

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