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景気ウォッチャー調査(17年11月)~現状は大幅に改善も、先行きは賃金の伸び悩み、物価上昇が懸念材料~

白波瀨 康雄
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3.景気の先行き判断DI(季節調整値):家計・企業・雇用関連の全分野で大幅に改善
企業動向関連では、「海外向けにおいては、依然としてASEAN加盟国や欧州諸国からの受注が好調に推移している。国内においても、株式市場や為替状況などが安定していることを背景に、企業の設備投資が増えており、産業機械向け分野の受注状況は堅調である」(北陸・一般機械器具製造業)など、今後も好調な受注や設備投資の増加を見込む企業が目立った。一方で、「受注量は増えているが、軽油価格の上昇が心配である。これ以上の価格上昇があれば厳しくなる」(北陸・輸送業)や、「現在の受注状況から、今後も受注は底堅く続くと考えるが、原材料価格が高騰しており、利益面で引き続き厳しい状況である」(北陸・プラスチック製品製造業)、「今後も売上に変化はなさそうだが、原油価格の高騰により、燃料、運賃、原料などの様々な経費が上昇しており、収益を圧迫しているため、今後の景気はやや悪くなる」(北海道・食料品製造業)など、受注が好調であっても、コストの増加により収益が圧迫することを懸念するコメントが幅広い業種でみられた。
雇用関連では、「求職者の減少傾向から人手不足感が一層強まっていることを背景に、業種を問わず契約社員から正社員に切替えて募集するケースが増える」(中国・職業安定所)や、「求人数は着実に増えており、今より条件が良いところを希望する求職者の選択肢が増えることで、景気回復につながっていく」(東海・職業安定所)など、労働需給が逼迫した状態が続く中、企業の待遇改善に期待するコメントがみられた。
景況感は高水準で推移しているが、先行きについては、賃金の伸び悩みや物価上昇に伴う売上減少、コスト上昇による収益悪化など、懸念材料が広がっている。雇用環境は改善しており、企業活動も活発なことから、景況感のD.I.が50を下回るほど悪化する可能性は低いが、一段と景況感が改善するハードルは高く、今後は横ばい圏での推移が続きそうだ。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2017年12月11日「経済・金融フラッシュ」)
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