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アートから高齢社会と向き合う-英国エンテレキー・アーツの試み
基礎研REPORT(冊子版)11月号
吉本 光宏
この活動は、2013年秋、独居老人がデイセンターではなくアートセンターに通うことでどのような変化をもたらすことができるかを模索しようと始まったものである。今では参加希望者のウェイティングリストができるほどの人気だ。6ポンド(約1,000円)の参加費には、ランチやドリンクも含まれており、一日中センターで様々な文化活動に参加できる。
何人かのお年寄りにこの活動に参加して何が変わったか尋ねてみると、「I’m back. I’m self again.(自分を取り戻しました)」「Life starts again(人生の再スタートです)」という答えが返ってきた。短い言葉に、この活動の意味が集約されている。
英国でも独居老人の増加は大きな問題になっており、75歳以上の高齢者は半数以上がひとり暮らしだという。毎週火曜の催しに参加するお年寄りはオルバニー・アートセンターでの文化活動を通して、社会とのつながりを回復し、新しい出会いや人生の再スタートのチャンスを獲得しているのである。
つまりBEDは、演劇によって独居老人の問題を社会にアピールし、それを見た人に具体的な行動を促そうということをねらいにしている。
エンテレキー・アーツは高齢者や障がい者などを対象に多様な参加型のアート・プロジェクトを展開している。日本でも高齢者を対象にした芸術活動は各地で行われ、様々な成果が報告されているが1、この団体の取り組みは大いに参考になるに違いない。
1 吉本光宏、アートが拓く超高齢社会の可能性
http://www.nli-research.co.jp/files/topics/39569_ext_18_0.pdf?site=nli
吉本 光宏 (よしもと みつひろ)
研究・専門分野
(2017年11月08日「基礎研マンスリー」)
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