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景気ウォッチャー調査(17年11月)~現状は大幅に改善も、先行きは賃金の伸び悩み、物価上昇が懸念材料~

白波瀨 康雄
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1.景気の現状判断DI(季節調整値):3ヵ月連続で改善し、3年10ヵ月ぶりの高水準
今回の調査では、家計動向関連は、台風が度重なって上陸した10月と異なり、11月は概ね天候が安定しており、客足が戻ってきたことが景況感改善に寄与した。また、冷え込みが厳しくなる中、消費者の購買意欲も高く、冬物衣料の販売が好調だったようだ。また、企業動向関連では、引き続き受注が好調に推移しており、設備投資への意欲の高まりもみられる。雇用関連では、求人数に比べて求職者数は伸びておらず、労働需給は逼迫している。
2.安定した天候が客数増加に寄与し、家計動向関連が大幅に改善

唯一前月から悪化した住宅関連では、「今の受注や販売量は、客の動きが多かった今年度前半の分で支えている。最近は客の動きが落ち着いてきたが、契約に結び付くまで時間が掛かるようになっている。通常は1~2か月で契約するところ、春から継続的に対応している客が今月に契約となるほどである」(北陸・住宅販売会社)など、契約に慎重な消費者の姿勢を指摘するコメントがみられた。
企業動向関連では、製造業(前月差▲0.7ポイント)、非製造業(同±0.0ポイント)とほとんど前月から変化がなかった。コメントをみると、「引き続き自動車、半導体向けを中心に主要取引先の生産量が増加基調にあり、当該原料の受注が計画比、前年比共に上回っている」(中国・化学工業)や、「受注量、発送量は引き続き高水準である」(中国・鉄鋼業)、「北米向けSUV車の輸出が、前月に引き続き好調である」(北関東・輸送用機械器具製造業)など、幅広い業種で引き続き受注が好調のようだ。また、「油圧建設機械向けの受注が堅調である。また、自動車向けの試作案件の引き合いも増えているが、協力工場も仕事を多く抱えているため、納期対応が困難で、失注案件も出始めている」(北関東・一般機械器具製造業)など、旺盛な受注に対応できないケースもあるようだ。一方、「製造業の客を中心にモノのインターネットの活用検討の問い合わせが多くなっており、製造現場では短期間で活用が図られることに期待が持てる」(中国・通信業)や、「引き合い、商談は増加傾向にある。なかでも人手不足や作業の改善のためのIT投資が増えつつある」(北関東・その他サービス業[情報サービス])など、人手不足が強まる中、生産性向上に向けた設備投資への意欲も高まっているようだ。
雇用関連では、「新規求人数はほぼ全業種で増加傾向となっており、正社員の求人数も上向き傾向にある」(近畿・職業安定所)など、求人数の増加に言及するコメントが目立った。一方、「今年度採用定員に達していない企業から、2次募集、3次募集の求人があるが、紹介できる人材がいない」(沖縄・学校[専門学校])や、「企業からの求人で、応募者が来ないとのことで派遣会社に依頼してくるケースが増加している。しかし、派遣会社への新規登録者も減少しているため紹介できず、成約できないことが非常に多い」(沖縄・人材派遣会社)など、求職者数が少なく、企業は十分な労働力を確保できていないようだ。
(2017年12月11日「経済・金融フラッシュ」)
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