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- 中国経済:景気指標の総点検(2017年冬季号)~党大会の前後でどう変化したか?
2017年12月22日
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■要旨
- 共産党大会後の中国の金融マーケットを概観すると、政府系ファンド(国家隊)による買い支え期待を背景にじりじり上昇してきた株価は党大会後に調整、基準値設定方法の変更やユーロ高を背景に上昇してきた人民元はほぼ横ばい、住宅価格は上昇の勢いを強めており、中国人民銀行は党大会後の12月に米利上げに追随して短期金利を引き上げた(下左図)。
- 供給面を点検すると、工業生産は党大会前(7-9月期)の前年同期比6.3%増から党大会後(10-11月期)は同6.2%増へ伸びが鈍化したが、製造業PMIと非製造業PMIはともに党大会前とほぼ同水準、同予想指数も高水準を維持しており、大きな落ち込みは観察できない。
- 需要面を点検すると、小売売上高は党大会前(7-9月期)の前年同期比10.3%増から党大会後(10-11月期)は同10.1%増へ小幅に伸びが鈍化したが、投資は同5.3%増から同5.9%増へと伸びを高め、輸出額(ドルベース)も同6.6%増から同9.7%増へと伸びを高めた。
- その他の重要指標を点検すると、工業生産者出荷価格と通貨供給量(M2)に変調は認められないものの、党大会の少し前から鉄道貨物輸送量が落ち込み、電力消費量の伸びが鈍化するなど一部の景気指標には陰りが見え始めており、新たな不安材料として浮上している。
- ニッセイ基礎研究所で開発した回帰モデルを用いて、17年1月に公表される10-12月期の実質GDP成長率を推計したところ前年同期比6.7%増と7-9月期の同6.8%増を小幅に下回る結果となった(下右図)。従って、17年の成長率は前年を上回る前年比6.8%増と見込む。
- 但し、18年の成長率は減速を予想する。党大会後12月に開催された中央経済工作会議で持続可能で健全な発展を目指す方向を打ち出したからだ。金融緩和で緩んだ規律を引き締め、環境・採算面を重視したインフラ投資に転換して、「6.5%前後」の安定成長を目指すだろう。
(2017年12月22日「Weekly エコノミスト・レター」)
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